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読書感想文 松本 康『都市社会学・入門〔改訂版〕』

たまには読書感想文でも書いてみます。
しかし小学生の時は読書感想文の宿題が大嫌いだった私。ちゃんと順序立てて感想文を書けないので、ざっくばらんに自由に書きます。

今回読んだ本はこれです。

都市社会学の定番書が最新版に。学修の質をあらためて追求し,伝統的な学説・方法から,最新の議論や事例までを網羅した。事例には,伝統的消費都市・金沢,東京・原宿の変容,上海やムンバイなど発展の著しいアジア都市の現状,震災復興の動向まで盛り込む。

Amazon紹介ページより

今、都市社会学がブームです。世間的にではなく、私の中で。いわゆるマイブーム。
なぜマイブームになったかを話すと身バレになるのであまり話せませんが、都市の構造を知ると身近な町を色々な視点で見れて面白いなあと思った点が大きいです。

そもそも都市社会学とは何か?ざっくり言うと、都市とはなぜできるのか?どんな種類があるのか?その問題点とは何か?を研究する学問です。……多分。まだまだ勉強し始めの赤ちゃんなのでちゃんとした定義は分かりません。ということで、Wikipediaに頼ります。

都市社会学(とししゃかいがく、: Urban Sociology)は、都市生活の実態をふまえて、都市の構造や機能を多角的に分析、解明しようとする社会学の一領域。さらに役割、それらの変遷などを明らかにしようとする。

Wikipedia

まあ、大体合ってますかね?

あまりにも面白くて職場の後輩に貸した(押しつけた、とも言い換えられる)ので、今この本は手元にはありません。よって、スマホアプリ「ビブリア」に記録したメモを頼りに感想文を書きます。

シカゴ学派

そもそも、都市社会学はシカゴで始まったそうです。いわゆる「シカゴ学派」ですが、「シカゴ学派」は色々な学問にあるそうです。
シカゴはアメリカの中でも大都市です。その中につくられたシカゴ大学。研究にもってこいの場所だったわけです。

さて、シカゴには「Loop(ループ)」と呼ばれる場所があります。これがシカゴという大都市の中心部です。こうした大都市の中心部のことを、「中心業務地区(Central Business District、略してCBD)」と呼びます。東京で言う丸の内や霞ヶ関のことです。

シカゴでは、ループから始まり同心円状に地区の特性が変わっていきます。簡単に言うと、郊外に向かえば向かうほど所得が高い層の住宅地になります。これを「同心円地帯論」と呼ぶそうです。
基本的に、大都市付近は人が多すぎて住環境があまりよくありません。よって、お金を持っている人は大都市から離れた場所に邸宅を構えます。一方、移民や低所得層は郊外に行けず、かといって仕事のために都市から離れることもできず、都市の中心近くに留まります。これをシカゴ学派では「推移地帯」と言うそうですが、一般的には「インナーシティ」と言う方が多いように思います。

ただ、シカゴ学派より後は「同心円地帯論って全てに適用されるのかな?」と疑問視されるようになりました。鉄道網などでCDB周りの環境も変化しますからね。

都市化

欧州の都市化には、4段階あるそうです。
1.都市化…中心部の人口が急増し、周辺部の人口は減少する
2.郊外化…中心部が過密になり、郊外の開発が始まる
3.逆都市化…郊外ばかりに人が向かうようになり、都市圏全体の魅力が減る
4.再都市化…中心部を再開発する

しかし、これを日本に当てはめるとちょっとずれるそうです。それは、逆都市化がないことです。
戦後~60年代まで、一気に都市化が進みました。
60年代以降は郊外化が進みました。ニュータウン開発や団地の建設を手がけた日本住宅公団ができたのが1955年なので、そのあたりも関係しているのでしょうか。この時代に、都市の中心部はオフィス、労働者は郊外に住む、という区分けができました。

さて、1970年代になるとオイルショックが発生します(中東戦争の話したくなるけれど我慢我慢)。世界的に工業経済を基盤とする大都市経済が衰退しますが、日本はうまく乗り越え、都市が衰退することはありませんでした。その結果、相対的に東京の世界的価値が上がり、オフィスビルがさらに建つようになりました。
代わりに、農地や山林に新たな住宅地が建つようになります。ちなみに、無計画にどんどん広げた結果インフラなどの問題を抱えてしまった発展をスプロール現象と言います。

再都市化が起きたのは、バブル崩壊後です。バブル崩壊により、全体的に地価が下落しました。よって、バブル期と比べて都心部に家を買う人が増えました。

工業化

都市へ急激に人が集まるようになったのは、産業革命からだとされています。日本でも、明治維新後(つまり産業革命後)に仕事を求めてたくさんの人々が都会へ押し寄せてきました。

しかし、その常識を揺るがす事態が発生しました。それが「情報革命」です。今までは工場があるところに人が集まっていましたが、ICTの発展により工場に行かずとも仕事ができるようになりました。
こうして企業や人口が都市から流出し、都市の空洞化につながる場所もありました。アメリカのデトロイトの衰退がその例です。
一方、温暖ないわゆるサンベルトと呼ばれる地域は、IT企業が盛んです。

コロナ禍のリモートワーク拡大により、一時期郊外化がかなり進んだように思います。しかし、リモートワークを辞めて通常通り出勤させる企業も増えてきました。今後、都市と郊外の関係はどうなるのでしょうか……?


以上、都市社会学を取り敢えず学んでみようと入門書を買った結果意外とハマってしまったオタクの文章でした。
お付き合いいただきありがとうございました。

追記:
「CBD」「インナーシティ」「ジェントリフィケーション」「スプロール現象」
以上が最近私の中でブームの言葉です。ピンと来たら具体例を教えていただけるととても喜びます。

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