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005. イノベーションとは、共鳴である

高度経済成長期から昭和にかけて、必要なモノが満たされず、皆が一様に1つのライフスタイルを求めており、その先の豊かさの象徴として「三種の神器」をマスメディアが定義した。

1950年代後半:白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫
1960年代半ば(いざなぎ景気):カラーテレビ・クーラー ・自動車
2000年代半ば:デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビ

これらの製品は、顧客にとっては「所有」することが価値であり、そのためには「機能的価値」だけがあればよかった



しかし、現代において、「機能」はすでに充足している。いや、もっと根底のところで「生きる」という意味において足りないものはない。そのため、人々は「自己実現」「自己表現」に重きを置くようになった

その文脈で重要なのは「機能」ではない。そもそも「機能を所有」することが重要ではなくなったのだ。重要なのは「情緒的価値」であり「体験的価値」であり「自己実現価値」であり「社会的価値」なのだ。

顧客が求める価値にフォーカスすると、企業が顧客に対して喚起すべきなのは「共感」であるといえる。自分の理想とするライフスタイルの実現に向けて、そのプロダクトの思想に「共感」することで、自分のライフスタイルに取り入れるために「消費」という判断を下すのだ。その時「所有」は重要ではない。



そう考えると、企業や人にとって「ストーリーテリング」はこれからの世の中を生きていくのに欠かせないものだ。

なぜなら、人はストーリーによってしか共感しない。人生というストーリーを生きている顧客は、プロダクトと点で接するわけではなく、ストーリーの中に組み入れて、過去のストーリーの延長として未来のストーリーを描く体。

そのストーリーに「嘘」はあってはならないが、しかし多少の「誇張」は許される。プロダクトによって顧客のストーリーに影響を与える「体験」は、プロダクトそのものだけでなく、その外側にある全て材料として含まれるからだ。それは誇張によって刻まれたストーリーそのものだ。



つまり、これからのイノベーターにもっとも必要な能力は「ストーリーテリング力」であり、その先にある「共鳴力」だ

ストーリーテリングによって、自分の情熱に人を共感させ巻き込み、共鳴で何倍もの力にしていく。

そうやって人の心を動かすために、自分の中にキャラクターを作る。自分自身である必要はない。自分自身をベースに共鳴力の高いキャラクターを作り上げ、発信する。

世界を変えたイノベーターを振り返れば、確かに「共鳴力」を持った人たちばかりだ。

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