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台北の本屋さん

僕は"書蟲"、本の虫なので(日本語と同じ言い方なのが面白い)、台北では良く書店巡りをしています。

以前は中国にもよく出張に行っていたので、北京・上海・広州・瀋陽・天津などでも時間を見つけては書店を探してました。印象としては中国では新華書店などの大きな書店はそれなりの品揃えをしていますが、それ以外の小さな本屋さんはあまり活躍していないように思えます。お国柄、中央の統制が厳しいので、自由なスタイルの独立系書店などというものは存在しえないのかもしれません。

香港でも書店巡りをしたことがあります。香港は逆に大きな書店は見つからず、小さな個性的な本屋さんばかりでした。今のご時世ではどのようなことになっているのか分かりませんが、中国政府の締め付けが厳しくなっているようですね。

中国・香港と比べると、台湾には非常にたくさんの書店があります。誠品書店・金石堂などの総合・多店舗経営のものや、小さな独立系書店など様々です。これは、台湾の政治が民主主義を基本とし、言論の自由が担保されているからなのだろうと思います。

ここでは、これらたくさんの本屋さんのうち、僕の好きなお店を、その特徴と合わせて紹介します。


【三民書局】

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日本でいうところの三省堂書店みたいな大型書店です。あらゆる種類の本が揃っているので、よく利用します。僕のターゲットは歴史コーナーですね、3階の書棚一面に、中国の各王朝の歴史、中国の通史、世界各国の歴史、文化史などの本がおいてあります。月に一回は、新しい本が出てるかチェックしてます。

重慶南路店:台北市重慶南路一段61号
復興北路店:台北市復興北路386号

【誠品書店】

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今、最も人気のある書店チェーンです。台北の文化活動の象徴の様な本屋さんですね。店舗内には、たくさんの座ることのできる場所が設えてあり、そこでゆっくりと過ごせるので、たくさんの人がリビングでくつろぐようにして本を物色しています。

書籍だけではなく、文具や小物もたくさん置いてあり、生活一般についての提案をコンセプトにしています。企業としては、本だけではなくそのような多様な商品を取り扱うマスターリースの事業として経営しているようです。

日本橋には東京店もオープンしています。

敦化南路店:台北市敦化南路一段245號
信義店:台北市松高路11號
南西店:台北市南京西路14號
台北駅店:台北市忠孝西路一段47號B1F
ほかにも多数

【樂學書局】

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ここは圧倒的に人文・学術系の本が多い本屋さんです。歴史、哲学、宗教などの本を探すのならおススメです。台湾の歴史書もたくさんあります。僕はここに来ると大体2時間くらい籠ってしまう。
書籍の割引きがあるのも嬉しいです。5%引きだったかな。どうも教員御用達の本屋さんらしいです。ただ、公務員相手で土日休みなので、有給休暇とらないと見に行けません。

住所:金山南路二段138號10樓之一 (マンションの中です)

【青鳥書店】

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ここは、元々は華山文創園區の2階にある独立系書店です。現在は北部を中心に、いくつもの場所でオープンしてますね。基隆や屏東にも進出しています。どちらかというとジャーナリスティックな本や、写真やアートに関する本が多いです。華山のお店では、講演会もよく開いています。

華山店:八德路一段1號

森大青鳥:臺北市大安區信義路三段59號2樓

基隆店太平青鳥:基隆市中山區中山一路189巷135號

屏東店南國青鳥:屏東縣屏東市中山路61號

【台灣的e店】

ここは台湾関係の書籍を圧倒的に揃えています。歴史、文化、都市、建築、音楽、原住民など。CDや写真集、ポスターなどもそろえていますので、他の書店では見られない商品もたくさんあります。

あらゆる分野で台湾をテーマにした本を探したいなら、ここをまず当たるのがベストだと思います。

住所:新生南路三段76巷6號

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【銅鑼灣書店】

香港にあった独立系書店が、香港では運営できなくなり台湾に移ってきました。場所は南京西路、新光三越のちょうど向かいあたりです。雑居ビルの一室で今は運営しています。

しかし、その小ささにもかかわらず、ここは全く僕の好みの本屋さんです。置いてある本が、中国や台湾、香港の政治と歴史の専門書が多く、それも台湾の他の書店ではあまり見ないようなものばかりだからです。

香港と台湾の関係は、コロナの問題が表面化して以降、あまり報道されなくなっていますが、台湾に生活していると、そこここに香港の人たちの足跡を見ることができます。その中でもこの書店は、大きな拠点の一つでしょう。

住所:南京西路5號10F

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【浮光書店】

これは赤峰街にあるリノベーションの本屋さんです。規模は小さいけど、趣味に合う本が沢山あります。南京西路の近くと立地も良いので、散策の寄り道にカフェとしても使えますね。

NHKの番組「ハルさんの休日」でも紹介されていました。

住所:赤峰街47巷16號2樓

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【紀州庵】

紀州庵というのは、元々日本統治時代に日本人御用達の料亭として作られた建物です。それが国民党による摂取後は、放置され荒れ果てていたものが、台北の老房子運動の拡がりとともに新たに見いだされ、現在は台北市の文学館として利用されています。

紀州庵の建物自体は台北市の文学館として利用されており、これに隣接している現代的な建物に書店が併設されています。ここには、台北の文学者の著作をたくさん置いてありますね。文学館で歴史を学び、書店でその具体的な作品を手にすることができます。

住所:同安街107號

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【台北藝術大學書店】

これは台北藝術大学の中にある書店です。大学の性格からアートに関する書籍がほとんどですね。音楽・演劇・アートに関する書籍とCDやDVDなどもたくさん置いていあります。合わせて建築や歴史系の本もおいてあり、講演会なども行われています。

本屋さんとしては、知名度はないようですが、ここの品揃えは一見の価値があります。僕はここで台湾のジャズの歴史に関する本を見つけました。他の一般書店とは全く異なった本が置いてあります。

住所:北投區學園路1號(台北藝術大學のキャンパスの中です)

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【季風帶書店】

これは東南アジアの文化を紹介するために、マレーシアの華僑が開いた書店です。ですので、シンガポール・マレーシアを中心に東南アジアに関する本の品揃えが素晴らしいですね。台湾の普通の書店とは全く異なった本が置いてあります。

書店主はペナンの出身で、台湾の大学で学んでいたのだそうです。台湾での東南アジア関係の情報が限られていることに発奮し、書店を開いて自らの出身の国のことをもっと知ってもらいたいと考えたとのこと。時々、東南アジアの歴史・文化に関する講演会も行っています。

場所は、迪化街の古い商家の2階を使っています。小物店の店舗を抜けて奥の階段を昇ったさらに上にあるので、行く際にはサインを注意して見てください。

住所:迪化街一段198號2樓

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【重慶南路書店街】

ここは東京の神保町のようなところですね。書店が軒を連ねている。三民書局をはじめとして、学習参考書、漢方関係、中国大陸の本などたくさんあるので、時々隅から隅まで歩いています。

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【茉莉二手書店】

台湾大学の近くにある古本屋さん。台北の古本屋さんは大体規模が小さいのですが、ここはそこそこ大きいです。ただし、それでも掘り出し物は少ないですね。一般書を安く買いたいと Book Off を利用するような使い方ならよいと思います。僕はここで台北郊外のハイキングのためのガイドブックを買いました。

台大店:台北市羅斯福路四段40巷2號

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【閱樂書店】

ここは、松山文化園區にある平屋木造の本屋さんです。ここにも個性的な本が多いですね。アートとか、文学関係の本が主です。

カフェ併設なので、お茶を飲んで一休みもできます。屋外にはビオトープもあり、都会の中のオアシスといった趣です。元は日本統治時代のたばこ工場の託児所だったと説明がありました。

住所:光復南路133號

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【蠹行文化聚合古書店】

青田街にある、特殊な古本屋さんです。台湾の古本屋さんは中華民国になってからの中文の書籍を扱っているものばかりなのですが、ここには日本統治時代の資料がたくさん置いてあります。表に出ているのは比較的新しい本でしたが、奥にあったのはどれも戦前の茶色く色褪せた書籍群でした。日本語のものもあれば中国語のものもある。台湾水利史などという本が沢山あったので、興味があるので見てみましたが、値段はかなりお高く、数千元というものばかりでした。

店員さんの説明によると、これらの本は日本人が置いていったものなのだそうです。この付近は日本統治時代には官庁宿舎があったところと聞いています。歩いている最中でも日本式の宿舎を、たくさん見かけており、修復が行われているようなものも一部あります。日本時代のお役人さんが集めた書籍が、日本に持ち帰られずに台湾に残された。それが巡り巡って今ここで古書として売りに出されている。そんな風に感じました。

なお、"蠹"という文字は中国語の"書蟲"、本の虫のことで、"dù"と読むそうです。

住所:青田街2巷25號

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番外編として、二つの書店の名を関したライブハウスを紹介します。

台湾では何故これらのライブスペースに"書店"と名前を付けるのか、これは心理分析の専門家に聞いてみたいですね。やたらと文青とか文創という名前を使うので、なんとなくこういう文化活動を行うということについて憧れがあるのかなと感じています。

【雅痞書店】

リノベーションカフェとして、とてもスタイリッシュにデザインされているライブレストランです。ウィークデイはレクチャースペースとして、ウィークエンドはライブレストランとして運営されています。

エントランススペースには実際にちょっとした書籍のスペースがあります。旅行の本がたくさん置いてありますね。

住所:復興南路一段126巷1號3F

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【沐月書店】

ここは青鳥書店を計画したプランナーの一人が、自分のスタイルで経営をしたいと始めたミュージックバーです。音楽は独立系ミュージシャンの小さなライブ活動といった趣です。小さなリビングスペースでのライブといった感じがなかなか面白いですね。

住所:泰順街24號地下一樓

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【蔦屋松山店】

最後に日本のTsutayaの台北のフラッグシップ店を紹介します。

台湾鉄道松山駅の上にある商業ビルの2階に蔦屋松山店があります。キーテナントとしての位置づけで、広い面積を使ってデザインにも力を入れた店舗になっています。

ここの中国語の本は普通なので、専門書が読みたい僕としてはあまり興味はありませんが、インテリアデザインと全体の雰囲気は非常によくできていると思います。

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台北には個性的な本屋さんがいっぱい

これらが台北で僕が好きな本屋さんです。中国と比べると、とてもバラエティーに富んでいて、個性的なお店が多いです。企業として成功している書店も多く、一方小さな独立系の本屋さんも頑張っていて、たくさんのお店がそれぞれに活躍しています。新しい本屋さんもどんどん開業しています。

書店巡りの好きな"書蟲"にとっては、台北はとても面白い街です。

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