「架空の生命保険オン・ザ・ツリー」
命に形をつけるとしたら、それは生命保険かもしれない。
30代男性の約17%が保険に入っていないという。夫もまだ未加入だ。
そんなものかと思っていた。
母の病が分かるまでは。
「え、お義母さん、しぬのか。死ぬのか?」
うろたえたのは夫のほうだ。先年、自分の母を見送った彼にとって親の死は『くっきりした未来』なのだ。
そして夫はいきなり生命保険に加入し、義母を受取人にしようとした。
しかし保険屋は、
「二親等以内でないので、受取人にはできません」
夫はがっくりと肩を落とした。