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The Last of Me Part III - 恐怖のやっかい顧客+お仕事(顧客編前半1~4)

私が出会った記憶に残るクセが強い者たち(=アベンジャーズ)の社員編はお楽しみいただけたでしょうか。前半(1~6)、後半(7~12)の2部構成です。こちらもご覧ください。

さて、顧客編のクセが強い者たち、また彼らが絡むお仕事は、働いていると常に付きまとう厄介で大きな課題です。守秘義務を守りつつ、みなさんにも共感できて、参考になりそうな要素をお届けしたいと思います。


顧客1.製造業界:稼働中の工場内で恐怖に怯えた単独作業

私が 20代社員の頃、建設業の元請企業に勤めていた時の話です。建築資材の製造工場の改修工事を担当中に、我が社が軽微なミスをしました。私の担当範囲ではなかったのですが、夜間工事の2交代シフトの中、その日の夜間シフトにいた社員は私だけ。現場事務所で書類チェックをしていたら、顧客から鬼のような激しいクレーム電話が鳴り響きました。

その顧客はロクに名乗らず怒鳴って「足場板が邪魔で監視カメラが潰れてんだよ! 今すぐさっさとどけに来い!」とガチャ切りされました。

担当していた先輩に相談したかったけど、どこの足場板かも分からないままじゃ話にならないので、急いで工場の集中制御室までダッシュで行って、たまたま電話をかけてきた顧客責任者(工場長)がいたので、すぐに平謝りで頭を下げたら、そんなに急いで来るとは思わなかったことと相まって、すんなりと足場板の場所を教えてもらえましたが、すぐに直せと強く釘を刺されました。

その場所に行ったところ、頭上3~4m にある足場板が、監視カメラの視界を完全に塞いでいたのがわかりました。これじゃ足場板しか見えませんw 幸い、私が単独でも安全にズラせそうな状況だったので、すぐにその作業に取り掛かりました。

ひとりぼっちで工場内の暗闇に置かれ、足場板が絶妙に怖い高さだったので、その作業中はダブルの恐怖に襲われました。冬だったのに滝のような冷や汗をかきながら、足場板を問題ない位置に固定し直して、集中制御室に報告して無事完了しましたが、生きた心地がしなかった経験でした。工場萌えと言う言葉がありますが、実際の夜の工場って無機質すぎてホラーです。

顧客1の教訓や対策

クレームを受けた時はダッシュで平謝りすれば、意外と何とかなる。クレームが強いほど、急いで行った方が良いかも。それと単独作業は基本ダメ。事故の原因になるので、誰かについてもらいましょう。この時、私が怪我をしていたら、顧客責任者もきっと責任を問われたことでしょう。

顧客2.海外建設工事:街中で下半身の無いムキムキ妖精と遭遇

これは厄介な顧客の話ではないのですが、記憶にとても残っている素敵な人々の話なので、ここで紹介させてください。

私は海外赴任を経験しており約半年間、エジプトの工場建設で常駐していました。中東アジアやアフリカで最初に苦労するのは「水」です。水が体に合わなくて大半の人が1週間経つと下痢が始まり、それが約2~3週間ほど続いて脱水症状にも気を付けないといけません。最初の1か月間は全力で働くことはできないです。

そんな下痢が落ち着いて仕事にも暑さにも慣れた頃、現場近くの商店や喫茶店が立ち並ぶ、賑わっているエリアへと散歩に行ってみました。日中は日差しが強烈なのですが、陽が傾いてくるとエジプトの人々は、建物や街路樹でできた影の中に椅子をたくさん並べて、風に吹かれながら仲良く談笑するのが日常のようでした。

談笑する人々の間を縫うように道を歩いていると、とても不思議な人…なのか?と目を疑う存在がいる事に気づきました。あっちで見かけた次の瞬間には、かなり遠くに離れたテーブルの陰から現れたりと、神出鬼没な動きなんですが、さらに信じがたいのは、その異様なまでの小ささです。

その小さな人物は、もじゃもじゃ頭で長い髭で覆われていて、タモリさんみたいなサングラスをかけて常に笑顔でいる顔を見ると、30~40代くらいの白いタンクトップを着た男性です。逞しい肩や胸、両腕とか見えるところがすべてムキムキなんですが、どう目を凝らしてみても、腰から下が無いんです。下半身が明らかに存在してません。

両足を失っているのに街中を俊敏に動ける理由は、スケートボードの上に上半身だけを乗せ、ムキムキの両腕で、人々がごった返している隙間を軽快に駆け抜けているからでした。時にはラジカセを担いで(懐かしい!)音楽を鳴らしながら、談笑している人々に声をかけまくっていましたね。

後日、事情を知る現地企業の偉い人に聞いたところ、彼は戦争で地雷を踏んでしまい両足を失くたそうです。産業が盛んではないエジプトでは、それだとまともな仕事に就くことはできないので、人々に支えられながらホームレスのような生活をしているのですが、彼なりに恩返しをしようと、夕方や夜になると街に出て陽気に話しかけたり、みんなを楽しませているグッドマンだと、と説明してくれました。

なんか、すごいものを見てしまったな、と今でも目に焼き付いて離れない光景です。

顧客2の教訓や対策

見た目では、何が真実なのかは分からない。世界にはいろんな悲劇があるけど、悲劇から立ち直ろうとしたり、それを支えてくれる人が絶対にいます。

顧客3.出版業界:ファッション誌から飛び出てきたような人たち

ここからは WEB運用時代の話になります。

出版業の顧客企業が、とある会員制のコミュニティサイト運営していて、そこで公開されている広告ページの企画制作を担当していたのですが、顧客企業の担当者たちが、それはもう見た目から一般人とはかけ離れた、ホントに同じ日本人?と疑ってしまうほど、非常に濃厚で華やかな方々でした。

VOGUE(ボーグ)FIGARO(フィガロ)などの有名な女性ファッション誌がありますが、ここから飛び出てきたようなカッコいいファッションを身に纏った方々と、オフィスで一緒に会議や仕事をするという貴重でしんどい経験が約1年間、続きました。「プラダを着た悪魔」ってフィクションじゃないんだ、とは同僚が言った一言です。

そうなると困ったのが私たちの服装です。「我が社のドレスコード規定があるので…」と時々、やんわりとお伝えしつつ、いつもと同じ普通のスーツ姿を貫き通しました! 腕時計もリーズナブルな物を徹底して身につけ続けました。腕時計はけっこう高価なものがいいよ、と誘われるアイテムの一つです。いいのは、分かってるんですけどね~。

彼らが普段より落ち着いたシンプルな服装をされている事があっても、もしかしたらブランド物の何万円もする Yシャツかもしれないので、顧客のファッションについては沈黙を守るというのが、我が社側の暗黙の了解となりました。

旅行に行く場所とかも華やかすぎて金銭感覚が嚙み合ってなかったです。優しい方々なのですが飲み会とかも、次第に無くなってしまいましたね。こちらの庶民丸出しのみすぼらしさを度々、さらけ出してしまい恥ずかしい思いをさせられました。

顧客3の教訓や対策

服装は金銭感覚や価値観を表す。普段からおしゃれな人がシンプルな格好をしていても、高価なものかもしれないので決して油断しない。下手に親近感を感じさせる狙いで、余計な事は口にしない。ボロが出てしまう。

顧客4.エネルギー業界:WEBシステム開発案件のデスマーチ

デスマーチって、今となっては死語ですよねw
しかし、この WEBシステム開発案件は、まさにこれでした。

別部署が主体で動いていたので、どういう営業戦略や事情があったのかは不明ですが、とあるエネルギー関連企業から依頼された WEB申請受付を行うシステム開発の見積金額が、相当に少ない金額(億円単位)で受注したため、システム開発コストが開発途中で削減されてしまい、その結果、あちこちでトラブルが発生する事態となり、大勢が急遽ヘルプすることになりました。

急に呼ばれたので、システム動作の確認作業くらいしかできなかったのですが、こんなに動作確認せねばならないのかと思いました。WEBシステムの開発って、想像以上にかなり大変なんです。開発部門は休みなし、徹夜の連続で数か月は動かざるを得なかったようです。当然、伝説級の大赤字を社史に刻む事態となりました。

社内中に何とかせねばという使命感が共有されていたので、急かされたり残業が急に発生しても不愉快に思いませんでしたが、客観的に見れば過度なパワハラ状態です。異常で過剰な対応が、その後も続きました。

このトラブルには隠れた背景があって、本件には法律が絡んでおり、その法律的な基準の決定が大幅に遅れたため、システム仕様の多くが未確定な状態で開発開始をせねばならない作業スケジュールだったらしいです。開発部署の言い訳かもしれませんが。

顧客4の教訓や対策

法律が絡む大規模なプロジェクトの場合、どうにも逃げられなくなる事があるので、トラブル対応中は心を無にする(笑)。ただし、デスマーチ下では体調に関することは無理しない。自分の身は、自分で守る。

ちなみに社内の数名が病院送りになり、逆に、大赤字を出した案件責任者は、その後のリカバリーに頑張ったようで出世していました。人生って複雑ですね。


顧客編のアベンジャーズはいかがでしたでしょうか。私が経験した失敗談みたいな感じにもなったのですが、クセが強い顧客やお仕事は、本当に参りますね。

だけど、そんな彼らの、小さなことでもポイントをつかんじゃえば、何とか乗り切れると思います。私は幸運もあって何度か乗り越えられましたし、どうしても無理だったら逃げればいいんです。無理なら逃げましょう。

大丈夫。周りの人たちを含めて、そこから逃げちゃえば誰も知らない場所に行けるので、恥ずかしさや怖さはありません。

さて、後半戦は顧客たちの人柄よりも、やっかいな仕事談議になりそうなのですが、こちらもお楽しみにしていてください。

まだまだサポートしてもらえるような実績はありませんが、ご期待に応えられるよう頑張ります!