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藤井風の圧倒的スケールに見るJ-POP未来志向

現代のJ-POP界には優れたアーティストがたくさんいます。しかし、その中でも藤井風は、圧倒的なスケールを持って存在しています。
彼の音楽については、多くの分析がなされていますが、ここでは、彼の持つスケールの大きさが、今後のJ-POPの未来にどのような可能性を広げていくのかということについて、書いてみたいと思います。
また、彼の歌声の持つ魅力や独特のタンギングから声格(せいかくー声の持つ性格)を類推し、歌手藤井風の魅力を分析したいと思います。
この記事は評論家として書き込んでいますので、有料で配信します。


現代のJ-POP界事情

J-POPということばが生まれたのが1988年のことです。当時、開局したばかりのJ-WAVEの番組で洋楽ばかりをオンエアーしていた中で、邦楽をオンエアーするコーナーが作れないだろうかということから生まれたことばが『J-POP』でした。J-POP、即ち、日本のポップスという意味です。
当時は、洋楽に対してのあくまでも日本のポップス曲という意味の名称でした。
それから35年。今では、J-POPは演歌のジャンルを除く全ての楽曲をJ-POPという名称で表しています。これには、韓国の音楽が入ってきた2000年初頭、韓国の音楽をK-POPという名称で表したことに対して、日本の音楽全般をJ-POPと呼ぶようになった流れがあります。
ロック、ポップス、ボカロ、R&B、フォークなど、現代のJ-POPには多くのジャンルが存在し、それぞれの音楽が混在している雑多な音楽の集合体がJ-POPの特徴とも言えるでしょう。
この雑多な種類の音楽がそれぞれに存在できることこそが、社会が多くの価値観を認め、受容している証であり、日本の文化や社会がそれだけ成熟していることの表れと感じます。

最近のJ-POPはコロナ禍で一気にネット文化が広まった為に動画による拡散が盛んです。
特にアニメの主題歌として提供される楽曲は、アニメの世界的広がりと認知度に付随して楽曲も拡散される方向にあります。
「ワンピース」や「ドラゴンボール」「鬼滅の刃」などの主題歌がその典型的な例とも言えます。
J-POPは長く国内需要には熱心でした。それはアメリカに次ぐ世界第2位の市場を持っているということが大きな理由でした。ですが、この数年、K-POPの世界的進出を見て、やっと海外市場、海外に進出するということを意識するアーティストが増えたように思います。
その筆頭に藤井風がいるのではないでしょうか。

藤井風の独特な音楽感

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