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14年目デザイナーが、新人時代に「怪物デザイナー」から学んだ生き方

カゲワサビのnoteを読んで、自分の新人デザイナーのときの学びってなんだったかな、と思い返してみました。

そうすると、新卒入社した制作会社にいた、3人の怪物的な先輩、いや、あれは「怪物そのもの」だったかもしれない、そんな先輩と、彼らから学んで見えてきた、自分なりの生き方のことを思い出しました。

当時のことを思い出しながら、どの怪物からどんな学びがあり、どんな生き方になったのかをまとめてみようと思います。

生き方1 「おれはカスだ。だから素直に謙虚に学び続けよう。」

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まず一人目の怪物、HRさん。
この方にはよく怒られました。
僕、働きはじめたころは、たぶん仕事なめてたんですよね。
そんな自分に、本気で怒ってくれたこと、ほんとうに感謝しています。

「デザインの時間かかりすぎ、遅れるなら言って。」
「他のデザイナーならすぐ終わるやつだからこれ。」
「ミーティングに遅れてるのになにダラダラやってんの、早くして。」
「ここ1pxずれてる。」(2秒くらいデザイン見ただけで)
「あんた、仕事なめてるよね?」

いやあ、きつかったあああああ!
でも、ここまでいろいろ言われると、無駄な自信や、中途半端な気持ちがどんどん削ぎ落とされて、思考がシャープになっていきました。

「オーケー、おれはカスだ。まだ何にもできないカス。だから、言われたことは全部受け入れて、すべてやってみて考えよう。自分の意見なんて、まだまだ後で良い。」

こういう考えに行き着きました。
このスタンスは、いまだに大きくは変わっていない気がしています。

10年以上働いてると、それなりにできることも増えてきて、少しばかりの自信もついてくる。「自分はできる」っていう思いが強くなってくる。

そんなときは、「あぶないあぶない、おれはカスだったし、いまもカスだ」と思い直して、「また素直な気持ちで学んでいこう!」と気を引き締めていたりします。

生き方2 「だれでも一発ですごいデザインなんてつくれない。たくさんつくって検証だ。」

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いつデザインしてるのか謎すぎ!?と思うくらい、MKさんは会社で寝てるんです。

でも、出てくるデザインのクオリティはいつもすごく高い。化け物。
硬め、かわいい、かっこいい、どんなジャンルの案件でもまったく問題なしです。全部、感動するレベル。
これはどういうことなのか、天才なのか。

「いま起きてるぞチャンス!どうデザインしてるのかな?」と思って覗いてみると、猫を画像検索してずっと眺めている。

どういうからくりで、あの素晴らしいデザインができるのか知りたかったので、デザイン作業をしている時を見つけて、秘密を探ろうと思って覗いてみました。

からくりも何もなかったんです。

ありえない速さでデザインパターンをつくって検証、意思決定。

この繰り返しをしていました。

「短時間で天才的なクオリティのデザインがあがってくるので、一発でつくってるんだろう、すごい」って勝手に思っていたんですが、パターンをつくるスピードと検証のスピードが尋常ではなかったのです。だから短時間でデザインが完成していた。変態的な集中力でむしろ引いた。

「一発でつくれる天才はいない。怪物だけど、パターンつくって検証しているんだ。じゃあおれはもっとつくって、もっと検証しないと追いつけない。」

そう、強く思いました。

今では、いろんなデザインをしてきたおかげで、前に比べてつくるスピードやパターンをつくる精度も上がってはきたように思います。
でも、MKさんのスピードと集中力を思い出すたびに、「まだまだ追いついてはいないな」と感じます。

改めて、気を引き締めて、つくって検証していくのです。

生き方3 「見やすい、使いやすいはなんとなくではつくれない。明確なデザインルールがさらなるクオリティを実現する。」

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家の住所なんか教えてないんです。
なのに、ありえないネットストーキングスキルを発揮して、ヘンテコなクリスマスカードを、正確に家に郵便で届けてくる。

「こわすぎ、なんなのこの人」
妻は一瞬でMTさんを嫌いになりました。
ネタなのはわかるんだけど、やりすぎです、MTさん。

そんなMTさんのデザイン、とにかく見やすい、使いやすい、きれい、超絶整っている感じでした。
あの、性格的なひねくれはまったく現れていない。

なぜこんなデザインができるのか知りたい、自分にも取り入れたい。
そう思ったので、デザインデータを拝借し、細かく見てみました。

マージン、パディングのルールが正確・明確。ひとつもずれていない。
すべての要素が一定のルールで並べられていた。

そんなの当たり前じゃん、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、徹底ぶりがすごかったのです。1pxたりとも、すべての要素がずれていない。

「なんとなく配置しただけで、見やすい、使いやすいはつくれない。徹底したデザインルールが、圧倒的なクオリティをつくりだすんだ。」

改めて、そう気付かされました。

そこを怠っている自分は、クオリティで劣って当たり前だ。
最低限、デザインルールに狂いなくつくってこそ、やっと同じクオリティのものをつくれるんだ。

その気付きは、やはり今も生き続けています。

生き方4 「同じことをやってても怪物には勝てない。怪物がやってないことをやって幅を広げる。」

そんな先輩たちを見ながら、「はやく1人前にならなくちゃ!はやく先輩に追いつかなきゃ!」と思って頑張っていました。

でもだんだん、「先輩みたいにはなれない、特にMKさん・MTさんみたいな『デザイン職人』にはなれない」と直感的に思えてきました。
あそこまでは、突き詰められない気がするぞ、と。

「同じ土俵にいる限りは、追いつけない。彼らが手を付けていない領域に踏み込んで、総合力で戦うしかなさそうだ。」

そう思い、直接デザインスキルに関わらないことも、意識的にやるようにしました。
マークアップを深める、採用関連の仕事増やす、他職種との密なコミュニケーション、外部インタビュー受ける、などいろいろ。

特に、デザインの領域に留まらずに、いろんな人とのコミュニケーションを増やして認知してもらったことが、その後の信頼につながっていった印象があります。
だんだん、企画の人から指名してもらえる機会も増えていきました。

いろんな領域に越境していくことは、いまも意識的にやっていることの一つです。

まとめ

ということで振り返ってみると、1社目での経験から行き着いた仕事に対する考え方って、大きくは変わっていないんだなあと思いました。

1社目の経験がその後の仕事感をつくる。かも。
はて、自分はいまの会社で新卒の方に、良い経験をさせてあげられているだろうか、目指したい人になれているだろうか。ううむ。

このnoteを書くことで、改めてそう考えるきっかけになりました。

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