3/28(土)〜3/29(日)臨時休業のお知らせ

東京都からの外出自粛要請を受けまして、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、今週末3/28(土)〜3/29(日)については臨時休業といたします。

その後は通常営業を予定しておりますが、ロックダウン(都市封鎖)が現実味を帯びてきた今、この先どのような状況になるかは全く不透明です。営業情報については、決まり次第、随時SNSにてお知らせいたします。

自営業者にとって営業を休むことは、言うまでもなく生活に直結します。それはフリーランスで仕事をしている方も、当店のような小売店であっても同じことです。

店舗の売上は無くても、固定費は確実にかかります。誰も足を踏み入れずとも賃料が、照明をつけずにいても電気代が、インターネットを使わなくても通信費が発生します。休業することは単純に収入が「0」になるだけでなく、日々マイナスを積み重ねていくことです。

そのような状況において、一時的にであっても休業を選択することは苦しい決断です。平時でさえそうなのですから、現在のような先行きが見えない事態において、いくら「感染防止のため」とは言え、「休む」ことは精神的にも経営的にも非常にストレスがかかります。

しかもそれが、あくまでも「自粛を要請」なのですから、言葉通りに従えというのも無理がありますし、「営業します」というお店が責められるいわれはありません。店舗に営業を控えてほしいのであれば、そこに「売上補償」がセットでなければ意味がありません。今月の、来月の、家賃や光熱費の心配をしているのに、そこに対して国や自治体からのケアが何も無ければ、どうやって生きてゆけばよいのでしょう。体力のない店は死ねというのでしょうか。個人の顔が見える小さな店をそうやって淘汰していたら、後には何が残るでしょうか。

「ウィルスに感染するかもしれない」「広げるかもしれない」という不確実なリスクよりも、「売上が無ければ潰れる」「生きていけない」という確実で切実な、現実。店はどちらを優先することになるでしょうか。答えは火を見るよりも明らかです。生活の担保について語って初めて、「だから休んでも大丈夫」と言えるのではありませんか。そうでなければ従う義理はありません。

ではなぜ当店が2日間休業するかと言えば、それはやはり「いのち」を考えざるを得ない段階まできていると思うからです。自分や家族、そして作家さんやお客様。いま自分が健康だからといって、それが続くとも限りませんし、もし自分や店が感染を広げてしまったら取り返しのつかない事態になります。それは築いてきた信頼を大きく損なうことです。この騒動が収まったあとも、きっと自分はその重荷に耐えられないでしょう。これからも変わらずに営業を続けたいからこそ、今ここで無理をする必要はないという考えに至りました。

開業して5年目。一応、店主一人が食べていくには困らないくらいの利益は出せていますが、それだって吹けば飛ぶような金額です。蓄えだって十分にあるわけではありません。店舗に加えて自宅の家賃も毎月払わねばなりませんし、もちろん実家が資産家なわけでも、大金を援助してくれる人がいるわけでもありません。余裕など全く無い状況ですが、それでも目先の売り上げだけではなく、もっと長いスパンと広い視野で考えようと思いました。

今、世界中であらゆる場所・施設の閉鎖、イベントの中止や延期が続いています。メディアで伝えられる海外の様子、都市の光景は、まさに想像を絶するものです。

そんな中で、各国の指導者が国民に向かい「家にいてください」と呼びかけています。真摯な眼差しと、厳しくも思い遣りのこもった言葉で。日本の政治家のリーダーシップや資質には全く期待していませんし、発せられる言葉は空疎なものでしかありませんが、それでも諸外国の動きを見ていればわかります。

日本だけ、このままでいられるはずがない、と。

これからますます感染者数は増えていくでしょう。だからこそ、今は「動かないこと」「広げないこと」を意識しなければいけません。気をつけても気をつけすぎることはありません。

当店は5坪ほどの小さな店です。遠方からお越しの方や、お子さん連れ、ご近所のおじいちゃんおばあちゃん。様々な人が出入りして、休日は満員状態になることもしばしばです。開けていれば人は動きますし、きっと混み合います。だからこそこの二日間は、営業しないことで店の責任を果たそうと思います。

本屋は決して「不要不急」の場所ではありません。むしろこんな時こそ開いていてほしい。本はきっと、この状況に耐えうる知恵と力を与えてくれるから。当店よりももっと広く、環境が整っているお店はいくらでもあります。もしそういうお店が近くで営業しているのなら、ぜひそちらに足を運んでください。店内に並ぶ本を眺めているだけで、ザワザワとした心が落ち着くはずです。深く息を吸えるような感覚になるかもしれません。

でももし、自宅にたっぷりと本が用意されているのであれば、今は家にいてください。本を開けばどこにでも行けます。世界中、いえ、過去や未来のどんな場所にだって、飛んでゆくことができるのです。

今週末にお会いできない皆さま、また来週にでも来月にでもお会いしましょう。今後、事態がどのように進むのかはわかりませんが、きっとまたこの場所で、本を挟んで楽しくお話しできることでしょう。

今は焦らず、その時を待っています。


*結果として、政治家による曖昧な「自粛要請」に従ってしまう事には忸怩たる思いがありますが、政府ならびに自治体には、引き続き売上補償や現金給付を求めていきます。

*困難な事態を乗り切ろうとする個人個人の意思や行動と、政治の無策・愚策を受け流す事は全く別物です。非常時だからこそ、批判を緩めてはなりません。誰もが平等に生きる権利を得るために、怒りを表明する必要があります。

*どうか分断ではなく、手と手を取り合って、新しい世界に向かっていきましょう。


◎以下、3/29に追記

今回の投稿、大変多くの方にお読みいただいたようです。誠にありがとうございます。「騒動が落ち着いたら伺います」というメッセージもたくさんいただきました。また、同じような悩みを抱えている同業者やフリーランスの方々からも、「励まされた」「言葉にしてくれてありがたい」といったようなコメントを頂戴しました。

今回このような文章を書いたのは、本屋に限らず多くの小売店が、日々胸が張り裂けるような思いで悩んでいること、「いのち」と「生活」という、本来当たり前に尊重されるべきものを天秤にかけながら、押し付けられた〈自己責任〉において決断を迫られていること、それについて少しでも知っていただければと考えたからです。言うまでもなく、どのような選択をするのもそれぞれのお店の自由です。どちらも批判されるべきではありませんし、皆さんのお住いの近くで個人の小さなお店が頑張っていたら、どうか精一杯応援してあげてください。今まで大手のネット通販で買っていたものを店舗で買う、生活用品を身近な商店で揃える。これまでとは違う視点で、自分の暮らす町を見て、接してみてください。きっとそこから、新たな人生が始まるはずです。この後どう生きるかが、問われているのだと思います。

幸いにして当店は、今すぐにどうこうなってしまう、という状況ではありません。これまでに積み重ねてきたお客様との関係、取引先の皆さまや、展示などでお世話になっている作家さんたちのおかげで、小さいながらもこの場所を維持できています。この4年間、売り上げも順調に右肩上がりで、次の段階に進むことを考えているところでした。このような状況においても、移転を含めたパワーアップを目指しています。ただしこの先、何の補償も、保障もないままの自粛要請が続き、1ヶ月・2ヶ月と経過していったらどうなるでしょうか。損失が何万円から何十万円となり、百万円を超えていくようなら、どこかの時点では重い決断をしなければならないかもしれません。様々な面で転換を図り、身を削りながら生きていくことはできますが、削る部分さえ無くなってしまったら、その時にはもう仕方がありません。

ずっと、本屋一本で食べていくことにこだわってきました。開業当初のまだまだ苦しい時も、「副業をするくらいなら店を畳む」と思っていました。安定した会社員を辞めてまで開いた店ですから、中途半端にはしたくなかったのです。例え5坪少々であっても、そこで生まれる利益だけで、自宅と店舗の家賃、その他諸々の経費を支払い、税金を納め、生活する。それこそが店を続ける意味とモチベーションで、頑なにこだわってきました。その目標はだいぶ以前にクリアしましたが、その思いは今でも変わっていません。だからもし、店の売り上げとそこに付随する収入だけで生活できなくなったら、潔く次のことを考えるつもりです。

今回、この記事を読んだ方から多くの「フォロー」「スキ」、そして「サポート」までいただき、身が引き締まる思いでいます。これまで実際にお会いした皆さまや、ずっと繋がっているSNSのフォロワーさんとも違う、きっとまだ当店のことをあまりご存知ないであろう方々からの応援は、新しい可能性を感じるとともに、文字通りの大きな力となりました。本当にありがとうございます。お馴染みの方も、初めての方も、いつもの通りにお出迎えできるように、1日でも長く続けられるように、これからも頑張っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。


最後に。

昨日、安倍総理が会見を行い、「自粛要請の損失を、税金で補償するのは難しい」という趣旨の発言をしました。憤りと虚しさ、哀しさで、大げさでなく震えました。これまで様々な問題が起こるたびに怒りの気持ちが湧き上がってきましたが、流石にもう限界です。この期に及んでさえ、まだそうなのか、と。国民が苦境に立たされている時、必要なところに使えないのなら、何のための税金なのでしょう。それはあなたたち一部の政治家のものではない。私たち国民が、ただ預けているだけのものです。王様から施しを得ようとしているのではありません。必要だから今こそそのお金をこちらに使ってくれ、と言っているのです。ただそれだけです。そんな切実な思いを、無残に踏みにじられたも同然です。

三塁で生まれた人には一塁を踏む大変さがわからないのかもしれません。平気でゴールポストをずらす人には、1点を奪う難しさがわからないのでしょう。ルールブックを勝手に書き換え、反則は隠蔽し、スコアも都合よく改竄する。審判さえ買収するような人たちです。

庶民の苦しさを心の底から理解してくれとは言いません。恐らくそれは願っても無理でしょうから。それでもせめて、耳を傾けてほしい。そして然るべき人たちや、専門家の意見を聞いて、現時点で何をするのがベストなのか、冷静に判断してほしい。

今は多くを望みません。かけがえのない、一つ一つの「いのち」を第一に考えてください。それが国を守る、ということです。ただ、それだけです。


そして来たるべき選挙に向け、私たちは準備をしなければなりません。昨年の参院選の際、“VOTE! & READ!”という取り組みをしました。少しでも投票率を上げたいという気持ちからの行動で、様々なメディアで取り上げられるなど、かなり大きな反響がありましたが、正直に言えばそれだけでは甘いということも感じていました。

国民目線で考えてくれる政治家を如何に国会に送り込むか、そういう議員が多く所属する党に、如何に力を与えられるか。与野党をひっくり返し、自分たちの利権、私腹を肥やすことにしか興味のない政治家は退場させる。そのための策を今から一人一人が練らなくてはなりません。考えること、伝えること、広めること。まずは出来ることから始めましょう。

もう、こんな政治は御免です。

国民を顧みない、腐った政治はもう終わり。

今の内閣を倒すその日まで、なんとしてでも生き延びます。

待ってろ。

魅力あるお店づくりのため、いただいたサポートはお店の運営(仕入れや備品の購入など)に使わせていただきます。いつも本当にありがとうございます。