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子ども嫌いなのに選んじゃった仕事

きっかけ

私が今の仕事についたのは、およそ6年前。

当時やっていた別の職場で顔を合わせる年配女性に声をかけられた。

そもそも同じ部署でもないし、歳が近いわけでもない。
後に判明したけど、この方私のちょうど一回り上。
見かけると向こうからあいさつされたり、おもしろい映画の話したり。
それもその人が一方的に興味のあることを話してくる感じで。

だから
「やらない?」
って誘われた時
「なんで私?」
って思った。

本来の私だったら、きっと断ってたと思う。
実際一回目に誘われた時は断ったもん。

それが、次の時には、なんでかなあ‥‥
「やります」
って言ったんだよね。

内容は知ってて、自分も利用したことあるし、絶対大変な仕事だってわかってたし、やろうなんて全く思ってなかった。

子どもに接する仕事だし、そんなに子ども好きじゃないし。

後から考えると、「やる」と言ったこと自体が、その後の自分の方向をかえたと思う。

仕事初期の辛かったこと

そもそも子どもが嫌いだった私だから、子どもと遊ぶことが好きとか楽しいとか、あまり感じたことなかった。

それに当時は今と違って、問題ある子どもが何人もいた。
他害するコ
大人を見下すコ
おばさんとバカにするコ
意地悪がいじめくらいの破壊力のあるコ
日本語がわからないのに自己主張が強くて周りから孤立するコ
強い子に従って周りを煽りまくるコ
脱走するコ

ちょっとでも目が離せない子ばっかり揃ってて、なのにこっちは人数としては数えられてて、やらされて、毎日毎日仕事に行く日が嫌で嫌で‥‥。
「明日行きたくない〜。」
「もうやめたい」
の繰り返し
そんな気持ちで毎日仕方なしに仕事に行ってた。

自信がなく、自分で決めて行動できない、責任も取れない。
それまでの私で苦手なことばっかり求められる毎日に、本当に自信なく、辛くて、毎日辞めることばっかり考えてた。

なによりこの頃の私は
「子どもが怖かった」

日々の業務に慣れた

誘ってくれた人が、この職場の現場責任者だったから、私はなんだかんだ、大変な初めの3ヶ月〜一年をなんとか乗り切れたと思う。

この人じゃなかったら続いてなかったなと思う
それくらい信頼感がある
ただ、組織の中では異端児だったけど。

とにかく子どもと一ヶ月、三ヶ月、半年と過ごすうちに、わたしも日々の業務に慣れて子どもにも慣れて、徐々に楽しくなっていった。

だけど、このころはまだ、
「私だけ正しい。ほかの考え方があるなんて、そんなわけない」
と思い込んでいた。


子どもに教えられたこと

ある時、小4の女の子と言い争いになる。
一人の女の子が小筆を取り出して、みんなに見せてたんだけど、その小筆がバサバサに開いてた。
私が
「なんか、その小筆、開いてるね」
というと、その子が
「小筆は全体に水つけてきれいに墨落として乾かすんだよ」
って言うから、
「え?小筆って全体を洗わないんだよ。先っぽだけ紙で拭き取って、しまっとくんだよ。」
て教えてあげた。

その子は頭のいい子で、成績は学年トップクラス。
だけど少し変わった子で、人の気持ちを逆撫でするようなことへっちゃらで言う。
頭いいから揚げ足取りとかするし、絶対自分が言ってることが正しいて思ってるんだろう、て感じが伝わって、私は苦手な子だった。

その子が得意げに(私には得意げに見えた)小筆の洗い方を話してるもんだから
「何言ってんだよ!けっ!」
みたいな気持ちで口挟んじゃったんだよね。

そしたらそこから自論の展開がわーわー始まって、他の子も一緒になってワーワー言い出して、私が正しいのにまるで違うかのようになって、メチャメチャ腹が立った。

「私が正しいのに、間違ってるあなたがワーワー言ってそれにみんなも賛同するなんて、どうかしてる!バカじゃないの!」
って。

結局、その場にいた男の子が
「先生。〇〇は、自分の小筆が高級だってことを自慢したかっただけなんだよ。(だから先生の言ってることは関係ないんだよ)」
て、とりなして終わった。

その経験から私は大切なことを実感した

「合ってるも、間違ってるもない。どの意見も一つの意見に過ぎない。私が思ってることだけが正しくて、他の考え方はありえない、なんてことはない。自分が考え及ばない考え方もある」ということが初めて腑に落ちた。

まとめ

以来私は自分の考えてることだけが正しいと思うことはなくなったし、どの意見も一つの意見に過ぎないんだと受け入れるようになった。
なにより
「自分だけ正しい」というスタンスに立ってものをいうことはあまりなくなった。

自分が正しいなら、違う意見を言う相手も正しいのだ。

そして、いつのまにか子どもが嫌いじゃなくなった。
好き、とまでもいかないが、子どもに癒されて、楽しく過ごせてる自分がいる。

癒されてなかった子どもの自分が癒されて、子どもと対等につきあえるようになったのだ。

この仕事
選んでよかった
続けて良かったと思う

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