リベラルアーツと秋田国際教養大学
教養とは「教」育の栄「養」と書きます。
「あの人は教養があるわね!」と
使われるときにはどんなイメージか?
…色んなことをよく知っている、とか、
社交場で洗練された会話ができる、とか
そんなイメージが
思い浮かぶのではないでしょうか?
「教養」のギリシア語は「パイデイア」。
「教育係に指導されて身につけたもの」。
英語ではcultureとあらわされて、
「粗野から耕された人の手を経たもの」。
ドイツ語ではBildungと表現され
「つくられたもの」という意味。
日本においては大学教育の「一般教養」、
略して「パンキョウ」が有名ですよね。
広い色々な知識。言いかえれば
「専門的ではない」雑多な知識…。
必修だから身につけなきゃいけないものだ。
そんなイメージも、日本では根強い。
大学の話が出たので書きますと、
「リベラルアーツ」という言葉があります。
これは古代ギリシアから来た言葉で
「さまざまなアーツ(学芸)を学び
パイデイア(教養)を身につける」
自由人=リベラルな人が目指したもの。
自由人の諸学芸=リベラルアーツなのです。
ギリシアの哲学者、アリストテレスは
こんなことを言っております。
(ここから引用)
(引用終わり)
ここで興味深いのは、リベラルアーツ、
教養は「自由」に結び付くことです。
教養は「実用」に結び付く。
…どうしても教養と言えば
「すぐには役に立たない知識を
雑多に幅広く身に付ける物知り」
無用の知識を身に付けた複数分野のオタク。
そんなイメージに結び付きやすいのですが、
そうではないんです。
自由になってこそ、教養です。
実用ができてこそ、教養!
逆に言えば、
自由ではなく実用的ではない教養は、
教養ではありません。
ただの知識。
活動へのエネルギー、
身体や脳を形づくってこその栄養です。
…いささか前置きが長くなりましたが、
本記事では「秋田国際教養大学」にからめて
リベラルアーツについて書いてみます。
秋田にある大学です。
2004年に創立された、
まだ20年ほどの新しい大学。
公立大学です。
日本初の「地方独立行政法人」運営。
国立とか、秋田県立とかではない。
この大学がスゴイ!とよく言われるんです。
というのも、必要な偏差値が半端ないから。
東大と同じくらいです。入るのが難しい。
…と言っても、秋田の山奥ですよ?
秋田市街から山に向かって
入り込んだところにキャンパスがある。
ここに、日本全国から優秀な学生が
集まってきているんですよ。留学生も多い。
「就職率100%」を謳っておりまして、
実際に名だたる企業へと卒業生が就職している。
というのも、ここで行われる授業は
文字通り「国際」「教養」なんです。
なんちゃって国際大学ではない。
そりゃ国際的にもなるわ!という
重厚なカリキュラムが組まれております。
山奥にあり誘惑が少ない。学習に専念できる。
サボると卒業できない。
留年せずに、4年で卒業する学生比率は5割…。
そのことが企業にも浸透してきたのか、
人事担当者も「秋田国際教養大学の
学生は本当に国際的で教養もあるそうだぞ」
と知り、積極的に採用している。
「英語を学ぶ」大学ではないんです。
「英語で学ぶ」大学なんです。
新入生は「英語集中プログラム(EAP)」
と呼ばれる授業を受けます。
読み書きや聞き取り、会話だけではない。
講義の聴き方やノートの取り方、
図書館で調査をする手法、
議論やプレゼンテーションの技術、
論文のまとめ方まで、大学での学び方、
「英語で学ぶための英語」を
週20時間みっちり学んでいきます。
…しかし、なんでまたこんな
「日本離れした」大学ができたのでしょうか?
そこには、創立者の中嶋嶺雄さんの
熱い想いが反映されています。
彼の経歴をググると、以下の通りです。
1936年に生まれて、2013年で亡くなった。
亡くなる10年前ほどの2004年に、
秋田国際教養大学を創立し、世を去った。
彼の人生には命を懸けた戦いの匂いがする。
評価は人それぞれだと思いますので
ここでの詳しい記載は避けますが、
『なぜ、国際教養大学で人材は育つのか』
という著書もあります。
興味のある方はお読みいただいて
お考えいただければ…と思います。
一言で私なりにまとめるとすれば、
このあたりが軸なのではないか、と思います。
だからこそ必死に教える。必死に教わる…。
最後に、まとめます。
本記事では「教養」という言葉を軸にして
リベラルアーツと秋田国際教養大学に
ついて書いてみました。
今の秋田国際教養大学の学長は三代目、
スリランカ出身のモンテ・カセムさんです。
彼が唱えるのは「応用国際教養教育」。
詳細は、よろしければ大学の
ホームページなどでぜひご一読を↓
※本記事は以前に書いた記事のリライトです↓
『リベラルアーツと秋田国際教養大学』
※中嶋元学長の著書
『なぜ、国際教養大学で人材は育つのか』↓
合わせてぜひどうぞ!
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