今すぐできる、資金調達資料を改善する4つの方法とコツ
こちらは先日ツイートした内容に少し補足した記事です。
若手起業家の方から反響が良かったこともあり、noteにしてみました。
事業に集中して取り組む、良い起業家にお金が集まらず、説明が上手い人にお金が集中しやすい状況があると思っていて、そんな状況を少しでも改善する参考になれば嬉しいです。
下記のようなスライドをどういった目的で取り入れるべきか記載しています。
(1)資金調達で分かりにくい資料の4つの傾向
よくある4つのケースをここでは取り上げます。ここを改善するだけでも大きく資料としては伝わりやすくなると思います。下記では参考としていくつかの資料をスライドを紹介しています。
1. 最初にやってる事業を話さない
課題や取り巻く環境の話が長くて何してるか分からないということがよくあります。最初に何をするのか伝えられていないので、その課題感が本当に事業に対して一致しているか考えることもできず、ただただリサーチ情報を話す時間になってしまいがちで、効率的にプレゼンできているとは言えないでしょう。
2. 現場で追ってるKPIをひたすら語る
プレゼン冒頭から、社内で追ってる細かな指標をひたすら並べて、それがどのように成長しているかなどをプレゼンされるケースが多いです。ただ、所見の人にとっては、最初から情報量が多すぎて、理解が追いつきにくくなります。
また、1でお話した「最初になんの事業をやっているか」がKPIよりも後回しになっているケースもあり、そうなるといよいよ何をプレゼンしているのか伝わらなくなります。
3. その事業の先に見据えてる未来について語らない
プレゼンが終わって色々と質問をしていると、この事業で溜まったアセットによって、次の展開が見込めると考えているというお話がでてくることがあります。投資家視点なら、単一の事業で終わらず、そこからどれだけ大きな会社になっていくかが気になるポイントです。そう考えると、こういった中長期的なストーリーを語らずにプレゼンを終えるのはあまりにもったいないことだと思います。
4. 創業者やチームについての説明が薄い
資金調達のフェーズに関わらず、創業者やチームの構成がどうなっているのかは重要な判断基準になると思います。しかし、意外なことに起業家の方は創業者やチームの魅力について語らない、または語ってもあまりに少ないことが多々あります。
(2)今すぐできる4つの資料改善方法とコツ
1. 最初に一言で事業を伝える
私が、投資先と資料を作る上でよく例えに出すのがSmartHRさんです。
この画像一枚あることで、やってる事業が何か一瞬で説明ができます。
この画像一枚あるだけで大きく変わると思っているのが、
①視覚的な情報、イメージが湧く
テキストだけだったり、数字情報だけを羅列すると、事業のイメージが記憶に定着しづらいと感じます。なので、まずは何をやっているのか、視覚的に伝わる資料を冒頭に挿入することが重要だと思います。
②キャッチャーなコピー
SmartHRさんの「すべての『労務』を1クリックで」というフレーズで、労務管理に関するサービスであることが分かりますし、更にこのキャッチフレーズがあることで、その詳細について同時にプレゼンをしてもイメージを定着點せやすくなると思います。
この2つの理由から、アウトプットの説明をした後で、何故やってるかを語る方が伝わると感じています。
2. 最重要指標を1つだけ話す
ここでよく例えで出すのがエニグモさんの決算説明会資料にある下記のスライドです。自社のサービスにとって、ARPUが重要で、その構成要素がシンプルに説明されています。
参照:https://enigmo.co.jp/ir/library/ir-relevance/
このように分かりやすいスライドを作って、この指標が伸びたらこの事業は伸びます!と言い切ることが大事だと思います。
社内で追ってる詳細な指標は、これを理解してもらい、プレゼンが終了した後にディスカッションをするタイミングで良いと思っています。
何よりも、伝えるKPIを絞って、結局何が伸びたらスケールするのかシンプルにする工夫が重要です。
3. 今のチームと調達後はどうなるか語る
どのフェーズでも創業者やチームがどうなってるか重要視されるけど、事業説明だけにフォーカスされてることは多いです。
更に、調達後にどういうチームを作ろうと考えてるのかも分かりにくいので、現在と未来の変化は示した方が良い。
4. スケールした先にある事業可能性を大まかに3ステップくらいで語る
こちらの話をする時は、ソフトバンクさんの資料が参考になると思います。
参照:https://www.softbank.jp/corp/ir/documents/presentations/fy2020/
投資家の「期待値」を作るために、「現在」の話だけではなく、「未来」の話も盛り込みましょう。
未来のことだけ語るわけではなく、あくまでこれまでにプレゼンしてきた事業やチームによるアセットが次にどういったスケールに繋がると考えているのかをサラッと説明するだけで良いと思います。
未確定であったとしても、起業家が何を考えているのか伝えることは重要です。
(3)さいごに、まとめ
上記はあくまで資料を改善するTipsでしかないと思います。本質的には良い事業であるのかが一番重要なことですが、その事業を作るために資金調達が必要になることがあると思います。良い事業を作る人が、円滑に資金調達できるように、少しでも参考になれば幸いです。
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