成功する起業家の特性とは?
突然ですが、シリアルアントレプレナーって知ってますか?
シリアルアントレプレナー(Serial Entrepreneur)とは、「起業⇔EXIT」を繰り返す連続起業家を意味し、0から1を生み出すことが得意な起業のプロとして、数々の革新的なビジネスモデルや技術を世に創出する存在を指します。
例えば令和トラベルの篠塚孝哉さん。
2011年株式会社Loco Partnersを創業、2013年に宿泊予約サービス「Relux」を開始。17年春にはKDDIグループにM&Aにて経営参画、最年少子会社社長(当時)として経営執行を担い、2020年3月にLoco Partnersの社長を退任。2021年4月、株式会社令和トラベルを創業。同年6月には、シードラウンドで22.5億円の大型資金調達を実施。「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに海外旅行代理業を展開。2022年4月、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」をリリース。
以下一般的な資金調達相場なのですが、シードラウンドって普通500万~5,000万円ですからね?最初からこのシリーズB以降の破壊力。
この「シードラウンドで22.5億円の大型資金調達」をできてしまうのがシリアルアントレプレナーの強みであり、強烈な社会的信用度の証です。
ということを思いながら、今回は「SUPER FOUNDERS」という本を参考にしながら、成功する起業について学びながらまとめていければと。
創業者
まずは、どういう創業者が起業を成功へ導びきやすいかについての考察。
単独か複数か?
著者のアリ・タマセブさんによると、評価額10億ドル以上の企業のうち20%は単独創業者であるものの、言い換えれば、残り80%の企業は複数の創業者を抱える形で始めている。
一人で会社を始めた方が、性格やビジョンの不一致などのスタートアップのよくある問題は起こりにくい。しかし、一概に一人創業の方がベターかでいくと数字を見てもそうでもない(中国のアリババは、実は創業者なんと18名いるらしい、、)。
日々感じるが、企業はどれだけ結果にコミットする仲間がいるかが最も大事であり、共同創業者はその大きな存在になりうる。
本にも書かれていたが、共同創業に大事なのは、
1. 良い関係を気付けているかどうか
2. 誰が最終決定を行うか共通認識を持っているかどうか(=役割や意思決定に重複がないかどうか)
だと思う。
専門知識は必須なのか?
「社長は技術者であるべきである」や「元々起業する業界にいたことが大事である」などの考えは評価額10億ドル以上の企業のデータ的には関係ないらしい。より大事なのでは上述の通り、普遍的なソフトスキルを身につけていること。
但し、個人的に思うのは起業を決めてからは誰よりもその業界のこと、顧客のことを理解する必要があるので、元々その業界にいなくても、始めたらとことん業界に深く入り込む力はとても大事。
成功する起業家の条件
結局大事なことは、起業して最初から大きく当てれる人はかなり稀で、どんな人でも失敗や学びを繰り返してナレッジとなり、その結果大きな成功につながるということ。つまり、起業して成功するためにはまずは起業することが主要な近道の一つだということ。
僕は、基本的に根明で楽観的ではあるものの、これまでの事業を振り返ってみても「もっとこうしておけばよかった」「なんでこのような意思決定をしたんだろうか」と自己嫌悪になることは多々ある。(=ドラッカー先生が言う"integrity"にどれだけ沿えていたのだろう)
しかし、こういった経験を通してその後の事業に繋げていくことが唯一起業家として成長し、成功できる道なのではないかと信じている。
事業
次に、どういう事業が成功しやすいかの考察。
何をするか?
結局、起点が何であれ、課題と向かい続けて戦い続けることが最も成功においては重要ということ。
創業者とマーケットの適合性について考えるのも大事。自分達がこの特定の問題を解決しようとする最高のチームにたらしめる要因は何か、どのくらい他とは違う深い考察があるか、どのような強みを持っているか。
また本にも記載があったが、プロダクトがビタミン剤型か痛み止め型かについて、評価額10億ドル以上企業においては割合的には痛み止め型プロダクトの方が割合的には多いものの、3割以上はビタミン剤型となっており、必ずしも痛み止め型でないとスタートアップとして勝ち得ないというわけではない。
ピボット
ピボットのタイミングは本当に難しい。
実はもうそこにPMFが迫っていることもあれば、全然まだ何もできていない可能性もあり、それを俯瞰的に判断することはシリアルアントレプレナーの方に話を聞いても難しいと言う。
また、ピボットがうまくいかない原因としては
同じマーケット内でピボットしようとするがマーケットが良くない
サンクコストに囚われて過去の実績やアウトプットに固執する
などなど。
ただ僕が思うのは、何もしない事態は一番避けなければならない。消極的な意思決定や本質ではないことに時間を使い続けることは、事業が進んでいるようで何も進んでいないことと同一である。LUUP代表の岡井さんも講演会でおっしゃっていたが、事業のKSFとなりうるKPIを改善するために先月と今月で何を変えてどのような結果であったか?と言う質問に答えられるスタートアップは意外と少ない。
まず大事なのは、自分達が信じた方針で様々な角度で時間軸を決めて検証を重ねる。そしてその検証が失敗した時のワーストシナリオではどれくらい資金が出ていくかも予めシュミレーションしておき、ダメだった際に残りどれだけキャッシュが残るかも常に意識し続ける必要がある。
持続的競合優位性
本によると、
エンジニアリング>ネットワーク効果>知的財産>ブランド>なし
の割合の順番で成功しているスタートアップが持続的競合優位性を持ち合わせている。
エンジニアリングとはいわゆる技術的な部分で他社が同じようなプロダクトを作ろうとしても作れない状況であること。ネットワーク効果は特にプラットフォーム型のSNS系などには顕著だが、ユーザが増えれば増えるほど、ユーザ自身は他社プロダクトへ移行しにくい。
そして個人的に意外だったのが、ブランドである。ブランドとはロジカルに説明しにくい要素ではあるものの、こういった定量的な分析に基づく本でさえも一要因としてあげているということは無視できない要素ではあると思う。あるターゲットに対して如何に第一想起を取れるかかなと。
但し個人的に感じるのは、この辺りの説明を他者(例えば投資家)に説明する上では、定量的な裏付けがまず重要になってくる。あくまで後付けの理由という側面が否めない。例えば、継続率や成約率がかなり高いんです、それはブランドが確立されていて熱狂的なファンが多いんですと言われると理解しやすいが、この数値面がなくて単にブランドが強くてこれが他社との差別化なんです、と言われても側から見ると理解しにくい。
資金調達
最後に、資金調達についての考察。
どんな人間に投資するのか?
アメリカのとある優秀なキャピタリスト(キースラボア/元Square COOでPaypal, LinkedInの経営を支えたFounders FundのVC)によると、
出資するなら業界知識のない人物
創業者とマーケットの適合性より、創業者の特性を見る。絶えず頭を働かせろ。他の人が見ない角度から物事を見ろ。
とのこと。(絶えず頭を働かせろは元々 by ポール・ゲレアム)
VCは何を求めているのか?
日本と米国では多少判断軸が違う気もするが、チームを重視するという部分は大なり小なり常に見られている。また、ステージによって最も重要度が変わってくるのがビジネスモデル。
レイトステージの場合は、既にPMFを過ぎてあとはどれくらいビジネスが伸びそうか、拡張性がありそうかという部分が重視される。
また事業の進め方としては、多くの課題に部分的かつ網羅的に取り組むよりも、それぞれのラウンドで大きな課題を1~2つ完全にクリアしていくことが好ましいとされる。つまり、小さな前進を積み重ねるより、本質的に大きな前進を一つでもいいので確実に成し遂げる方が、市場で勝っていく上で重要であるのだろう。
最後に
以上、SUPER FOUNDERSを参考にしながら成功する起業について各要素別に考察をまとめてみました。
僕自身への自戒の念を込めてまとめつつ、今スタートアップで挑戦しているor挑戦していく方の一助になれば幸いです。
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