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【120-122日目】時計と夢

デジタル時計でも、スマホの時刻表示でも、クロノスタシスは起こる。

ついこないだ、バイトの集合時間六分前に起きた僕が責任をもってそれを証明できる。

まあ、しょうがない。誰しも失敗はある。

調子のいい夢を見ていた気がするし、それとこれとでちゃらってことなんだと思う。

それにしても、夢の中ってアーカイブ保存しておきたいくらいに面白い。

経験したこともないような素敵なクリスマスや、美化された少し歪んだ過去の記憶とか、あの分岐点で青い選択をしていたら手に取って慈しむことができただろう未来とか。

切り取られていく一つ一つのシーンが、本当に自分の脳内なの、と突っ込みたくなるくらい優良なレンズで写したかのように鮮明だったりする。

信じることは虚しいし、どうせ忘れることを覚えておこうとすることも虚しい。

でも、それが夢であり、僕らが比較的簡単に飛んでいける少し歪んだ桃源郷なんだと思う。

桃源郷からおうちに帰るときっていうのは、誰しも余韻を感じたくて、すがってでも帰りたくない感情を押し殺しているし、なんならまたそこから夢の世界に侵入することを試みたいと思ってる。

クロノスタシスって知ってる?

と、いつか僕に尋ねた君との物語の続きを、僕はあの桃源郷で眺めていて、目覚めたときにまんまそれを感じるもんだから、質が悪い。

あの時知らなかったことも、知っているから。

歪んだ先で起こることも、少しは知っているから。

また尋ねてほしい。

クロノスタシスって知ってる?って。

今度こそ僕は、君が待つ枝の先へ駆けていけるはずだから。

2021/5/3-5/17:10 ヒサノエイ


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