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舞台 「十字路」 観劇レビュー 2024/06/08

劇団      :ミズタニ会議
脚本      :水谷健悟
演出      :水谷悠樹
舞台監督・美術 :新直人(salty rock/零's Record)
上演会場・日時 :王子小劇場・2024/06/06 (木) ~ 2024/06/09 (日)

ステージの最初に「連作短編です」とアナウンスがあったので、短編集かと思って観ていたら、4つの物語が微妙に同じ世界線上にあって、くすりと笑わせたり、物語を違うアングルから眺めたり、あるいは進行させる仕掛けが随所に散りばめられていて、大変楽しめた。多分、それぞれの物語は、脚本家が独立したネタとして温めていて、それを取りまとめて上演するとした時に、物語間の繋がりを模索したのだと思う。それを無理っぽさを感じさせずに、むしろ必然であったかのように構成するところが、脚本家の力量なのだろう。こういう仕掛けは、「十二人の手紙」井上ひさし著とか昔からあるものだけど、やっぱり面白い!たぶん、話が繋がったという発見に対して、快感を覚える機能が人間の脳には備わっているのだと思う。

コメディとシリアスが無理なく共存していて、上演時間100分も丁度良く、話も分かりやすく、エンタメとして大変優れていました。どちらかというとコメディ寄りではあるものの、帰路電車に乗っているときに、ふと「そうだよ。人生を主に構成しているのって、やっぱり人間関係を積み重ねていった記憶なんだよな」とも気づかせてくれて、心のわりと深い部分にも沁みました。

観劇の動機としては、私が審査員の一人を務めた第2回カンゲキ大賞で、本作でも脚本を書かれた水谷健吾さんが脚本・演出した遅咲会『ソウル・ザ・ペアレンツ』が大変楽しめたから。それと、審査の時には動画で観たので、実際の舞台を観たいと思ったのと、劇団にお金を落とさず楽しんでしまったので、少々申し訳なく思ったから。

あまり関係ないけれど、王子小劇場は私は初めて行く劇場。開演時間よりもだいぶ早めに駅に着いてしまったので、ついでに少し駅前を散策してみました。王子駅は東大本郷キャンパスに行くときに、京浜東北線と南北線との乗り換えで結構使っているのだけど、街中を歩いたのは初めて。駅前に大きな公園があり、路面電車の駅があり、古い高層アパートがあり、適当に寂れていて、リラックスした生活を送るには良い街だと思った。散策してなおも時間が余っていたので、駅前の高層ビル「北とぴあ」の展望フロアに登ってみたところ、都心と埼玉方面の眺望を無料で楽しめる穴場。とても空いていて、空いていることを知っているのであろう高校生カップルが景色を眺めながら長話していたりと、微笑ましく平和な空間でした。

「北とぴあ」展望フロア
手前は王子駅、遠方は都心
奥は埼玉県草加市あたり

劇団提供のあらすじ:
「思い出と引き換えに名曲を与えてくれる」そんな噂が立つ十字路へ、新進気鋭のバンドグループがやってくる。彼らの物語は交錯する。令和と平成が同時に描かれる古アパートの物語と。テレビへの出演をかけた腹話術師たちによる蹴落とし合いの物語と。一人の精神科医が体験する奇妙な物語と4つの物語が十字路のように重なり、その中心で悪魔が笑う。ミズタニ会議が送る連作短編集、第3弾!!


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