見出し画像

譲れない部分、コアの部分。
人間と同じく、組織にもありますよね。

「校風」とか「社風」とか言われる。
「カラー」と表現されることもある。
この組織は、こういう特徴がある…。
その大本・中心になっているものを
「コア」と呼んでみましょう。

さて、読者の皆様の会社(組織)の
「コア」は何でしょうか?
特に、人事や人材編成の面で。

「いきなり、そんなことを言われても」
となるでしょうから、
他の組織の実例を少し、挙げてみましょう。
…そうですね、日本のプロ野球のチームで。

セ・リーグの
「広島東洋カープ」(以下、カープ)と
「読売ジャイアンツ」(以下、巨人)とは、
よく比較対照されることがあります。

カープは、若手を鍛え上げて
「育成」して戦力にしていくことが多いです。
それに対して巨人は、
すでに活躍した選手を「獲得」して
戦力に組み込むことが多いです。

カープの選手も、巨人に入ったりします。
一昔前なら江藤選手や川口選手、
今でしたら大竹選手や丸選手が
巨人入りしましたね。
そのたびにカープのファンたちは
「おい、ちょ、待てよ、ざっけんなよ」
という気分になったことでしょう。

※一応補足しますが、
金本選手や新井選手が阪神タイガースに、
黒田選手や前田選手がメジャーのチームに
入った(流出した)ように、
巨人だけに入るわけではありません。

このカープに対して巨人は、
最近の中田翔選手の例でもわかるように、
すでに実績を積んでいる選手を
「獲得」することが多いのです。

…この事例の裏には、
組織の「コア」があるように思います。

カープは、広島という街の
復興とともに育ってきた球団です。
「たる募金」と呼ばれた市民たちの募金で
チームを存続させた歴史もあります。
あまり、お金は、ありません。
貧しい中で、猛練習で選手を鍛え上げて
半人前の新人を一流の選手に育成する。
そんなカラーというか、社風というか、
それを感じることが多い。
監督やコーチは、基本、カープのOBです。

一方で巨人は「外様」と呼ばれる
他のチームの選手をよく受け入れます。
お金は、どちらかといえば潤沢です。
平気で多額のお金を選手獲得にかけます。
それはやはり「球界の盟主」「常勝軍団」で
あるべき、というコアがあるのでしょう。
その背景には、ON砲(王選手と長嶋選手)の
時代から、プロ野球界を引っ張ってきた、
という自負と歴史があります。
勝たなければならないから、
既に活躍した選手を集めることをいとわない。
ただし、監督は巨人でエースか強打者を
務めた人がなることがほとんどです。

…どちらが良くてどちらが悪い、
という論議をするつもりはありません。
ただ、そういうコアがあり、
歴史がある、ということを述べました。

それを参考にして、
読者の皆様の会社(組織)のコアは
いったい何でしょうか?

両チームの人材の例を挙げましたので、
もう少し明確化しましょうか。
「育成」中心ですか?
それとも即戦力「獲得」中心ですか?

カープには、ドラフトで入ってきた選手を
鍛え上げる伝統、システムがあります。
うまくいけば、ゼロから一流の選手が
出現していきます。
ただ、その裏には、一流の選手に
なれなかった素材もごろごろいます
(勤続疲労で使い潰された選手も含む)。

巨人は、一流選手が集まってきます。
ゆえに、ゼロから鍛え上げる伝統が
カープほどには備わっていません。
「若手が伸び悩む」とは
いつも巨人に言われることです。
そりゃそうですよね。
なかなか若手を一から育てる
ポジションの空きがないんですから。

…ただ、あくまでこれは
コアやカラーの話であって、
例外も当然、ありえます。

カープでも例えば石井琢朗選手など、
他チームで活躍した人を
引っ張ってくることがあります。
昔で言えば、江夏選手もそうでしょうか。

巨人でも例えば坂本選手や岡本選手など、
一から巨人で育って活躍した
選手も、たくさんいます。
レジェンドであるONのお二人も、
巨人生え抜きの選手でした。

この「例外」の事例を出したところで、
まとめていきましょう。

組織には、コアがあり、カラーがある。
ただしそれらにあまりに
「固執」し過ぎると、行き詰まります。
即戦力を獲得しないカープが
伸び悩む時期があったように。
大砲ばかりを集めた巨人が
打線のつながりを欠く時期があったように。

組織は、生き物です。

しかもスポーツであれば「相手」がいます。
その外界や相手にうまく張り合うためには、
言い換えれば生存競争に生き残るためには、

コアやカラーを保ちつつ、
「例外」をうまく活かしていく術も
身につけた方が、生き残る確率が
高まるのではないでしょうか?
「社風」にも、外からの風、
いわゆる「換気」が大事なのです。

もちろん、あまりにも「チームカラー」に
合わない人をとにかく参画させろ、
というわけではなく
(その場合「副反応」がひどいので)、

コアの部分で共通・共感できるけれども
カラーの部分で「毛色の違う」人をうまく
組織に取り込んで、
活性化させろ、ということです。

カープでは、黒田選手が
いったんメジャーに行ったものの
戻ってきてくれて、優勝への欠かせない
ピースとして大活躍しました。
外の世界を見て、なおかつ
内側のコアの部分を理解してくれている人が
いかに貴重か、という事例です。
「換気」は大事、ですよね。

そんなことを
中日ドラゴンズの立浪新監督の
組閣ニュースを見ながら思った次第です。
よろしければご自分の会社(組織)を見る
参考になれれば幸いです。

(来季(2022年)のカープはどうなるのかな…。
佐々岡監督、続投なのかな。
新井監督や黒田監督、ないかな。
いや、野村監督再登板が無難か。
ブラウン監督はベースを投げていたな…。
…巨人は終盤の連敗で大変だろうな)

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!