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敵味方の区別なく愛す

おまえの敵を愛せ。
と言われても、愛することはできないよ。
敵は敵。
敵からは、逃げるか隠れるか、それができなければ、戦うしかない。
逃げ隠れしたり、だましたり戦ったりしながら、何とか生き延びるしかない。
生き延びるには、敵に寝返って、敵の仲間になるという道もある。
そうこうしながら人類は、ここまで生き延びてきたのではないだろうか。
自分もそうして、ここまで生きてきたのだろう、と思う。
おまえの敵を愛せと言われても、愛することはできない。
ただし、誰が自分の敵であるかを判断するのは、案外難しい。
この社会で、誰が敵で誰が味方か、それを正しく判断したり、誤って判断したりしながら、食われたり食ったりしながら、生き延びてきたのが私であり、人なのではないだろうか。
敵は誰なのか、それが分からなければ、敵を愛することもできない。
いっそそれなら、敵味方を区別しないでみんなを愛すればいい。そうすれば、敵をも含めて愛することになる。
そうすれば、自分の敵を愛することにもなる。
「敵を愛せ」ではなく、「敵味方の区別なく愛せ」ということならば、少し分かる。
敵を愛しながら戦い、愛しながら逃げ、愛しながら隠れ、愛しながらだまし、愛しながら殺す。
それならばできるかもしれない。
そこまで考えて、少し落ち着いた。

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