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ノベル版「Parallel World」- [第5章] Day Break Shower

原作: みるくかふぇ、設定協力: ひぃ熊、キャラクターデザイン&イラスト: 水野色

曲名「Day Break Shower」、作詞: ひぃ熊、作曲: みるくかふぇ

■ストーリー

「めぐみ、あれを見て」

クララが指を差す。めぐみがその指差す先には、道を行き交う人々。人々の顔は白仮面のように固く、何かに従うかのように皆同じ方向へと進んでいく。

クララに連れられて、めぐみは並行世界にやって来た。まずは首都・ミューズの町外れにある、クララが所属するレジスタンス組織の「Day Break Shower」のメンバーと面会をするのだ。

だがミューズ市街へ入ると、スピーカーからは定期的に憂鬱な音楽が流れ、意思を感じさせない人々の姿が目の前に広がる。

「クララに世界の解放とGUMIさんの救出をお願いされた。クララの熱意に絆されてここまで来てしまったけど。私がそんな大それたことをするのは……」

めぐみには自信がない。小さい頃、大好きな歌を歌っているときに、その歌声を周りの男の子たちに馬鹿にされたことがある。

「誰もお前の歌なんて聴きたくないんだよ。たいして上手くもない癖に!」

そうして人前で歌うことに恥ずかしさを感じる様になっためぐみは、大人たちに人前で無理に歌わされるたびに自信のない声を出して、否定されてきた。

「私が歌っても誰も何も得をしない。私に何かができることなんてないの」

そう回想していためぐみに、クララは話しかける。

「私たちの世界は、歌姫のGUMIさんと、GUMIさんに歌を提供する音楽王の2人が作る自由で幸せな音楽で満たされていたの」

目の前の光景は、とてもそんな穏やかな世界があったとは思えない。めぐみが「何を言っているのだろう」という顔をしているとクララは続けて話し出す。

「でもある日、音楽王は豹変してね。GUMIさんを捕らえ幽閉し、街中に不幸の音楽を流して私たちを縛り付けるようになったの」

通りの両脇を固める壁には、一人の青年の写真と共に「栄ある音楽王の慈悲と共に」と書かれたポスターが貼られている。どうやら写真の青年が並行世界に君臨する闇の音楽王らしい。

「私たちはGUMIさんを救出すべく集結した仲間たちと、Day Break Showerという組織を組んで活動を始めた。それから半年以上が経過した。それでも音楽王に操られた人たちの妨害も多く、私たちは防戦一方。GUMIさんの救出もままならなかったの」

不幸の音楽は流行病のように広まり、今や立ち向かえているのはクララたちだけ。そんな強大な相手に、クララは私にどうGUMIさんを救えというのか。

めぐみは俯いている。その姿に気がついているのか気がついていないのか、クララは悲しげに雑踏を見つめ穏やかに歌い出す。

ねえ 聞かせて 心の歌を
ああ あたしも 歌を歌うから
ねえ 聞かせて 心の歌を
さあ あたしと 歌を歌おうよ

その歌声に顔を上げためぐみの目に映ったクララの横顔が映る。その表情には寂しくも強い意志が浮かんでいた。

■キャラクター紹介

※この作品はみるくかふぇが制作した音楽アルバム「Parallel World」の原作ストーリーです。アルバム「Parallel World」はSound Cloudでの無償公開(ストリーミング視聴のみ)のほか、各社サブスクリプションサービスでの配信、BOOTHでのダウンロード販売/CD通販を行っています。

Parallel Worldアルバム情報:  https://note.com/hiroys_milkcafe/n/na13b39e4b322

※この作品は二次創作です。作中に登場する人物「GUMI」は株式会社インターネットが販売する製品「メグッポイド」の愛称ですが、販売元は当作品とは無関係です。また「メグッポイド」の商標・キャラクター等は販売元に権利があります。

ノベル版「Parallel World」目次
https://note.com/hiroys_milkcafe/m/m09bbd902a64d

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