広告革命4.0 ついに未来の広告が動き出す 第二章:広告革命を起こす

第二章:広告革命を起こす

・広告媒体が広告を殺す

未来の広告を早期実現するためには、現在、何が問題なのかをしっかりと把握する必要があります。ただ、現在の広告について抽象的な論理を展開してもピンとこないでしょうから、我々、たくさんの広告にさらされている一般ユーザーの立場として実際に感じたことを挙げて考察していきたいと思います。

現在もマス媒体の王者といえばテレビですが、最近は盛んにテレビ離れが叫ばれています。いったい、その原因は何でしょう?
コンプライアンスが厳しくなり、昔みたいにハラハラするような映像を流すことができなくなったからでしょうか?
確かに、そういった映像を好む人達はユーチューブへ移行してしまったかもしれません。しかし、もっと根本的な原因があると私は思っています。
いろいろな原因の中で、私が最も感じたのは、テレビが視聴者のニーズに応えられなくなってきたということです。
これだけ情報が溢れる社会では、人々は、必要な情報を、より早く、より正確に受け取りたいニーズがあります。たとえ、バラエティ番組を見ているときでも、面白い話を手短に聞きたいし、面白いシーンをすぐに見たいはずです。それが、出来ていないのが原因のような気がしています。
極端な言い方かもしれませんが、番組制作サイドは視聴者を下に見ているように受け取れるのです。例えば、コンテンツの質を高めようとする代わりに(視聴率を高めようとしてわざとやっているのかもしれませんが)、ちょっとしたことを大げさに煽ったり、番組の尺を稼ぐために内容が薄いことを最後まで引っ張ったりする番組が非常に多く見受けられます。CM前では、番宣で使ったシーンを何度も繰り返し流し、このあとすぐに見られるかのように煽ります。しかし、CM明けでは結局違うコーナーが始まり、なかなか見せてくれなかったりします。番組を最後まで見ても、結局「な~んだ」とがっかりするか、たとえ面白かったとしても、1時間のうち10分ほどの内容だったと感じることが多く、次回からは録画して途中飛ばしながらみようと思ってしまいます。
つまり、制作側が思っている以上に視聴者は賢いので、毎回同じ手法で騙され、CMが終わるまでおとなしく見ている人がどんどんいなくなっているのです。テレビ離れと言うよりも、内容が薄いコンテンツに見切りをつけて見なくなっているのです。そもそもCMをいいところで挟み込むやり方も視聴者のモチベーションを無視したやり方なので、リアルタイムで視聴することでCMに邪魔されるより、録画で見たほうがCMを飛ばして見られるのでスムーズに視聴できます。これでは、視聴者はもちろん、CMの広告主も目的を達成することが難しいでしょう。
このようなやり方を私は「北風手法」と呼んでいます。(なぜそう呼ぶのかは、第4章でご説明します。)

インターネット媒体でも同じようにユーザーが見たいコンテンツの間に広告を挟み込んで無理やり見せています。だから、広告が邪魔で嫌われモノにされるのです。まるで人の都合を無視した押し売りと同じです。そんな媒体で、広告が表示されても、興味が違うところに注がれているタイミングなので、広告内容をあまり見てもらえず、広告効果は向上しないでしょう。このような「北風手法」は勝ちにくい手法です。
このままではアドブロックされて、そもそも広告が表示されなくなってしまいます。ちなみに、アドブロックとは、ウィキペディアによると、「インターネット広告をブロッキングするソフトウェアの機能、ウェブブラウザの拡張、及び広告をブロックする行為の事であり、広告ブロックとも呼ばれる」そうです。
あなたはすでにアドブロックを導入済みですか?

邪魔な広告配信形式には名前がついています。第一章で出てきた「ポップアップ」などです。少し細かい話になりますが、広告表現について見ていきたいと思います。
アメリカの業界団体CBA(Coalition for Better Ads)による、オンライン広告のユーザー経験の向上を目指して策定された「Better Ads Standards」という基準があります。
この基準に示される「ユーザーが不快に思う12の広告表示スタイル」を私の個人的な主観とともにご紹介します。
12スタイルのうち、デスクトップPCでの表示形式が4つ、スマホでの表示形式が8つで次の形式になります。(ここで使う「広告」は「広告表示形式」のことです。)

デスクトップウェブ広告

1,ポップアップ広告(PC版)
見たいコンテンツの上にポンと別ウインドウで出てくる広告で、コンテンツが見れなくなるものもあれば、ページを離れようとした時に表示されるものなど、様々な表示形式があります。×ボタンで消すのが面倒です。

2,音声付き自動再生ビデオ広告
再生ボタンを押していないのに、いきなり音声とともに流れ出す動画広告です。急に音が出るので、結構びっくりします。

3,カウントダウン付きプレスティシャル広告
コンテンツが表示されるまで、カウントダウンと共に広告が表示されます。早く見たい気持ちを逆なでします。うざったいので、コンテンツを見るのを諦めたくなります。

4,大型スティッキー広告
コンテンツを見ることはできるが、スクロールしてもずっとついてくる大型のバナー広告です。画面が狭くなるので、コンテンツが読みづらくてイライラします。

モバイルウェブ広告

5,ポップアップ広告(モバイル版)
PCと同様に閲覧を妨げる広告ですが、スマホは画面が小さいため、余計に邪魔に感じます。

6,プレスティシャル広告
コンテンツが表示される前に読み込まれる広告で、通信容量制限を気にしている人にとっては特に嫌な広告でしょう。

7,高さの占有率が30%を超える広告
スマホは画面が小さいため、30%を超える占有率の広告が表示されるとユーザーに混乱をもたらすそうです。ここまで大きいと、広告ではなく障害物です。

8,点滅アニメーション広告
文字通り、広告のバックや文字がチカチカと点滅する広告です。目立ちますが、目がチカチカするので不快です。

9.音声付き自動再生ビデオ広告
PC同様、いきなり音声とともに流れ出す動画広告です。急に音が出るので、会議中や授業中だと確実に怒られます。

10,カウントダウン付きポスティシャル広告
PC同様、自分の時間が奪われていることを実感できる広告です。カウントダウンの間にコーヒーを淹れに行くぐらいの心のゆとりが必要です。

11,全画面スクロール広告
この広告は、ポップアップのようにコンテンツ上に表示されますが、×で消すのではなく、スクロールをしてコンテンツからずらしていかなければいけないため、手間がかかります。スワイプする労力すら惜しくなります。

12,大型スティッキー広告
PCと同様にコンテンツを見ることはできるが、スクロールしてもずっとついてくる大型のバナー広告です。スマホの画面でこれをやられると、著しく操作性・視認性が悪くなり、嫌な思いをします。


これらは、インターネット広告媒体が採用して表示させています。
この様に広告ではなく広告媒体が採用する表示形式によって、広告全体が不快なものとされているのです。
まさに、広告媒体に広告が殺されかけており、広告はすでに瀕死の状態なのです。
誰も広告に見向きもしない、広告の墓場が目前に迫っています。

これに危機を感じたグーグルは、自社のブラウザーGooglecromeで、対策を講じると発表しました。組み込み型広告ブロッカーを2019年7月からグローバルに提供開始したのです。このアドブロック機能は、単に広告をブロックするものではなく、ユーザーにとって煩わしいと思う広告だけを選択的にブロックするというものです。
何を持って煩わしいと判断するか?
その基準は、先程ご紹介した、CBAが策定した「Better Ads Standards」の「ユーザーが不快に思う12の広告表示スタイル」に合致したかどうかです。
これにより、少しはネットサーフィン(死語?)がしやすくなるでしょう。ただし、PC・スマホのブラウザをクロームにしなければいけませんが。


まとめ

広告媒体が採用する広告表現手法がたくさんある。
その中でも特に不快に思わせる手法が広告自体を見たくないものにしている。
アドブロックされる前に対策が必要。

・現在の広告の問題点

あなたは広告にどのように関わっていますか?
普通は、テレビや新聞、雑誌やインターネットなどのコンテンツを見ている時に広告と出会っていると思います。私は広告を生業としているので、それだけではなく、広告を生み出したり、管理運用もしています。あなたにも思い当たるかもしれませんが、日々広告に触れていると、どんどん感覚が麻痺してきます。どんな感覚かと言うと、広告を広告として認識する感覚です。仕事柄、なるべく広告には注目するようにしているのですが、あまりにしつこい広告は無意識に目が向かなくなってしまうのです。これを『バナーブラインドネス』と言います。
なぜそうなってしまうのか自問自答すると、私の場合、しつこい広告手法の広告ほど、質が悪い広告という図式が成り立っているようで、ビカビカと点滅すればするほど、全く目が行かなくなるのです。ちなみに、質が悪い広告とは、アダルトや法律に触れそうな内容の広告も当然含まれますが、一番困るのが、時間を浪費してしまう広告です。
例えば、私が以前経験した広告では、魅力的なオファーのバナー広告がニュースコンテンツ中に表示されており、興味があったので、そのバナー広告をクリックしてみました。飛んだ先のサイトでは、確かにバナー広告と同じ文言は書いてありますが、どうやってそれを実現するのか、いくら読み進めても具体的な内容が書いていなく、肝心なことをぼかして書いてあるのです。仕方なく問い合わせフォームから問い合わせてみたら、サイトの説明と違って、実は内容が薄い商品サービスだったというオチの広告でした。さらに、サイトのフォームから問い合わせたために、こちらの連絡先を知られてしまい、しつこくメールで営業をかけられる始末です。
このような、自分の時間を浪費してしまう広告は非常に嫌ですので、今では、本能的に怪しい広告は目に入らなくなってしまいました。
ただ、広告のプロならまだしも、一般の方が広告を見ただけで怪しいと判断することは難しいでしょう。
この問題点の解決には、広告をクリックする前にリンク先の評価がわかるシステムが必要です。
広告自体の表現方法にも問題があります。
「嘘、大げさ、紛らわしい」のキャッチフレーズでお馴染みの日本広告審査機構(JARO)によると、広告表示に関する相談件数は、年間1万件を超えています。多くがテレビCMについての苦情で、オンラインゲームや携帯電話のCMが上位を占めています。その他、通販サイトの苦情も増加しており、「お試し」のつもりで申し込むと、実は定期購入契約になっていて、解約しない限り、請求が発生するというものです。私も引っかかったことがあるのですが、注意書きがわざと見過ごしてしまうくらい小さく書かれています。このケースでは、広告には自動契約になる旨が書かれていなく、申込みフォームに小さく書かれていたりするため、見過ごして申し込んでしまう人があとを絶ちません。
このような広告にだまされないためには、時間を浪費する広告と同様に、広告のトリセツ(取扱説明書)が必要です。その役目を担っているのは、サイトの口コミ・レビューということになりますが、広告につけるのは難しいですし、飛んだ先のサイトについても、すべてのサイトに口コミ評価が有るわけではなく、あっても都合の良いものだけ掲載していたりするのでなかなか信用できません。
誰もが安心して利用できる、「ここは危険ですよ」と教えてくれる広告ガイド機能があると便利でしょう。

問題点はまだまだあります。
私が最も危惧している問題点は、「広告に価値がない」どころか、「広告は嫌なものというマイナスの価値を持っている」ことです。
私に限らず、ユーザーに嫌な思いをさせる一因として、ユーザーの時間を浪費することで成り立つ広告手法があまりにも多いことが挙げられます。
これは、先程触れた、広告自体が曖昧で、内容把握や問い合わせなどに時間を取られるのとは全く別物で、記事を読んだり、調べ物をしているときなど、広告とは関係ない作業中に時間が取られるということです。
広告が表示されている間、作業が止まったり、不必要な情報ばかり表示されて、欲しい情報になかなかたどり着けなかったり、不必要なタイミングで、広告が表示されることで、やりたいことが中断するため、時間が余計にかかってしまいます。
そんなことを繰り返し経験するため、広告主のブランド価値も毀損してしまっているのです。
つまり、広告主とユーザーを結ぶ広告媒体が情報に関与することで、広告主とユーザー双方の利益が毀損されているのです。
余計な時間がかかって届いた情報はたとえ好きだった企業の情報でも、嫌いにしてしまう力があります。
この様に、現在の広告媒体の多くは、広告に負の価値をつけるシステムなのです。

では、なぜ広告システムが成り立っているのでしょう?
たとえ負の付加価値を持った広告でも、ある程度の広告効果を出さなければ広告主に逃げられてしまいます。そうならないように、大手広告媒体各社はデバイスやウェブ上から集められるありとあらゆる個人情報を活用し、広告の効果を向上させようとしています。
巨大企業が、個人の情報を知らぬ間に収集して、結果につながりそうなデータを探しています。これを使えば、広告効果という意味では広告主にプラスに働いているように見えます。しかし、もう少し広く、広告主と消費者の両方を含めて見た場合、本当に広告主にプラスなのでしょうか?

これでは、一時の結果を求めるために、カスタマー・ジャーニーを捻じ曲げているように見えます。
最初の出会いとして、消費者が買うつもりもない時に広告が表示され、広告をゴリ押しされることでその広告主自体をよく思わない消費者がどんどん増えます。しかし後日必要に迫られて再検索すると、リマーケティングという仕組みにより、他の商品に出会う機会を奪われ、あまり好きではない商品がまた出てきます。商品をあまり良く思っていないために、価格を下げなければ購買に繋がりにくい状況になります。広告主が価格を下げれば、消費者は積極的ではないが、何度も目につく商品を、安いし、そこしかよく知らないので買うという図式がみえてきます。
広告主は、興味がない(別のことに夢中な)消費者の行動を邪魔して自社の広告を無理やり見せています。消費者は、別のことをする時間を奪われ、同じ広告を何度も見せられることで、別の情報に出会う機会も奪われています。
つまり、情報の偏在化が起きているのです。

別の例として、ポイントサイトがあります。
ポイントサイトとは、そのサイト内で検索をしたり、おみくじを引いたり、占いを見たりすることで、ポイントが溜まっていくサイトです。そのポイントを使って買い物ができます。利用者は、ポイント付与という動機でサイトを利用しています。ですから、その人たちにいくら広告を表示しても、道端の看板と同じくらい、見ているようで見ていません。しかも、広告は下の方に表示されていて、全部が見えていない状態で、他のおみくじページへ移動するボタンが並んでいたりします。広告をじっくり見てもらうよりも、一定の利用者にサイト内を回遊させることで、広告の表示回数を生み出しているのです。広告業界用語で言うと、「ビューアブル率が低い」つまり表示回数の中に、きちんと見られていない数が多く含まれており、広告主にとって不利な媒体と言えます。
これでは消費者のみならず、広告主も不幸です。

このような、負のサイクルを断ち切るためには、広告に価値を与えるシステムが必要です。
先程申したように、押し売りのオファーが魅力的じゃないのは、必要のない時にやってきて、時間を奪われ、強引に売りつけようとするからです。しかも他の選択肢を与えてくれません。
当然、消費者は、しかたなく買ったモノより、自分が納得して買ったモノの方が満足度が高く、モノに愛着を持つでしょう。愛着を持てば、次回も同じものを買うようになるかもしれません。ですので、押し売りのように1回きりのタッチポイントで、完結させてしまおうとする手法は、現在では成り立たなくなっています。顧客が生涯に費やす金額、つまりLTV(ライフタイムバリュー)を考慮した広告戦略を立てないと、広告を打つことすらできなくなります。
たとえば、無料サンプルの広告をよく見かけると思います。サンプルを使っていただいて、気に入ってくれたら継続的に買ってもらう作戦です。商品に自信がないと出来ない作戦です。無料サンプルだけで終わってしまうと、広告費とサンプル代がかかっているので、大赤字になります。しかし、LTVを考慮しているので、サンプルを申し込んだ人の中から何割かが継続してくれれば、黒字化できるように考えられているので、最初に赤字になっても広告を打つことができるのです。
しかし、今の広告戦略では、なかなか購買ユーザーとマッチさせられないため、赤字の期間が長くなり、広告予算がたくさんある大手以外はビジネスとして成立しにくくなっています。

広告は、企業にとってユーザーに企業活動(商品・サービスなど)を知っていただく大切な機会です。
わざわざ嫌われるタイミングで表示させても意味がありません。
もっとユーザーに寄り添った、情報価値の高いものとして、クリエイティブ、表示場所、表示タイミングを考え直す時期に来ています。

ここまで、広告周りの問題点を挙げましたので、広告関係者はご立腹かもしれません。
「そんなこと言ったって広告主に言われたとおりに作らないとお金がもらえないし・・・」「昔から効果を出す(視聴率を上げる)ためにはこの方法が一番だ」などと聞こえてきそうです。
たしかに、このような雑多な広告手法が入り乱れ、とにかく目立たないと膨大な情報の中に埋没してしまう、そんな不安の中でプロモーション活動をしなければならない、広告マンにとって、今日のようなアナログからデジタルにシフトする過渡期で取りうる手段としては必然的な流れなのかもしれません。
しかし、遅かれ早かれ、良くない広告は淘汰されていきます。
ならば、その前に、広告主と制作側が目的を共有し、「具体的な反応数だけではなく、会社のブランド価値も高まり、熱烈なファンを獲得できる」そんな広告展開を考えませんか?

過去の成功体験は一旦捨てましょう。

広告は未来の為に打つのです。

これだけ変化の激しい世の中で、過去の体験を元に未来を占うことは、ギャンブルに近い考え方です。
過去を参考にすることは大事なことですが、直近、現在の状況をそれ以上に重要視すべきです。
過去と直近、現在の状況と照らし合わせて、どちらの方向にどのくらい、過去と今がズレてきているのかを日々確認しながら、ちょっとずつ方向を定めるやり方じゃないと大きく失敗する可能性があります。
車の運転に例えると、過去だけを頼りに方向を定めるのは、ハンドルを一方向に固定するようなものです。必ずガードレールにぶつかるでしょう。ウェブ広告運用でPDCAサイクルが流行っていますが、これも回し方(サイクルスピード)によっては、ガードレールにぶつかるたびに、ハンドルを固定し直すようなもので、後手後手な手法になります。
あなたは、車(マリオカートでも可)を運転する時に、過去に定めたハンドルの状態と、いま目前に見える白線の位置のズレを確認しながら、少しずつハンドルを調整していますよね?
広告も同じです。過去と今がどのくらいズレてきているのかを確認しながら、ちょっとずつ方向を定めましょう。もう一度言います。過去の成功体験は一旦捨てましょう。
若い人たちは今と過去の時間的間隔が短いのに対して、中年以降の人たちはずっと昔の過去を知っているばかりに、今と比べる過去の間隔が長くなりがちです。しかし、広告に関しては、スマホが存在しなかった昭和と今を比べても良い案が出ないのは明白です。
過去の成功体験に縛られているおじさん・おばさんたちでは考えもつかなかったプロモーション案を、今後はデジタルネイティブの若い人たちがどんどん生み出すことになるしょう。
過去の体験に引っ張られることで思い出した余談を一つ。
投資の世界でも全く同じことが言えます。
株価や為替の動きを知る方法として、チャートというものがあります。
チャートは値動きをグラフ化したものなのですが、あくまでも過去の数値を記載しているだけです。当然、投資家は未来の値動きが知りたいので、このチャートが今後どの様に動くかを分析します。
この分析の際に利用されるものとして、移動平均線(MA)というものがあります。
移動平均線が上に向かっていれば、「上昇トレンドなので、将来もっと上がるかもしれない」といった具合です。
投資をされている方はピンと来たかもしれません。
ここで、一般的に移動平均線といえば単純移動平均線(SMA)を指します。単純移動平均線は、現在のレートと過去のレートを平等に扱って計算されます。これに対して、上級者が使っているのは、指数平滑移動平均線(EMA)です。指数平滑移動平均線では、現在のレートを過去のレートより重要視して計算しています。
投資の世界も過去より今を重視しているのです。決して、「昔1000円だった株がいま100円だからお買い得だ」と飛びつかないでください。なぜいま100円なのかよく分析してください。値ごろ感での売買は大変危険です(笑)。
かなり脱線してしまいましたが、過去より今が大切なのがご理解いただけましたでしょうか?


まとめ

嘘、大げさ、紛らわしい広告がたくさんあり、広告ガイド機能が必要。
嫌われるタイミングで広告を仕掛けるのではなく、広告に価値を与える必要がある。
過去の成功体験を捨て、未来のために何ができるか考える必要がある。

・世界的な広告配信規制

2018年5月、欧州で実施されたEU一般データ保護規則(GDPR)は、世界中に混乱を招き、日本にも大きな影響を与えました。個人情報の保護を目的に施行されたこの規則は、欧州に住む個人の情報を守ることを目的に2012年に立案され、2016年に採択されました。2年の猶予期間を経て実施されたこの規則で影響を受ける日本の組織は、主に欧州在住の個人とやり取りをしている企業なのですが、オーディエンスデータを使ったデジタル広告業界にも少なからず影響が出ています。対応が遅れた媒体では、配信ができなくなったり、ペナルティを恐れ、対応策が完了するまで配信を停止した媒体もあったようです。
それに輪をかけるように2018年6月にアップルから発表されたITP2.xは、アップルのウェブブラウザSafari内においてサードパーティcookieやその他のWEBサイトのデータを制限することで、サイト間のトラッキングを減らす新しい機能です。これによりサードパーティcookiを利用して配信されるリマーケティング広告ができなくなりました。
このように世界的なデータ保護規制の流れの中で、既存の広告媒体は変化を余儀なくされています。
世界的な情報保護規制の流れは今後も加速すると思われ、日本にも遅かれ早かれ、もっと根本的な対応が迫られるときがやってきます。現在の広告媒体にちょっと手を入れただけの配信システムは、規制に対応しきれなくなり、大きくシェアを落とすことになるでしょう。
ところで、なぜ、世界的にインターネットの情報が規制されるようになったのでしょう?
それは、次のような事情があるからです。
アメリカの巨大IT企業4社、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンは総称してGAFA(ガーファ)と呼ばれています。このGAFAは、各社の利用者個人登録情報と、インターネット上での行動履歴をもとに色々なサービスを展開しています。デモグラフィックデータと呼ばれる年齢性別などの情報や、興味関心、購買履歴まで各個人IDに紐付けられ、「次にどんなサービスを必要とするか」等いろいろな分析がされています。これにより、サービスが格段に向上しているのですが、一方で、一人ひとりを事細かに監視することが可能になってきます。この情報をアメリカ政府が放っておく訳がありません。テロ対策のためとして、NSA(国家安全保障局)に情報提供するように迫ってきます。GAFAはアメリカで仕事ができなくなっては困りますから、当然、命令に従います。そうなると今度は、アメリカ以外の国に問題が生じます。GAFAのサービスはアメリカに限っていません。全世界で利用されるサービスですので、全世界の情報が集まります。その情報を一国に握られてしまうと、それ以外の国の個人情報つまり国民の安全が脅かされます。そこでまず最初に動いたのがEUです。それ以外にも理由があります。GAFAのユーザー数は圧倒的な数ですから、たとえば、大統領を決める選挙にこれらの企業が介入すれば、結果を変えることも不可能ではないのです。
どうやって?
広告手法を使って、情報操作をするのです。
例えば、湾岸戦争は広告代理店が仕掛けた戦争だと言われています。戦争を遂行したかったクウェート政府の意を受けた広告代理店が仕掛けた広報キャンペーンで、「ナイラ」という少女を使って現地の悲惨な状況を証言させた映像が全世界に流れました。実はナイラはクウェート駐米大使の娘で、現場には行ったことがなく、証言も真っ赤なウソだったことが後に明らかになったのです。これは、マスコミを使ったプロパガンダの成功例として広く引用される出来事となりましたが、インターネットの情報を使えば、更に綿密に、一人ひとり選択的に情報操作が可能です。
それを危惧してか、、GAFAを「新しい独裁者」と呼ぶ人たちもいます。

パワートゥーザピープル!
独裁者から民衆に力を取り戻そう!

個人情報をさらさずに、必要な情報だけを受け取ることができる新しい広告配信システムの登場を世界は待っています。

まとめ

広告にも個人情報保護の動きが広まっている。
GAFAのような巨大IT企業なら広告手法を使って情報操作することができる。
個人情報を守れる広告配信システムが必要。

・騙し合いの広告業界

どんな業界でも、多かれ少なかれあるとは思いますが、都合の良いことだけ伝えて、都合の悪いことは伝えないことってありませんか?
何かを買おうとしていて、情報を求めている時に、お店の人に質問したら、良いことしか言われなかったり。雑誌の特集記事を読んで良いことばかり書いているので、それが欲しくなったり。それって情報操作だと思いませんか?
広告ならなおさら悪いことは書かないでしょう。
湾岸戦争の件でも分かる通り、広告とは、まさに情報操作そのものです。
広告業界の登場人物は大きく分けて3者。広告主、広告会社、消費者です。広告会社には媒体や代理店が含まれます。
まず、広告主は自分の会社、商品を宣伝するために、良いことを並び立てます。他社より劣ること、デメリットは伝えたがりません。消費者は偏った情報を受け取ることになり、正確な判断をすることができなくなります。
広告会社は、広告主の意向を受け、偏った情報をさらに誇張します。他の情報よりもたくさん目に付くように何度も同じ広告を流し、他の情報に出会う確率を減らしますので、消費者はさらに正確な判断ができなくなります。
広告会社は広告主に対しても情報操作します。
デジタル広告が普及して、結果が数値化されるようになったため、昔のような結果に責任を持たない自己満足な広告は減ってきています。しかし、逆に数字さえ良ければ何をやってもよいという風潮が出来てきています。本来企業側にはメリットがない広告手法も数字が伴っていれば良しとして実行されています。例えば、広告代理店の営業マンはこう言うかもしれません。「今人気のインフルエンサー広告をやりましょう。フォロワーがたくさんいますから、多くの反応が期待できますよ」と。多くの反応とは大概「いいね」の数です。
媒体紹介でも書きましたが、インフルエンサーとはSNSでたくさんのフォロワーを抱える人気投稿者のことで、プロで活躍する有名インフルエンサーから、マイクロインフルエンサーと呼ばれるフォロワーがそんなに多くはない一般人など、いろいろな人がいます。その人達に売り出したい商品を使ってもらって、感想を投稿してもらうことで、報酬としてフォロワー数や投稿数に応じた金額を払います。ここに3つの問題があります。
1つめ、フォロワーの属性がわからないため、何のために広告しているのかが不明瞭になっている。
例えば、地域限定のプロモーションをしたい場合に、ご当地アイドルインフルエンサーを使ったとします。ご当地アイドルなので、フォロワーも地元の人が多いと思って使ってみたが売上にはつながらなかった場合、考えられるのが、フォロワーの属性がマッチしていない可能性です。地元密着アイドルだからといって地元民だけがフォロワーになるわけではありません。フォロワーになるのは、その人を応援したい別の地域アイドルなどの同業者かもしれないし、遠く離れたところに住むアイドルオタクかもしれません。そもそも、フォロワーをお金で買うことができるサービスが存在しますので、そのアイドルとは何の縁もない外国人かもしれません。
アンマッチなフォロワーへ投稿を見てもらっても、たとえ「いいね」の数はもらえても、期待される効果は得られないでしょう。
2つ目、一部のプロを除いて、商品理解に関しては素人同然のインフルエンサーに商品を提供しただけで商品の良さを伝える事ができるのかが疑問(だから、投稿に何らかの手が加えられる事がある)。
口コミの良さは、一般人が実際に使ってみた使用感を忌憚のない意見として述べられることだと思います。そういった意味では、使用感などを自分の言葉で発信してもらえれば信憑性があり、説得力が増します。しかし、お金が絡むとそうは行きません。
全くの確認無しでの投稿を許す広告主がどれくらいいるでしょう?
殆どが事前に広告主確認が入るため、広告会社は投稿の仕方を予め指示します。その結果、言い回しなどが、いつもと違ったりして、昔からのフォロワーに対して違和感を与えてしまいます。これでは、インフルエンス(影響)させるどころではありません。広告主の都合がいいように修正すればするほど、広告主の望んだ結果にはならなくなるジレンマに陥るのです。
3つ目に、SNSの投稿をお金で買う行為自体がSNSの良さを奪っている。
2つ目でも書きましたが、広告費を使って投稿してもらうことは、口コミの信憑性を奪う行為です。身近な人の生の声(書き込み)だから面白かった(信頼できる)SNSの良い部分が奪われ、インフルエンサーの信用も奪われます。そうならないために広告とバレないように投稿してもらうこともあるでしょう。そうすると結局、フォロワーである消費者を騙すことになります。
これらを広告主にきちんと説明して、あえて、広告主と広告会社の両方が検閲せずにインフルエンサーの自由投稿に任せるなら、良くも悪くも生の声が消費者に届くでしょう。
そのようなことをちゃんと伝えるバカ正直な広告マンは皆無です。そんなことをしたら広告主がやりたがらないので、仕事を取るために広告マンは、目標設定をピントのずれたところに設定し、広告の特性をきちんと説明しない、もしくは出来ないのです。
広告会社は本来そのようなことをしたいわけではありません。ただ、一部にそのようなマインドの人がいるために、全体として良くない(広告出稿額重視の)状況になっているのです。広告の信用がなくなってしまったら、広告する意味がなくなって、広告会社は商売できなくなり、広告主も広告では売上をあげられなくなってしまいます。
広告主と広告会社は、価値の無いものをあたかも価値があるかのように見せる広告を作るのではなく、たとえありきたりな商品であろうと、その中から価値を見いだし、消費者が「その価値」を再発見できるような広告を作るべきです。
私は、消費者を騙す行為に加担したくないし、騙されている消費者を救いたい。
真面目にいいものを作っている企業を応援したい。
そして、この両者をうまく結びつけたい。
そう思っています。
それを実行する準備を開始しましょう。

まとめ

広告とは情報操作である。
SNSを広告に利用することで、口コミの良さを奪っている。
消費者が騙され、真面目な企業が損をする仕組みを変えたい。

・革命の準備

革命は新たな道から始まります。
その昔、新聞の配布ルートが確立され情報の道が整備されました。その次に電波の道ができます。電波の道ではラジオ、テレビとデバイスを変えながら情報の質を向上させていきました。次に現れたのがインターネットという世界中を双方向でつなぐ道です。インターネットもPCからタブレット、そしてスマートフォンとデバイスの発展とともに無くてはならない情報の大動脈になりました。
今、その大動脈の上に、セキュアな情報が流れる道としてブロックチェーンネットワークが出来ようとしています。

この新たな道の上なら、これまで見てきた広告と広告媒体の問題点を克服できると、私は確信したのです。

問題点の克服には、次の4つのシステムが必要です。

・広告をクリックする前に広告リンク先の評価がわかるシステム
広告に価値を与えるシステム
個人情報をさらさずに、必要な情報だけを受け取ることができるシステム
そして未来のための、広告を受信すると報酬がもらえるシステム

そこで私はこの4つを満たす新たなシステムを考案しました。
執筆時現在、このシステムについて特許を申請中です。

このシステムは、すでに何度か登場している「ブロックチェーン」が鍵を握っています。
次章でシステムの根幹となるブロックチェーンについて少し説明させてください。


まとめ

革命のための新たな道ができた。
革命に必要な4つのシステム作るために特許を出願した。
革命を起こすためにはブロックチェーンが重要。

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