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転職でレジュメを作る時に大事な、職務要約の書き方【営業職の人向け】

こんにちは、ひさやんです。
営業職に特化したキャリアアップ支援の人材会社を東京で経営しています。

関西の大学を卒業した後、コンサルファームを経てリクルートで営業/営業マネジャー→人材ベンチャーの取締役等を経て独立。日々、今後のキャリアを検討される営業経験者の方と、キャリアアップのための作戦会議を試行錯誤しながら取り組んでいます。

自分自身の営業経験や事業の経験も重ね合わせながら毎日、営業の方のキャリアのご相談に乗りながら「ここで躓くのね」とか「これもったいなくね?」とかっていうことに気づくことがあります。ここでは、そうした気づきを実例を交えながらお伝えしていきます。これからのキャリアの考え方や転職活動に何か活かして頂ける部分があれば嬉しいです。

一応念のため…「万人共通のキャリアの成功法則」は難しい
そもそも、キャリア構築における成功の秘訣とかポイントって実はあり得なくて、それは「あなたの人生における成功は何ですか?」の成功の定義が人によって全く違っているのとほぼイコールなので、答えるのが難しい…というか無理だと思っています。

また、単純に「成功=行きたい企業に転職できること」と置いたとしても、その人が保有している経験値や年齢などの属性、またどんな希望や志向かによっても戦い方は全く異なるので、成功法則を一概に言うことは難しいです。だからこそ個別の状況を確認しながら、絶対解はないけど納得解を探す…というのが重要になってきます。なのでこのコーナーでは「こうすれば転職は成功できるのだ!」ではなく「こういう人がいらっしゃったんですけど、こんな選択をしたらうまくいきましたよ」の実例を、ご本人の許可を得ながら開示して、そのエピソードの中の使えそうな要素を自分に当てはめて頂くのが良いのではと思っています。

職務要約はめちゃくちゃ大事。
ただ、レジュメの書き方の法則、というか、これ押さえないと勿体ないで、損してるで、というのはありますので、今日はその中で最も重要だと僕が思っている、職務要約の書き方についてのお話を書きます。レジュメの中で最も重要なのが職務経歴書の職務要約の部分で、職務要約のまとめ方が転職活動の成否に大きな影響を及ぼすと言っても過言ではないと僕は思っています。転職支援の際に相談を頂くことも多いのですが、その時も職務要約だけはすごくうるさく修正をお願いしています。

何故重要か?という理由は幾つかあるんですが、簡単な話、まず一番見られる部分だからです。自分の場合は順番として、履歴書でその方のプロフィールの大枠を把握してから、職務要約を見に行きます。聞いたことないですが、友人の人事部長や人事担当なんかもそう言ってたので、大体みんなそうなんじゃないかなと思います。

まずは、冒頭の部分で「この人はどんな人か」をイメージします。見る側にとっては、どんな仕事をしてこられたのかの概観を押さえると共に、何に期待できる人かな…逆に気にしなきゃいけない点はどこかな…という仮説を出すのが職務要約のパートです。例えば「法人営業職として総合的な課題解決の提案業務を…」とか書いてあったら「どこまで総合的にやってたのかな」「どの階層に提案していたのかな」とかってパッと疑問が湧いて、そうした仮説や疑問に対しての詳細の確認を職務詳細にしに行きます。なので、書き手からすると「自分をどのように見て欲しいか」ということが提示できているかどうかというのがすごく重要です。

ぜひ読んでもらう場面を想像して頂きたいのですが、こちらがめちゃくちゃ一生懸命記載しても、人事も現場の責任者も、多い人は月に何十枚も何百枚もレジュメが来ている訳なので、正直、じっくり読み込んでくれているかは現場責任者や人事に依ります。さらっと見て「違うな」と思って細部まで確認しない人事や経営者の方もいらっしゃいます。そうした人に見て貰う場合でも「お?この人気になるな、会ってみたいなと」と思って貰えるように「これだけは伝わってくれ!」という点をどこまでしっかり盛り込めるか、しかも冒頭の部分で、ということですね。

更に重要なことがあって、業務の中で論理思考力やドキュメンテーションのスキルが必要になる場合はレジュメの書き方自体が評価の対象になります。こうした場合は、例えば実際の職務内容が評価ラインに乗っていたとしても、大前提として魅力的に、かつコンパクトに書けていないだけで書類通過できないことも多々発生します。

そもそも、何のためにレジュメを書くのか。
職務要約について考える前に、レジュメって、そもそも何のために作成するんでしょうか。その目的によって、書き方は結構、変わります。

これ企業にとっては、当たり前ですが応募者全員に会ってられないので、書類だけで判断しないことを前提に、面接で会いたい人を絞り込むための判断材料が履歴書・職務経歴書やポートフォリオや、その企業固有のワークだったりします。

但し、実は企業によって「書類選考」の位置づけは結構違います。人物重視の採用のため、書類通過後はあんまり重視しないですっていう企業もあれば、面接時も含めて相当細かく見る企業もあります。

ここは企業側の考え方や該当ポジションの業務内容にも依るのですが、どれぐらいレジュメを重視しているのか?が分かれば、限られた時間をどこまでそこに投下するのかも検討できます。ぶっちゃけた話、書類選考通過しさえすればOKな企業のレジュメを何時間もこねくり回すのめっちゃ無駄です。足切りに引っかからないようにしたいなら、引っかからないように書けば良いだけなので。

一方で、もし加点を取りに行きたいなら特に職務経歴書はプレゼンテーションツールとして「自分の経験の中で、どの部分をプレゼンしたら期待が貰えるのか」を明確にする必要があります。ただ、そういうの考えずにただ経歴を記載して損している人がめっちゃ多いです。

これはあくまで企業サイドのジャッジラインを知っていないと成り立たなくて、そのラインをこれまでの実例から知ってますっていうのが人材エージェントの使えるポイントだったりするので、そこはぜひうまく活用して頂くのが良いんじゃないかと思います。

具体例から考える良い”職務要約”作成のポイント

前置きが長くなりました。「職務要約」の書き方について、事例からお伝えしていきます。まずは、実際の会員さんの事例を見ていきましょう!まずはカルテ(弊社では基本的な属性やご希望を面談前に入力して頂いています)

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・28歳、男性
・東京都出身
・職歴(6年0ヵ月)
①某大手食品小売での販売経験 3年と2ヵ月
②不動産営業 1年と1ヵ月
③BPOサービスの法人営業&プロマネ業務 1年と3ヵ月
④営業コンサルティング会社 6ヵ月
・転職の軸:営業スキルを高めたい、特にIT系の業務スキルを得たい。
・転職希望されている企業:WEBサービスの営業ポジション
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この方はまず、直近の職歴が短いのがどこに行っても(一目瞭然ですが)気にされると思います。20代で4社目、というのは、大企業にしてもスタートアップにしても、もうちょっと頑張れなかったのかねという印象は拭いきれないですね。かつ、1年程度が3社、最後の1社は半年になっているので、まずは絶対に次の環境では何があっても2年間、できれば3年以上、しっかりと腰を据えてトレーニングすることをお勧めしています。

そのためには、改めて自分の特性を確認することも重要です。何故、続かなかったのか?もし選び方が間違っていたとしたら、どういった環境を選べば間違いなく今後のキャリアを歩めるのか。弊社ではそうした自己理解やキャリア選択を整理するサポートもさせて頂いていますが、今日は本編からは割愛します。で、実際の職務要約の部分なのですが…既に他社に提出しているレジュメとして頂いたのが、こちら。

当初レジュメ①

どうですかね、これ見て頂いて…。長くないですが??
ちなみになんですけど、ここからまだ次のページがあります…

当初レジュメ②はい、ここまで職務要約。

職務要約…数えたら48行ありました。これはもう、要約とはとても言えません。文章の内容自体は丁寧に記載を頂いているのですが、情熱が完全に空回りしています。そもそも要約しとらへんやんけ!と突っ込まれる…というか、僕はこれ見て一人で突っ込みましたが、これはもう、これだけで下手したら落とされるレベルです。

長すぎる以外にも、この方の職務要約の問題点は、ご自身の職歴の短さをカバーしようという想いが強くて自己PRが強くなりすぎて逆効果になっている点です。

例えば直近の職場での「責任者として新規事業を牽引し…」という部分なども、半年の在職期間でそこまで言い切られても逆に信憑性が下がってしまうことになります。あとは「見込まれて」とか「ヘッドハンティングされ」とか「自分は評価されてきた…!」を前面に出すのも、多少は良いのですが盛り込み過ぎは逆効果になることが多いです。

職務要約以外にも突っ込みどころは多いのですが、今回は職務要約に特化するとしてこのパターンの場合、悩ましいのは3~4社、経験されていて、それぞれの会社の経験が異なる方の場合には、要約が難しいという問題があります。

こうした場合は、全体を通して自分の職歴をどうまとめるか、という作業が必要になります。例えばこの方の場合だと…ご一緒に修正してこんな感じになりました。

レジュメ修正後

48行が10行まで短縮して頂いています。まだちょっと長いですが…。弊社の場合では、基本的に職務要約は3行~6行ぐらいを推奨しています。2行ぐらいだと、せっかくの機会を失います。7行ぐらいになると、ちょっと長いなぁ…と見た瞬間に感じます。転職ノウハウ本とかだと、だいたい3~4行を推奨されが多いのですが、フォントの大きさにも依りますが、きちんと相手視点で書けていれば、5~6行は問題ないと思います。

ただ今回の場合は、簡潔にまとめることよりも、職歴が短いスパンで移っていることを、全体のストーリーとして理解して貰うために必要かなと思います。一つ一つの職歴の接続が必要なければ、例えば「様々な領域で、一貫して営業職および営業マネジメントに従事…」みたいな、まとめての書き方ができるのですが、接続の文脈を出すために、今回は敢えてこうした書き方にして頂いています。

職務要約は自分をどう見て欲しいかの「枠組みの提示」

職務要約というのは枠組みの提示です。つまり「自分をこう見て欲しいんです」の見方を提示する箇所です。だから相手に「こういう枠組みで見てね」ということを全体のストーリーとして提示しないといけません。「どんな印象を持ってもらいたいのか?」という自身のキャリアにおけるコンセプトを示して、その枠組みで詳細を確認してね、という流れを意識すると良いとお伝えしています。

その時に意識すると良いポイントは「事実と数字で示す」ということです。職務要約はあくまで「これまでの職務の」要約なので、自己PRすべき場所ではありません。でも、こういう風に見て欲しい、という枠組みを提示する場所ではある。矛盾するようですが、自身の「わかって欲しいコンセプト」を自分の経歴を事実ベースで如何にうまく整理して伝えるか?ということが重要です。その観点で先ほどの例を見ると、そこかしこに「自分は価値があるのだ」が主観的に書かれているのですが、これは逆効果になってしまっています。

例えば「“もっとここを改善すれば”という気持ちを発し続けており…」とかは、凄く主観的です。気持ちを発し続けているというのはどのような状態なのか?どこまで「発して」「続ければ」良いのかっていう定義は難しいですよね。

Before→Afterを見て頂くと、Afterには基本的に事実と数字で構成されていますが、逆に志望動機の理由は敢えて入れて頂いています。このことで、事実と客観視できるエピソードを中心にしつつ、流れは理解して貰えるように修正をお願いしました。でも、この方が、営業職として一定の成果を出して来られたことや、自分の意志で進路を選択してこられた印象は伝わると思います。やたらと自己アピールするのではなく、客観的に正直ベースで自身の強み(この場合は営業成果を出せる人材、チームワークを重視する人材、という感じでしょうか)を提示して頂いた方が、信頼感の高いレジュメになります。

もう一つポイントになるのは、先方企業にとって「どうでも良いワードは削る」ということと、逆に「気になるワード」を盛り込むことです。
「どうでも良いワード」を入れている方は割合としては結構、多いです。例えば今回で言えば、1年目の店舗運営を通じての「基本的な経営の成り立ちを学ぶ」とかっていう記載は、普通に店舗の店長をやっていれば収支を見ているとかそういうことは分かるので、そのこと自体は書かなくて良いんですよね。

あと「ヘッドハンティングされ…」っていうのも「自分はヘッドハンティングされるような人材だ」というのを言いたいからだと思うのですが、そもそもヘッドハンティング会社が3年目の店長を狙う訳ないなんて人事なら誰でも知っていて「あ、企業からスカウト貰ったのね」と、分かる訳です。それを敢えて「ヘッドハンティングされて…」と書いている…「うーん」という感じになっちゃいます。

なので、相手が求めていない記載はできるだけ削除して、限られた文字数の中で、どこまで意味のある情報を盛り込むか、ということを大事に記載して頂ければと思います。

ちなみにこの「欲しくないワード」は企業によって当然、違います。今回はIT系の営業ポジションに挑戦しようとされているので、こうした表現に変わった訳ですが、例えばもし営業経験も活かして、飲食店舗のSVのポジションにこの方が応募しようとされているなら「経営の成り立ちを学び…」の部分は、もっと具体的にして提示しなきゃならず、逆に後半の営業の部分はめちゃくちゃサックリで良い訳です。

例えば極端な話、この方が組織開発に興味があって人事コンサルとかに応募されるなら、店長のご経験の際やBPOサービスの拠点マネジメントの話とかを中心に盛り込まないと、逆に「別に欲しくない情報」にあふれた職務要約になってしまいます。

まとめ

今日は職務経歴書の、職務要約の書き方についてお話をしました。
まとめると、

①職務要約は、3行~6行で収める
②事実とファクトで整理する
③相手が知りたいポイントだけに絞る
④先方企業の「気になりワード」を盛り込む

ということを意識して頂くとまずは良いのではと思います。


ちなみに、これって別に転職活動の時に限った話ではないですよね。
ぜひ思い立った今、PCやスマホを閉じて、5分測って自分の職務要約をノートに書き出してみてください。

如何でしょうか。5分で自分の業務経験の要約、書けましたでしょうか?
企業と個人が対等の関係性で契約を結ぶこれからの時代において「自分はどんな経歴を経ているのか」「今の時点で、自分は何に期待してもらえそうか?」を簡潔に話せることは、転職活動に限らず重要だと思います。今日、お伝えしたことも参考にして、ぜひ定期的にアップデートして頂けると幸いです。

引き続き、人生を通してトレーニングに励んでいきましょう!

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私、ひさやんの所属する株式会社コトブックでは、20代・30代の営業経験者の方に特化したキャリア形成支援の事業を行っております。

これからのキャリアをどうしようかと悩まれる方には、今後のキャリアの方向性を確立するためのお手伝いをさせて頂きます。また、営業経験を活かす転職を考えられている方には、転職活動の具体的なご相談にも転職エージェントとしてサポートさせて頂きます。

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