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原始仏教

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【原始仏教】釈尊の説法

【原始仏教】釈尊の説法

釈尊は相手の才能・適正・レベル・生まれ育った環境などに応じて、理論・比喩・詩・物語を用いて教え説いたと言われます。所謂、対機説法です。釈尊は自らの教えを文字として残すことはしなかったため、原始仏典の内容は釈尊の入滅後(死後)に弟子達が記したものです。

ヤサは釈尊の元で出家し、五比丘に次ぐ六人目の比丘となりました。ヤサの両親は在家信者となり、ヤサの出家に促され、資産家の子のヴィマラ、スバーフ、プン

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【原始仏教】煩悩

【原始仏教】煩悩

今回は煩悩について、お話していきたいと思います。釈尊は苦しみをもたらす心的要素である煩悩を総称して、貪(貪欲)・瞋(瞋恚)・癡(愚癡)の三毒にまとめました。この三つは全てが並列ではなく、輪廻のメカニズムの根源に無明である癡が置かれ、そこから生じる欲望を貪欲(求める欲望)と瞋恚(避ける欲望)とで代表させました。その貪欲と瞋恚から悪業(悪行)が生じ、輪廻の苦へと繋がります。三毒以外にも様々な呼び方、ま

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【原始仏教】十大弟子 釈尊の帰郷

【原始仏教】十大弟子 釈尊の帰郷

○釈尊の十大弟子
①舎利弗(舎利子)
 巴語:サーリプッタ、梵語:シャーリプトラ
 称号:智慧第一
②摩訶目犍連(目連)
 巴語:マハーモッガラーナ、梵語:マハーマウドガリヤーヤナ
 称号:神通第一
③摩訶迦葉
 巴語:マハーカッサパ、梵語:マハーカーシャパ
 称号:頭蛇第一
④須菩提
 巴語:スブーティ、梵語:スブーティ
 称号:解空第一
⑤富楼那
 巴語:プンナ・マンターニープッタ、梵語:プー

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【原始仏教】欲界・色界・無色界

【原始仏教】欲界・色界・無色界

今回は三界の思想について、見ていきたいと思います。

①「粗い、色があり、四大要素からなり、(母と父から生まれ)物質食を食べる我」とは人間の欲界の我であり、肉体に属する我のことです。
②「色があり、意からなり、大小すべての四肢があり、欠けるところの無い感官(五根)を備えた我」とは人間の色界の我であり、意成身(霊体・幽体)に属する我のことです。
③「色の無い、想からなる我」とは人間の無色界の我であり

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【原始仏教】六根(六処)

【原始仏教】六根(六処)

○正根と扶根(扶塵根)
扶根:
現代で言う原子から成り立つ物質次元の感覚器官です。肉体が有する感覚器官であり、眼で言うならば、角膜・水晶体・網膜などから成り立つ器官となります。
正根:
意成身が有する霊的な感覚器官です。真の感覚器官としての能力は扶根ではなく、正根が有します。仏教で説く「根」はこの正根を指し、六根に分けられます。六根とは「眼根・耳根・鼻根・舌根・身根・意根」です。

○命根(寿命)

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【原始仏教】潜在煩悩の顕在化

【原始仏教】潜在煩悩の顕在化

十二縁起の最初の「無明(迷妄・愚癡)」は「真の自己を知らない(なぜ自分が自分であるのかを知らない)=四諦に対する根本的無知」という潜在煩悩であり、真の自己を覆っています。十二縁起の二支目の「行(サンスカーラ)」は次の三種類に大別することができます。即ち、業(カルマ)・残存印象・潜在煩悩です。十二縁起とはその中でも特に「業(カルマ)」という種子が結実し、次の生涯への再生をもたらす過程を示しているので

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【原始仏教】涅槃(ニルヴァーナ)

【原始仏教】涅槃(ニルヴァーナ)

釈尊は80歳の年齢で入滅(死亡)したと伝えられています。釈尊は入滅前にも数々の教えを残しています。

これまでの教えが遺言のような形で説かれています。そして、原始仏典では悪魔(マーラ)がまだ未熟だった弟子アーナンダに憑り付き、釈尊の延命を間接的に阻害したと説かれています。

「人々と神々のために命ある限り、この世に留まって欲しい」という旨を釈尊へ伝える機会をアーナンダは何度も潰してまったようです。

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ちょっと一息

ちょっと一息

現在、説一切有部の教説を書いていますが、原始仏教と比べてとにかく難しいです(笑)

ちょっと一息ということで、釈尊の「琴のたとえ」のお話しをご紹介します。

所謂、「中道」の教えです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。