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レポート:わたしのまちの魅力開発塾 第5回「まちの魅力開発に観光を使うとは?」

 この記事では「わたしのまちの魅力開発塾~しょうおう志援塾2021~」の第5回「まちの魅力開発に観光を使うとは?」についてまとめたいと思います。10月15日(金)に開催されました。

 これまでの内容はこちらのマガジンにまとめています。

 今回は、講師として、私と一緒に地域づくりについて学ぶサークルLocally Driven Labsに所属している林雄一朗さんをお呼びしました。林さんは、日本版観光地域づくり法人(DMO)の制度ができてすぐの頃からDMOの立ち上げ、運営に関わってきました。観光面からの地域の魅力づくりについて話していただきました。

1.観光地域づくり法人DMOとは?

 まず、林さんがお仕事されていた観光地域づくり法人(DMO:Destination Management/Marketing Organization)について説明をしていただきました。

地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人
<引用>観光庁ホームページより

 これを分解して説明していただくと、

• 地域の「稼ぐ力」を引き出す
• 地域への誇りと愛着を醸成する
• 「観光地経営」の視点に立った観光地域づくり
• 舵取り役として、多様な関係者と協同
• 明確なコンセプトに基づいた観光地域づくり
• 実現するための戦略を策定する
• 戦略を着実に実施するための調整機能を備えている

…ということですね。内容が多岐に渡っています。私には分かるような分からないような感じです。内容について、詳しく説明していただきました。

2.DMOの役割は地域全体を見る力

(1)地域の「稼ぐ力」を引き出す

→ これは、自分たちが稼ぐということではないのが特徴です。地域資源を活用したり、磨き上げを行うことでエリアの事業者に稼いでもらう仕組みを作ります。また、エリア内看板の多言語化などインバウンドの受入環境整備も行います。活動資金として、観光税や入湯税をとっている地域もあります。事例も紹介していただきました。

〇熊野古道ツーリズムビューロ

〇HAKUBAVALLEY TOURISM

〇雪国観光圏

 こうしたサイトを見ると、旅行客にとっては分かりやすいですね。市町村など地域やホテル、スキー場など事業でバラバラになっている活動をひとまとめにすることで、窓口が分かりやすく、統一的なプロモーションができるようになったということです。特に、熊野古道では海外からのお客さんの獲得につながったということです。

(2)地域への誇りと愛着を醸成する

→ 観光のお客さんが来た時に、地元の人と会話した時にこんな会話をしては良い気持ちにはならないと思います。

観光客「ここは良いところですね」
地元民「こんなところには、何も良いところねーよ(怒)」
観光客「…」

 シビックプライドというこ言葉でも言われ、地元への愛着や誇りを大切にするための活動です。こうした活動もDMOの役割ということです。

〇アムステルダム市が開始した都市キャンペーン「I amsterdam」

(3)「観光地経営」の視点に立った観光地域づくり

→ ひとつのホテル、お店単位だけでなく、観光地全体でのお客さんや売り上げを考えるという考えです。季節の波やイベントの効果なども確認できます。活用できるデータベースもあるようです。

〇観光予報プラットホーム(観光予報プラットフォーム推進協議会)

3.地域の戦略って何?

戦略とは?:
企画や事業の将来のあるべき姿とそこに至るまでの変革のシナリオを描いた設計図(伊丹敬之)

 5年後、10年度どうなっていたいかを考えて、戦略を考えないと、単発のイベントを繰り返して地域の運営側が疲弊してしまいがちです。先ほどのようなデータも見ながら考えることが大切です。

(4)地域資源を発掘、開発する

→ 地域の中であまり知られていなかった場所を地域外の人に知ってもらうために、場所の発掘を行うことも、DMOの役割です。

〇新倉山浅間公園(山梨県富士吉田市)

〇米国ケンタッキー州ルイビル「バーボン・カントリー」

(5)多様な関係者と協同「アドボカシー」の概念

→ 先ほどの地域への愛着の話とつながりますが、地域を良くする気持ちを一緒に持つにはどうすれば良いか。行政、事業者、市民、多岐に渡る人と一緒にやっていくには、説明、合意形成、メディアへの働きかけなども重要になります。考えた戦略を、相手に伝え、対話を続けることで、理解が広がっていきます。

4.できることからはじめる

 質疑応答、感想の時間で参加者同士でやり取りを行いました。概要をお伝えします。

・そこに住む人は、普段魅力を意識していないのできっかけが必要かも。
・外から人が来るには観光客を大切にする文化を作ることが必要。
・住みよい地域、観光する地域は併存するのか?しないのか?
・商店街、乗り合いタクシーといった人の集まりが魅力につながるのでは?
・地方は、周りにカフェもないようなところでお店を開いたら、ライバルが少ないのでやり始めやすい。古民家などから小さく始めるのが良い。
・街中の景観を損ね、危険にもなる廃墟の問題もある。こうした廃墟をどう対処するか、市民と議論したり、行政と一緒に検討したりするのも、地域で声をあげることで動くことができる。
・観光庁などの補助金目的のDMOは行き詰る。まず、民間の中で何年後かのビジョンがあって、ビジョンを実現するための戦略に対して足りない予算を補助金に頼るという考えでないと、うまくいかない。

 参加者から、行政や民間など、連携するのは大変で、勝央町近隣でもそのような組織が立ち上がっても難しかったという経緯も紹介がありました。ただ、今は、インターネットでのやり取りもやりやすくなったので、気難しい人を無理につなげるよりも、やる人が楽しくできるかどうかがポイントになります。

 そして、良いサービスを考えようとしたら、地元の人が好き、楽しい場所、イベントであるかどうかが大切です。それが一番のPRとなります。周りの人が「何で楽しいのかな」と考えたら、その場に行き体験することにつながります。

 例えば、勝央町は粗大ごみ回収に町内全域のゴミを町有地の一カ所に集めて回収するという年に2回の大きな出来事があります。私もそうですが、町外から来た人にとっては、このゴミの山は迫力がありなかなか珍しい出来事です。そして、ゴミの中にはまだまだ使えるものもたくさんあって、何とかならないかな、と感じます。

 「だから、どうする?」ということは行政の取り組みのために難しいかもしれません。あくまで、例えです。でもゴミというのは、誰でも避けては通れないですし、これからの時代に大切なSDGsにも通じ、さらに人と人とが関わることにもなりえますね。

 こうした外から見て変わったと思われるものを磨いていく感性が大切なのかな、と思います。こうした感性を高めるには若い人がチャレンジしたい、アイデアを実現したいと思える場所があることが大事という意見が出ました。コンテンツとして、他にも林さんに事例を紹介してもらいました。

〇コペンヒル「廃棄物発電所の屋上がスキー場を併設した緑の楽園に!」
(ゴミというネガティブなものから観光コンテンツに)

5.(PR)完成をみがき、発表する場

 この話題に合わせて、ちょうど良い取り組みがありますのでPRをさせてたいただきます。勝央町では、アイデアを発表し、実現に向けてPRできる場があります。「志プレゼンテーション大会」という勝央町で毎年行っているプレゼンイベントです。(こちらは2020年度のレポートです)

 今年度も実施予定です。こうした場をもっと活用して、地域の魅力づくりにつなぎたいと思います。

 もう一つPR。私と林さんが所属する【LDL(Locally Driven Labs)】をご紹介します。地域と業界を超えて、いろんな学びをさせていただいています。

『まちづくり幻想』『地元がヤバいと思ったら読む凡人のための地域再生入門』『福岡市が地方最強の都市になった理由』『地方創生大全』『稼ぐまちが地方を変える』などの著者で、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。

【LDLマガジン】
LDLメンバーのこれまでの取り組みをそれぞれnote記事にしています。各分野で取り組み、アウトプットをしていますので、ご覧ください。

6.アーカイブはこちらから

 お読みいただきありがとうございました。

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次回は最終回、11月12日(金)19:30~の予定です。ありがとうございました。

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