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410字 毎週ショートショート学びの場

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ヒスイの410字もステージアップだ! まなぶ、切磋琢磨、みがく、やりぬく、ひとつあがる。 をめざすマガジンです
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記事一覧

「変わる気がない。つもりじゃない」ヒスイの毎週ショートショートnote

僕の彼女はおとなしい。だからうちのサークルでも最後までフリーだった。僕は残り物を拾ったわ…

「ノスタルジア・モンブラン」ヒスイの毎週ショートショートnote

「ガキの頃のモンブランって、黄色だったよなあ。俺、あれが嫌いでさ」 俺がそう言うと、彼女…

「金か翠か、迷った末に」ヒスイの毎週ショートショートnote

「一緒に、とりになりませんか?」 公園にいた若い男にそう言われて、僕は立ち止まった。 良…

「8/32のヒスイより」

「流れ星まつ秒針の疾く疾く  ふたりでひとつ星空とじる」ヒスイ (ながれぼし まつびょうし…

「完璧に直さないのに適した絵」ヒスイの毎週ショートショートnote 字余り

男は「天才・修復絵師」と呼ばれていた。 どんなひどい状態の絵でも、彼の手にかかれば完璧に…

「泣くくらいじゃったら、黒幕を裂け」ヒスイの毎週ショートショートnote

その日、甲子園には巨大な黒幕がさがった。 看板には『トーナメント式ヒーリング大会』。 先…

「俺の上に、鋭利なちくわを。永遠の休息を」ヒスイの毎週ショートショートnote

あの日、おでん屋に入ったのがいけなかった。 ちくわと大根を頼んでから2分後に、地獄が始まった。 冗談じゃないんだ。この国の上で異様な爆弾が爆発して、国民はほぼ死滅した。俺が生き伸びたのは、おでん屋のおやじが俺にかみついたからだ。 血が出た。思わずちくわをつかんだ。 何か、すごく大切なものが俺の中から消え失せた。 おやじはニヤリと笑い、 「我が眷属よ、生きよ」と言った。 おやじの胸には、窓枠が杭のように刺さっていた。 次の瞬間、砂となって消え失せた。 そして世界は、第三

「プリンスが笑う日は、キングが泣く日」ヒスイの毎週ショートショートnote

世界には、その競技のトップに立てば「アスリートの王」と呼ばれる競技がある。 『十種競技』…

「最強リベンジ、美髪&美肌ぴかぴか」ヒスイの毎週ショートショートnote

アイツにフラれた。完膚なきまでにフラれた。 理由もろくにない。最後の言葉は、 「なんか違う…

「銃口からピース薔薇」ヒスイの毎週ショートショートnote

巨大な『ピ』は、北極海で生まれたらしい。 『ピ』は傾きつつ北大西洋へ向かい、カナリー海流…

「俺の彦星は、彼女の彦星」ヒスイの毎週ショートショートnote

息子が連れ去られた。妻に。 正確には、『元』妻に。 離婚時の条件は、俺が親権を取る。 妻が…

「恋と欠損とTシャツと」ヒスイの毎週ショートショートnote

犯したミスは復習によって再発を防ぐ。 しかし最初のミスは消えない。 人生はやり直しがきかな…

「友情の総重量・微増。銀メダル一個ぶん」ヒスイの毎週ショートショートnote

私とアイコは幼なじみ。 4歳で同じ柔道教室へかよい、 14歳でいっしょに黒帯になった。 私た…

「雨上がりはいつも、僕の後ろにある」ヒスイの毎週ショートショートnote

うちはバー。カウンターだけの小さな店です。 今夜さいしょの客は男性。バースツールに座る角度が、そう若くもない雰囲気かな。 男からは、雨の匂いがした。 「ハイボールをお願いします」 私は酒を作りつつ、尋ねる。 「外、雨ですか?降り出しましたか」 男はうなずいた。 「ええ。まあ、もうすぐ止みますよ。今夜はハイボール一杯で終わるつもりなので」 ……変なひと。酒のオーダーと天気は関係ないでしょ。 グラスをおくと、男は日に焼けていない指で酒を取った。 「僕ね、『てるてる坊主』っ