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【八十二日目】夜道
夜道を歩く。とぼとぼと、一人きりで。
車も少ない細道で、寂しくなる。
道端に転がる石ころを蹴飛ばして、その寂しさを紛らわす。
けれどそれも長くは続かなくて、まだ長い家までの道で物思いに耽る。
昼間には吹いていなかった強い風が、無造作に伸びた髪の毛を散らして去っていく。
右手のひらで暴れる髪を押さえつけると、視線の先に君がいる。
そう、黄緑色に光るコンビニ。
一二もなく飛び込んだ私は、シュークリームと紙パックのコーヒーを買って、至福を作り出す。
ただの平日、ただの帰り道、250円の楽園。
忙しなく、やるせない、しかしながら優しくあれるはずの世界が、今日も終わる。
腕時計が、チクタクと進んでいく。
針は決して止まりはしない。
明日も、勝手にやってくる。
今日と明日、そんな切れ込みを入れたのは人間なのに、その人間が、明日を憂う。
なんだか、滑稽に見えてきた。
まぁ、そんな元気があるなら、きっと明日もやっていけるはずなんだな。
2021/3/26/23:06 ヒサノエイ
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