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スペイン語ことわざ手ぬぐい(江戸紫)/解説

イスパニカのオンラインショップ「イスパニカストア」にて、スペイン語ことわざ手ぬぐい(江戸紫)の販売を始めました。<現在は売り切れです。>

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こちらの記事では、この手ぬぐいに染め抜かれている16のことわざについて解説します。

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上の写真の黄色いマル付き数字の順番に解説します。


Del dicho al hecho hay mucho trecho
[デル ディチョ アル エチョ アイ ムチョ トレチョ]
訳:言葉と行為の間には大きな隔たりがある

「言うは易いが行うは難し」と同じ意味。dicho(言うこと)、hecho(やること)、 trecho(距離)で韻を踏み、軽快なリズムになっています。『ドン・キホーテ』に、「船を浜辺に着けて乗り込めばよい、世界中が邪魔立てしようとも乗るまでのことじゃ」と気楽に言うドン・キホーテに対して、サンチョがこのことわざを引いてたしなめる場面があります。



Todo lo que sube, baja
[トド ロ ケ スベ バハ]
訳:上がるものは必ず下がる

万有引力を発見した物理学者ニュートンの名言“What goes up must come down”のスペイン語版。もともとの意味は「どのような物体でも上に上がったものは重力によって落ちてくる」ですが、現在では「どんな事柄にも浮き沈みがある」という意味で使われています。日本語では「諸行無常」や「盛者必衰」、あるいは「苦あれば楽あり(楽あれば苦あり)」などに当たるでしょうか。



El miedo hace a las hormigas elefantes
[エル ミエド アセ ア ラス オルミガス エレファンテス]
訳:恐怖はアリをゾウに変える

アリのようにどんな小さなものであっても、恐怖を抱く者にとってはゾウと同じくらい大きな存在感を示すという意味。日本語の「疑心暗鬼」に当たります。



La letra con sangre entra
[ラ レトラ コン サングレ エントラ]
訳:学問は血を流して身につく

「何かを学び極めるには、血のにじむようなたゆまぬ努力が必要だ」という意味で、短い文の中に学ぶことの難しさが込められたことわざ。letra(学問)とentra(入る)が韻を踏んでいます。ただし教える側が本当に流血させるような指導は言語道断ですよー!



No hay miel sin hiel
[ノ アイ ミエル シン イエル]
訳:苦行なしに甘い蜜はない

「人生山あり谷あり」。miel(ハチミツ)とhiel(苦汁)が韻を踏んでいます。甘いものと苦いもの、楽しいことと苦しいことの対比を表すことわざは洋の東西を問わず、たくさんありますね。



Más vale tarde que nunca
[マス バレ タルデ ケ ヌンカ]
訳:遅くてもしないよりはまし

役に立つことや利益をもたらすことならば、たとえ遅れたとしてもやるべきだと意味。どうせ今さら、とあきらめないで、始めてみることが大切だということわざです。



Casa con dos puertas mala es de guardar
[カサ コン ドス プエルタス マラ エス デ グアルダル]
訳:2つ戸がある家は防犯上では不利である

一見便利そうに思えることでも、実は問題が起きる原因となりえるという意味。スペイン人劇作家のペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカが1629年に創作した劇のタイトルです。



Quien tropieza y no cae, adelanta terreno
[キエン トロピエサ イ ノ カエ アデランタ テレノ]
訳:つまずいても転ばない人は道を突き進んでいく

たとえ障害や失敗があっても、重要なことはそこから学びを得てあきらめずに前に進んでいくことだという意味。日本語のことわざ「七転び八起き」が行為のことを指しているのに対して、スペイン語では「転ばない人」という不屈の精神の持ち主を主体にしています。

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Para muestra, un botón
[パラ ムエストラ ウン ボトン]
訳:見本にはボタン1つで十分である

ボタンという小さなひとつのものを見れば、他のすべてのことが推測できるという意味。日本語のことわざ「一事が万事」と同じ意味になります。



Cuando el río suena, agua lleva
[クアンド エル リオ スエナ アグア ジェバ]
訳:瀬音がするところには水がある

何らかの兆候があれば、事実は推し測れるものだという意味です。日本語で言う「火のないところに煙は立たぬ」とほぼ同義。suena(音がする)とlleva(運ぶ)が韻を踏んでいます。



A caballo regalado no le mires el diente
[ア カバジョ レガラド ノ レ ミレス エル ディエンテ]
訳:もらった馬の歯を見るな

贈られたものは何であれ、ケチをつけずに受け取るべきだという意味。馬の健康状態は外見ではわからないので、馬の仲買人は臼歯の減り具合を確認して馬の価値を鑑定していたことからこのことわざが使われるようになったそうです。19世紀までは馬が主要な交通手段や農作業の担い手であったことから、馬にまつわることわざは多くあります。



Cada oveja con su pareja
[カダ オベハ コン ス パレハ]
訳:どのヒツジにも似合いの連れ合い

同じような境遇の者と一緒に暮らすと安心できるという意味。日本語で言う「似たもの夫婦」「割れ鍋に綴じ蓋」や「牛は牛連れ馬は馬連れ」、「類は友を呼ぶ」にも近いでしょうか。oveja(ヒツジ)とpareja(パートナー)の脚韻が効くリズミカルなことわざ。



Más sabe el diablo por viejo que por diablo
[マス サベ エル ディアブロ ポル ビエホ ケ ポル ディアブロ]
訳:悪魔は悪魔ゆえでなく、年寄りだから物知り

悪魔は長生き(不死)であるという前提で、長く生きている経験から得られた知識は何よりも価値があるという意味。日本語には同じような意味で「亀の甲より年の功」がありますね。



El que no trabaja, no come
[エル ケ ノ トラバハ ノ コメ]
訳:働かざる者食うべからず

スペイン語の学習で最初に習う規則活用動詞、trabajar(働く)とcomer(食べる)が使われたことわざ。意味は説明不要ですよね? 新約聖書の『テサロニケの信徒への手紙二』の一節に出てきた表現だということです。



Casarse deprisa es arrepentirse despacio
[カサルセ デプリサ エス アレペンティルセ デスパシオ]
訳:急いで結婚するとゆっくりと後悔が募る

結婚はあくまでも例です。熟考せずに行ってしまったことは、後になって少しずつ問題が生じるという意味です。日本語のことわざである「後悔先に立たず」や「後の祭り」と同じように使われます。でも使う相手と状況は選んだ方がいいかもしれません!?



Cuatro ojos ven más que dos
[クアトロ オホス ベン マス ケ ドス]
訳:4つの目は2つの目よりよく見える

問題を解決するには一人で考えるのではなく複数の者に相談した方が良いという意味。日本語では「三人寄れば文殊の知恵」なので、目は6つになりますね!

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いかがでしょうか。情報量満載、スペイン語のことわざが染め抜かれたオリジナル手ぬぐいのご購入はこちらの<イスパニカストア>から。

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※この解説は、主に以下の書籍やサイトを参考にして作成しました。

星野弥生(2019)『ミニマムで学ぶ スペイン語のことわざ』クレス出版

Centro Virtual Cervantes 
https://cvc.cervantes.es/portada.htm

Significados
https://www.significados.com/

Wikipedia, la enciclopedia libre
https://es.wikipedia.org/

コトバンク
https://kotobank.jp/jaesword

スペイン語のことわざ・格言 - 直訳と意味を勉強に役立てよう
https://www.langland.co.jp/spanish/column/spanish-column10.php

スペイン語の名言・ことわざ28選!
https://cuty.jp/76676

故事ことわざ辞典
http://kotowaza-allguide.com/

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スペイン語ことわざ手ぬぐい(江戸紫)の購入は、こちらのイスパニカストアから。ご注文、お待ちしています。

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https://hispanica.stores.jp/


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