マガジンのカバー画像

大乗仏教 如来蔵思想・唯識思想

29
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

【大乗仏教】後期中観派の中核3

【大乗仏教】後期中観派の中核3

下の記事の続きになります。

後期中観派の中で、より中観派的な立ち位置のシャーンタラクシタらは一般理解の立場において、「外界の存在を否定し、心(内界)のみの存在を肯定」しました。即ち、唯識派の立場を一般理解の立場で認めたものの、最高の真実としてはその心(形象だけでなく照明)の実在性をも否定したのです。真如(真理)とは「心の照明をも超越した絶対的な空」としたのです。

しかし、後期中観派の中で、無形

もっとみる
【大乗仏教】後期中観派の中核4

【大乗仏教】後期中観派の中核4

シャーンタラクシタの「絶対の空」とラトナーカラの「照明(光り輝く心)」が同じ境地(=仏性・如来蔵)である形でまとめられました。しばらく後で取り上げますが、これによって仏性(如来蔵)に善性だけでなく悪性も具有されているという新説が後に登場し、伝統的な仏性(如来蔵)自体は善性のみとする説との間に論争が起こります。

さて、「大乗仏教の五位」のお話に入っていきます。前回まで、途中の加行道から菩薩十地(見

もっとみる
識の三層と照明・形象の関係

識の三層と照明・形象の関係

唯識思想において、識(心)の「阿頼耶識・末那識・六識」の三層表記はよく知られていると思いますが、識(心)を「照明や形象」で表す表記はあまり知られていない部分なので、簡単にまとめておきたいと思います。

【阿頼耶識】(照明+形象)○阿頼耶識の深層(照明)
阿頼耶識の中心部であり、如来蔵、空性、光り(浄く)輝く心、真如、仏性、自性清浄心、法身、法性、清浄法界など様々な異名があります。主観と客観、即ち末

もっとみる