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管理部門組織を業務委託を含めて構築する

組織を作っていく上で業務委託を含めて構築していくという選択肢が有効だと考えるようになった。

当社は上場しているとは言え、認知度は低く、収益は現時点では芳しくない。給与水準は同業他社と変わりないか低い。そのため、採用は非常に難しい。フルリモート、フルフレックスという働き方の柔軟性はあるが、それだけでは十分な数の優秀な人材を採用することは難しい。

当社の売上高は長年、ボックス圏内で推移していたが、数年内での倍増プラスαを計画していて、従来のままでは管理部門が成長のボトルネックになりかねない。そのため、成長ドライブを支える管理部門に生まれ変えるため、改善活動を急務で行っている。ゆえに、従業員一人一人にかかる負担も大きい(それはそれで成長機会になってはいる)。

世の中的には転職に対するハードルが低くなり、環境の変化に馴染めない社員やより高みで仕事をしたい社員、給与水準に疑問を持った社員などは退職をしていく。なので場合によっては教育コストを回収できない時がある(自身の経験では結構ある)。

教育コストだけでなく、採用活動、採用手数料も回収できていないかもしれない。膨大な数のレジュメを選考し、数回にわたり30分から1時間の面接をし、条件調整をする。内定承諾しても入社まで1ヶ月から3ヶ月かかる。募集要項を出してからだと下手すると半年かかる。一方で退職は1ヶ月から2ヶ月。欠員募集には間に合わない。人材紹介会社からの採用だと年収の35%を手数料として支払う。

そういった中、採用活動はROIが見合わないと考えるようになった。もちろん、正社員がゼロで良いとまでは思わないし、リファラルやダイレクトリクルーティングなどの採用手法もある。ただ、正社員と業務委託、派遣社員から構成される組織は良いと考える。メリットはいくつもある。

① 採用にかかる工数と費用の削減
お世話になっている業務委託の紹介会社は一定の社会人経験を積んだキャリアのある人材に強みを持っている。このため、スクリーニングの工数がかなり削減できる。要件に合う人材と巡り合う確率が高い。人材紹介会社に比べると質が良い。
また、紹介手数料が低い。人材紹介の場合、だいたい想定年収の35%かかる。一方、この会社だと人材紹介の半分以下の定額。

② 費用の削減
ランニングの月額費用も抑えられる。管理部門だと月内で繁閑がある。社員の場合、閑散時期にも給料を支払わなければならない。一方、業務委託の場合(時給の場合だが)、閑散時期は稼働を抑えることでコストが浮く。また、繁忙期、法定労働時間以上働いても時間外の割増はない。社会保険の労使折半もないのでPLに優しい。

③ 教育コストがかからない
業務委託で生計を立てている場合、一定のスキルは担保されている。そのため教育する必要がほぼない。雇い続ける必要がないためステージが変わったら別の業務委託の人にスイッチすることも柔軟にできる。
直接雇用の場合、人事評価がある。当社の場合、半期ごとに目標設定して評価がある。当然社員のキャリアアップを願って目標設定するし目標を達成できるようフォローアップする。しかしながらそれには相応の労力はかかるし、そこまでしても退職する。当社の場合、業務改善活動によりスキルアップをした社員は世の中の給与水準とのギャップに気付くと退職する。、新しい会社で活躍を期待するものの、教育にかけた時間は回収できない。

④ 契約解除が容易
紹介会社面接を通してスクリーニングするとは言え、残念ながらミスマッチも発生する。その際、業務委託だと契約に従って継続しない、あるいは期限前の合意解約をすれば良い。そこに法的な制約はない。
無期限社員の場合、そうはいかない。労働基準法により解雇はハードルが高い。穏便に退職に向けて、話し合いを重ねる、評価を下げる/下げ続ける、異動させる、などなど。労力もかかるし時間もかかる。何よりもメンタルが削られる。

⑤優秀な人材に巡り合える
働き方が多様化している中、優秀で外でも稼げる人は組織から出て独立する人も一定数いる。そのため、業務委託のプールの中で優秀な人材に巡り合う確率は高い。
また、“就職”の場合、会社の事業内容や財政状態、給与、福利厚生、口コミなど複合的に判断して入社を決めるが、業務委託の場合、委託料、業務内容がマッチすれば契約する確率が高い。そのため、優秀な人材を会社の状態に関わらず確保できる。

正社員比率がどの程度まで許容できるか、階層の中でどこまで業務委託できるか、検討の余地はあるが、業務委託を組織の一員とすることは1つの有効な手法だと考える。

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