「シュクル・アン・モルソー~立方体とインコの記憶」毎週ショートショート⑦
6歳児にとってペットのインコが逃げ出すのは、この世の終わりに近い。
その日、私は庭で半日泣いていた。逃げたインコは学校になじめない私の親友だったから。
『探しに行く!』とわめいたが、忙しい母はちらっと見ただけ。
そこへジローおじさんが来た。大きな目をぎょろぎょろさせ、いつも怒ったみたいな顔をしている。
私はおじさんが、こわい。
おじさんは、
「翠(みどり)、ちょっと出るか」といってひょろん、と歩きだした。祖母がそっと手を振る。私は仕方なく一緒に出た。
おじさんは川っぺり