娘コン8:もしもデジタルマーケティングコンサルの父が受験生の娘をマーケティングしてみたら(8)

クライアントとコンサルタントの関係を、受験生の娘とその父親に当てはめた場合、仕事上では経験しない、いろいろな問題が発生します。
特にやりにくいのが、コミュニケーションを取ろうとするタイミングを間違うと、ウザがられてしまうことです。
そもそも、年頃の娘というものは「自分の父親に対して、生物学的に親密にならないように、遺伝子に嫌悪するよう組み込まれている」と言われています。
なので、あまりベタベタと手取り足取りのアドバイスはできないと考えたほうがいいでしょう。

仕事では、プロフェッショナルの立場から、アドバイス的な提案を先方に投げて対応を見届ける場合が多く、アドバイスどおりに実施してくれるかは先方次第です。
強くおすすめしても、「方針は会社側で決定しますので」と、断られることさえあります。
そうならないために、私はクライアントと目線合わせをしています。
「目線合わせ」とはなにかといえば、同じ目標に向かって共通の意識でプロジェクトを進めるパートナー関係を作ることです。
対立軸で仕事をした場合、結果に対して、責任の所在が曖昧になっているケースが非常に多く、失敗すればアドバイスが悪く、成功すれば自社製品や市場環境が良かったと言われてしまう事がよくあります。
パートナーとしてみてもらえないと、いろいろな場面で力関係による歪みが生じます。
例えば、「仕事を出してあげてるのだから、値引きしろ」と言われるのは、パートナーという意識が低いからです。
こちらも金額に見合ったサービスを提供しているので、「値引き=サービスを低下させろ」と言っているようなものです。

勉強では、学校や塾の先生がいるので、親が口出す場合には、ティーチャーではなくコーチ、つまりコーチングに徹しなければなりません。
特に受験勉強では、知識を詰め込むよりも、得点力を高める方が重要なので、受け身ではなく、自発的に行動させる必要があります。
基本的な知識の習得は先生からでよいのですが、実践での得点力は自分で問題を解いてみないと身につきません。
限られた時間の中で結果を出さなければならない受験戦争では、受験勉強ではなく受験練習を数多くこなすことが合格への近道です。
例えば、寿司屋の板前になる修行は、大将の手つきを見て覚えるので、先生が実践するのを見るのと同じ形式、つまりティーチングです。
この方法では、とても腕のいい職人になるかもしれませんが、一人前になるのに時間がかかります。
テニスプレーヤーの大坂なおみ選手は良いコーチに恵まれメキメキと力をつけていきました。もちろん持って生まれた才能と努力があったのは言うまでもありませんが、それを引き出すコーチの存在が大きかったと思います。
しかし、彼女はグランドスラム大会で優勝するまでにしてくれたコーチを突然解任してしまいました。
このことについて、いろいろと言われていますが、私なりに理解している部分があります。
それは、コーチがティーチャーになりつつあったということです。
相手に依存関係を持ってしまうと、それはコーチングではなくティーチングになってしまうのです。大坂選手は解任前はかなりコーチに依存しているように見えました。
トッププレーヤーを目指す大坂選手ですから、このままではいけないと気づいたのかもしれません。

依存関係は上下関係を生じます。
パートナー関係では、同じ目線で、自立心を持って行動するので、互いに刺激となって向上していきます。

では、親が娘に上下関係を持たないように接するという事ができるのでしょうか?

実践中なので断言はできませんが、多分できます!

どんな接し方かというと、友達のような関係です。
もともと私は娘に厳しく接することはありませんでした。
幸い、反抗期もまだ来ていません。休日には母親の代わりに料理を作ってあげたりしています。なので、割と良好な関係です。
そこで、娘には父親ではなく同じ受験生のつもりで接しています
良い参考書を見つけたら、「話題の参考書を買ってきたけどやってみる?読み終わったら使いたいから返してね」と言います。
また、私は理系なので、理系科目は解き方を教えますが、文系科目はからきし駄目なので、娘が受けてきた模試を同じようにやってみて、私が間違えたところを教えてもらっています。
すると、しっかりと教えてくれるものもあれば、なんとなく合っていただけだから教えることができない問題もあります。
そんなときは、一緒に解き方を考えます。
そうやってパートナーとして目線を合わせています。
「現役受験生がおっさんに負けたら恥ずかしいよ」とたまに挑発しますが、これは、やりすぎると逆効果になるので、お気をつけください。

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