【裏社会リポート】誰も知らない精神病院の1日 !精神病院とはいったいどんなところなのか?
病んだ人間を治療・保護・収容する精神病院。あなたは精神病院にどういうイメージをお持ちだろうか?
鉄格子がはまった窓、隔離施設、閉鎖された病棟、拘束着や足枷、手枷etc…。誰もが思い描くのが、山奥で薄暗く、閉鎖的なイメージだ。
しかし、誰しもが精神病院の真の姿を見たわけではない。まことしやかに語られる風の噂でそんな“密室”のイメージをすり込まれただけだ。本当の精神病院とはどのようなところなのか。
混沌とした世間で、いつ自分が精神病を患うかわかったものではない今こそ、事前に精神病院の基礎知識をつけておいたほうがよいのではなかろうか。準備しておくにこしたことはない。
今回、取材に応じてくれたのは、関西某県X市にある精神科専門病院『Y病院』の女性看護師・正木遼子さん(仮名、32才)。
看護師歴10年のベテランが語る精神病院の真実とは…。
■どこの病院もベッド数が足りない
全国で精神科のある病院は、約1,670病院ある。入院者数は1999年の調べでは33万3,294人。現在、入院を希望する患者は激増の一途を辿り、常に収容率100%の深刻な病床数不足になっているという。
在宅患者数は約184万。私たちが知らない間に、日本の精神障害者の数は218万人にものぼる。尋常ではない数だ。
そんな神経衰弱ギリギリの患者たちを手厚く看護するのが、彼女たちの仕事。肉体的負担と精神的負担がハンパではない精神病院。どのような病気の患者が多いのだろうか。
「もっとも多い病気は外来、入院ともに、6割が統合失調症(精神分裂病)。そして神経症性生涯及びストレス性障害、気分障害(躁鬱など)の順になってます。そのあとに認知障害(痴呆)の患者さんが続きますね。最近では人格障害の患者さんも増えてます」
すべての症状の患者を収容する施設はいったいどのように管理されているのだろうか。
彼女が働く病院は四方を山に囲まれた、人里離れた過疎の地にある。
ベッド数250床、4階建ての中規模病院だ。外来と病棟があり、通院していた患者がそのまま入院するというケースが多い。
コの字型の病棟に、年齢や病状の進行状況ごとに6つに仕切られ、配置されている。疾患別に仕切られることは少なく、男女は混合である。
患者の選別の仕方は、衝動行為(自傷、他害)が見られる患者を収容する“急性期病棟”、落ち着きを取り戻して衝動行為の心配のなくなった患者・またはその恐れがはじめからない患者を収容する“亜急性期病棟”、慢性精神病患者を収容する“慢性期療養病棟”にふり分けられる。
そのため、色々な症状の患者が同居するカタチになる。痴呆老人の隣に躁鬱の患者のベッドがあってもおかしくない。精神病院の入院制度は4つある。本人の意志に基づいて入院が行われる“任意入院”、自傷・他害の恐れがある精神障害者を知事・市長の命令で強制的に入院させる“措置入院”、医師が入院の必要があると判断し、身近な保護者の同意があれば強制的に入院させることができる“医療保護入院”、医師が早急に入院が必要と判断した場合に72時間に限り行うことができる“応急入院”からなる。
「ベッド数がただでさえ足りないのに、警察からの“措置入院”要請を受けるためにベッド数はいくつか確保しておくように法律で決まってるんです。ちなみにそういった患者は、隔離室やカメラなどの監視体制が整った“急性期病棟”に入れられます」
自傷・他害行為のある患者のための鍵付きの部屋『隔離室』(家具類は一切なく、トイレのみ)には、いつもマグネット式の拘束着を着せられるか、布紐などでベッドに四肢拘束された患者で塞がっているという。
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