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410字 毎週ショートショート学びの場

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ゼロさん+まろちゃんの410字で、ヒスイの410字もステージアップだ! まなぶ、切磋琢磨、みがく、やりぬく、ひとつあがる。 をめざす。非公開マガジンです。
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記事一覧

「恋と欠損とTシャツと」ヒスイの毎週ショートショートnote

犯したミスは復習によって再発を防ぐ。 しかし最初のミスは消えない。 人生はやり直しがきかな…

「友情の総重量・微増。銀メダル一個ぶん」ヒスイの毎週ショートショートnote

私とアイコは幼なじみ。 4歳で同じ柔道教室へかよい、 14歳でいっしょに黒帯になった。 私た…

「雨上がりはいつも、僕の後ろにある」ヒスイの毎週ショートショートnote

うちはバー。カウンターだけの小さな店です。 今夜さいしょの客は男性。バースツールに座る角…

「祈願上手は7カ月後」ヒスイの毎週ショートショートnote

1カ月前、交通事故で亡くなった夫の部屋には、古いお守りがズラリと並んでいる。 色が褪せた古…

「あの舌は、特急タイプ」ヒスイの毎週ショートショートnote

『世のなかの人間全員が、パソコンを持っていると思うなよ!』 ひそかに毒づきながら、俺は街…

『二億以上・斉藤』ヒスイの毎週ショートショートnote

うちのクラスには『一億斉藤』がいる。 一億円を稼ぐと明言している男だ。 夢みたいだけど、斉…

「24時間持続・虹」ヒスイの毎週ショートショートnote(字余り)

女にとって、身を捨ててでも惜しくない、と思った男と再会するのは、リスクがありすぎる。 相手の変貌にがっかりするか、逃した魚の生きの良さに地団太を踏むか。 どっちみち、ダークな感情だと思う。 だからイヤだったの、ミナトと会うのは。 だけど会ってる。 大学近くのカフェ、いい香りのコーヒー、ソニーロリンズのサックス、外は雨。 ミナトの長い指がカップを持っている。 漆黒の水面がゆれる。 「まさかさ、君が横森と付き合うとはね…まさか冗談?」 「冗談じゃない」 「だって横森だぜ? 

「深煎り/浅煎り なりたいふたり」ヒスイの毎週ショートショートnote

「高校生活って、すっごい簡単に終わるんだね」 「まーな」 晴れた卒業式のあと、二人で話し…

「さて、死んで来るか。命乞いする蜘蛛を割り」ヒスイの毎週ショートショートnote

「私を差し出せば御命が助かりましょう。ぜひに、ぜひに」 彼女は完璧な曲線を作り、つつまし…

「桜回線・1年後」ヒスイの毎週ショートショートnote 字余り参加(笑)

「大事すぎるから、『愛している』なんていえないのよ」 五月の夜、彼女は庭の桜に手を触れて…

「忠実な伝書鳩と、終わらない断捨離」

年の暮れから病になった母は、最近しきりと断捨離をする。 それも『人にあげたい断捨離』だ。 …

「スプーンを捨てろ、腹をくくれ」ヒスイの毎週ショートショートnote 410字

「……今日が、その日か」 俺は頭上を見た。天井が膝の上のお子様ランチに向かって、下がって…

「行列リモコン~有機か無機か」ヒスイ毎週ショートショートnote 字数オーバー編

夕暮れどきのマクドは混んでいる。向かいに座っていたカレシの俊一が、ぺりぺりと紙コップの底…

「このツノは、未来の貴女のため」ヒスイの毎週ショートショートnote 字数オーバー(笑)

わが家が代々受け継いできた老舗ホテルには、「人のツノ」が見える場所がある。東館の、祖母の部屋だ。 私は子供の頃、そこでツノを見た。 祖母は静かな人だったが、ときどき厳しい顔で母を部屋へ呼んだ。 母を心配した私は、こっそり部屋をのぞいた。 障子ごしに、うなだれた母の影が見える。向かい合った祖母はぴしりと、 「お客様の前で、何という失態です!」 やがて祖母の額から、ツノがはえてきた。鋭くとがったツノが、母に迫る。 「……ママにげて」 私の小声が聞こえたようだ。ツノはみるみる