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「キャリアピラミッドよりキャリアジグソー」
というテーマで、先日、記事を書いたのですが、

個人ではなく組織だとどうか?を書いてみます。

結論から先に言いますと
「どちらも一長一短」です。

個人レベルで言えば「ピラミッドよりジグソー」
の流れだと私は思うんですけれども、
組織レベルだと必ずしも
「ピラミッドよりジグソー」とは言い切れない。


そういった私の思考過程に、少しだけ
お付き合いいただければと思います。

◆まずイメージの概論を

①人事ピラミッドと、②人事ジグソー。

①は積み重ね、固定、上意下達、序列固定。
②は組み替え、柔軟、行動自由、フラット。

①ピラミッドは、かっちりがちがち。
②ジグソーは、凸凹に合わせフリー。

◆具体例があったほうが分かりやすいか

①人事ピラミッドの例としては、
「新選組」などを思い浮かべてください。

近藤勇が上に「局長」として鎮座する。
土方歳三が「鬼の副長」として統括。
沖田総司たち「副長助勤」が実戦部隊を指揮。
平隊士たちは、その指揮で働く。

「局中法度」という、鉄のルールがあります。
それに違反した場合は、原則、切腹です。

現代の例で言えば「警察組織」などのイメージか。

泰三子(やす みこ)さんの漫画
『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』は、
新選組でいう「平隊士」、
交番女子の奮闘がメインの物語ですが、
厳然たる「階級社会」が赤裸々に描かれています,
(試験突破すれば「上に上がる」ことができます)。

一方で、②人事ジグソーの例としては、
映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2
レインボーブリッジを封鎖せよ!』

「犯人グループ」が象徴的でしょうか。

彼らに上下関係はなく、フラットな関係。
組み合わせも自由でつかみどころがない。
個々人の都合と考えによって
ある意味、定見なく、フリーに動きます。
青島刑事たち警察サイドは、
この「得体の知れない」組織に
翻弄されていく、というのが主なストーリー。

◆先にデメリットを考えましょう

では、①②それぞれのデメリットを先に
考えていきますと。

①人事ピラミッドの形ですと、
「臨機応変」がしづらいですよね。
「時代の変化」に対応しづらい。


新選組は、幕末・明治維新の時代の流れに
「逆行」する組織でした。
鳥羽・伏見の戦いでは、近代兵器を装備した
薩長連合軍にあえなく敗れてしまいます。

映画『踊る大捜査線』で警察組織は、
フラットな犯人組織に翻弄されます。
自分たちと異なる思考回路についていけない。
いちいち「上の指示」を仰ぐ必要があるため、
「個人の判断」は押しつぶされがち。
すごく無駄な捜査をしたりします。

対して②人事ジグソーのデメリットは、
「ばらばら」になりやすいこと。
「一致団結箱弁当」とはなりづらい。
個人頼みなので、総力戦がしにくい。


映画『踊る大捜査線』では
結局、犯人グループは捕まります。
室井さんという優れたリーダーが上についた
①人事ピラミッドの警察組織が
捜査を立て直して犯人像を解明、
組織力・物量作戦で一気にたたみかけたからです。
最後は「特殊部隊」まで出てきて捕縛。

フラットで柔軟な組織であるがゆえに、
相手にこう出られると、脆いですよね。
いざみんなでまとまれない。
組み換えができる、ということは、
いつでも逃げ出せる、ということです。
「組織への忠誠心」は、基本、ありません。

◆結局は、状況に応じて、ですね

さてここまで、①人事ピラミッド と
②人事ジグソー の概略とデメリットを
中心に考えてきたわけですが、

あくまで両極端に①②を置いて
思考してみたわけで、実際には
「ハイブリッド」「いいところどり」
の組織がほとんどではないか、と思います。

例えば、現在の警察組織においても、
「前提」は①人事ピラミッドなんですが
「現場」では②人事ジグソー的な動きも
あり得ると思うんですよね。

「平時」では上の階級の者が偉いのですが
「乱世」つまりいざ、犯人と相対する時は
階級が上だから殺されない、とはならない。
「現場判断」「柔軟な対応」
そういうものも、あるわけです。

ですが、その極限状態の中でも
「命令系統順守」という①人事ピラミッド的な
「前提」を出来る限り守らなければいけない…。
そこに人間ドラマが生まれるわけで、
『踊る大捜査線』でも『ハコヅメ』でも
視聴者・読者の心を打ち、考えさせるような
①②の交錯、グレーゾーンが生まれていました。

◆平時のピラミッド、乱世のジグソー

そう考えていきますと、大まかには
「平時」には①人事ピラミッド、
「乱世」には②人事ジグソーがいいのでは、
という考えも導き出されるわけです。

日本史の例を挙げます。

江戸時代のような比較的平和な時代には
「将軍」を頂点とする
①人事ピラミッド型の組織が機能していた。
「下は上の者に従え」、
「上見て暮らすな 下見て暮らせ」ですね。

ところが乱世、戦国時代や幕末ですと
刻々と時勢が変化しますので
②人事ジグソー型の組織のほうが
フットワークが軽く、動きやすい。

戦国最強の「武田軍」は
柔軟で奇策縦横な「織田軍・徳川軍」に
滅ぼされてしまいました。
「新選組」も時代の流れに消えていきます。
「奇兵隊」のほうが強かった。

もちろん、織田軍・徳川軍や
奇兵隊も、軍事組織である以上、
ピラミッドやルールはあります。
人を殺すという非日常な行動に
人を駆り立てるためには、
「装置」「心理的免罪機能」「熱狂」、
そういうものが必要ですから。

ですが武田軍や新選組に比べて
より柔軟でフラットな一面があった。
織田軍の中核、秀吉や光秀は
信長が下から拾い上げた人材でしたし、
奇兵隊は近代兵器をうまく使いこなしています。

◆そろそろまとめます

個人的な「キャリア」に比べ、
組織における人事の在り方を考えた時、

①人事ピラミッドか②人事ジグソーか、
その甲乙はつけがたい。
ケースバイケース、ハイブリッドで、
としか言いようがないのです。

ですが、現在の世界を見ますと、
既存の枠組みを壊そうとする組織があったり
既存の対応では難しい感染症が流行ったり

どちらかというと乱世。
どちらかというと、②人事ジグソー的な
組織のほうが動きやすい
、とは思います。
そもそも、組織を構成する個人が
「キャリアジグソー」的な考えを
持つ人がどんどん増えていくでしょうから…。

ただ、そんな時代にあっても、
桃源郷的な「平時」の業界や、
そのような地域もある、と思いますので、

そんな中で②人事ジグソー的な
「得体の知れない」組織や個人が活動をしますと
凄まじい反発・バッシングを受けたりします。
まさに、犯人扱い。
「暗黙の了解」「村八分」などが
根強い社会風土ですからね…。

(日本でリンクトインのユーザー数が
なかなか激増とはいかないのも
そのあたりが原因かもな…と
思ったりします。今後は違うでしょうが…)

さて、読者の皆様の組織は
①人事ピラミッドと②人事ジグソー
どちら寄りですか?


皆様自身は、どちらがしっくりきますか?

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