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ジェジュン『まちがいさがし』に見るJ-POP世界観の現出と日本語習熟度レベルの高さ(Mステスーパーライブ)

今回の記事は、いきなり本文です。
冒頭部分は、無料公開します。


J-POPとK-POPの世界観の違い

昨夜、放送された「MステSUPERLIVE」は非常に興味深いものでした。
なぜなら、4時間半の放送枠に、今のJ-POPの縮図を見た感じがしたからです。
K-POP音楽が世界を席巻しています。
つまり歌と踊りのパフォーマンスを「映像で見せる」という世界です。
この手法は、日本をはじめ欧米諸国の音楽に大きな影響を与えました。
K-POPの歴史は約20年と言われています。初期のころは単に韓国のポップスという位置づけだったこの音楽は、BTSの世界的な活躍によって、単なる韓国の音楽というフェーズを抜け出し、ポップス音楽の中の1つのカテゴリーになろうとしています。
即ち、JAZZやヒップホップ、R&Bなどと同じように、音楽の1つのカテゴリーとしての位置づけが広がりつつあるのです。
これは、韓国の音楽業界が単に自国の音楽を海外に輸出し利益を得る、という考えから、K-POP音楽そのものを目指す人々を世界中に増やしていく、K-POPという文化を世界に根づかせていく、という考えに転換していることが原因と考えられます。
その為、今までは自国民を対象としたメンバー募集や構成も韓国にとどまらず、日本、台湾、中国というアジア各地の才能ある人間を対象とするようになりました。
日本では、メンバー全員は日本人でありながら、韓国の事務所がプロデュースしていたり、日本人と韓国人の混合メンバーであり、且つ、K-POP音楽を歌い踊る、というグループなど、多種多様な形態を見せてグループが構成され始めています。
また、彼らの活躍によって、K-POPのアイドルになる、K-POPのグループに入る、ということが明確な目的であるスクールまで各地に存在するようになっています。
「歌と踊りの合体したパフォーマンス音楽」というものを1つの音楽のカテゴリーとして捉え、ロックやバンド音楽をするのと同じように、K-POP音楽を行うことへの抵抗感が若年層では全くなくなってきているのを感じるのです。
即ち、ネット社会の急速な普及と若年層への広がりは『音楽』という文化に大きな影響を与えたと感じさせます。
その先駆者的存在がK-POPであると言えるでしょう。

K-POPはその世界観をいち早く「映像」という手段を用いて表現してきました。
これは、言い換えると、歌と踊りが一体となった世界を見せる為には、歌が突出することは邪魔になるということでもあります。
なぜなら、聴き手が感じる世界観は、視覚的要素が非常に強いものであり、視覚から入ってくる作り手の世界観そのものが、その楽曲の世界観ということになるからです。ですから、ハッキリ言って、「歌」よりも「ダンス」が重視される世界と言えるでしょう。
激しいダンス、高度なテクニック、そして、見せ方を徹底的に研究したパフォーマンス。
「歌を聴く」というよりは、「歌と踊りの世界を観る」ということの方がK-POP音楽という世界を理解するのには適しているかもしれません。

これに対し、J-POPの世界は、せいぜいバンドパフォーマンスがあるぐらいで、ほぼアーティストは、マイクの前に立って歌うか、僅かなパフォーマンスをするだけで、あくまでも「歌」が重視された世界です。
ですから、「歌唱力」のない人は自然淘汰されていく世界でもあります。

アイドルグループやバンドなどでメインボーカルを取っていた人間が、ソロに転向した途端、生き残れなくなるのは、何のパフォーマンスもない「歌唱力」そのものが要求される世界が、J-POP音楽の世界だからです。

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