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詩と小説

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ぽつりぽつりと落ちた言葉を集めては歩く。 かたりかたりと睡魔の声で紡がれる物語。
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2019年6月の記事一覧

横断歩道

横断歩道を渡るとき
白線からはみ出してはいけない気がする

ふつう、車道を横断してはいけないから
白線が、横断歩道を横断歩道たらしめている

その上だけが安全な空間であるかのように
錯覚するのだろう

透明な妹と、透明な私

私には透明な妹がいる。
姿は見えないし、何歳なのかも分からない。
ときどき、名前や存在を忘れてしまうことさえある。

ただ確かなのは “ 妹が最近産まれた ” ことだけ。

いつの日にも “ 最近産まれた ” と思っているせいで、今でも妹を0歳だと思ってる。
でも、もしかして、もう幼稚園に上がるくらいにはなったのだろうか?
それともまだ、言葉も覚束無いよちよち歩きの女の子なのだろうか。

他にも一

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