見出し画像

#9 スペイン縦断ヒッチハイク

パスポートの再発行を無事終え
イグナシに別れを告げた。
グラシアスアミーゴ!
熱い握手を交わし目頭が熱くなった。
また必ず再会しようぜ!

彼の存在が無かったら
バルセロナの路上で過ごす事になっていただろう
本当に命の恩人。
彼と過ごした時間は
どん底に落ちた自分を救ってくれたのだった

俺はモロッコに行く為、
バルセロナから南へ2000kmの
タリファという町へ向かう
路上で稼いだお金は
ほとんどパスポートの再発行代金に使ってしまった為
僅かなお金を握りしめ、
ヒッチハイクでスペイン縦断を目指す事にした

これまた人生初の挑戦が始まった。
人は崖っぷちに追いやられると挑戦的になるみたい
ノートブックにでっかく目的の町名を書いたら
元気よく右手を突き上げる!
そうすると車が止まってくれて
乗って行きなアミーゴ!
と言ってくれて移動できる!

と思っていたが現実は甘くなかった。
まずスタートするにあたって
ヒッチハイクできそうな場所が無いのだ。
ハイウェイの近くは
ロータリーになっていて
車が止まれそうに無いし
信号も無いので車が止まってくれる気配も無かった
そうこうしてる内に時間だけが無情に過ぎていく
これは果てしない旅路になりそうだと、
もう一度気を引き締め直した

画像1



ヒッチハイクを初めて3時間程経過した頃、
ようやく初めて車が止まってくれた
嬉しくて天にも昇る気持ちだった。
結局記念すべきヒッチハイク初日は一日で100km
チャリといい勝負くらいの距離で終わってしまったが
初めての経験が出来た事は自信になった

ヒッチハイク2日目。
気合いを入れて早起きをし
 (野宿してて寝れなかっただけ)
早朝からヒッチハイクを始めた
今日は昨日みたいに躊躇する事なく
順調に1台、2台と乗せてもらう事が出来た。
車に答案用紙を大量に乗っけてた数学の教師や
スペイン語しか喋れないけど陽気でパワフルなトラック運転手のおっちゃん
家族の写真を自慢げに見せてくれたり
下品なスペイン語をいっぱい教えてくれた
普通に旅行しているだけじゃ
繋がれないローカルな人達と交流できる
そんなヒッチハイクが楽しくて楽しくてしょうがなかった
けど決して安全だとは言えない。
この日乗っけてもらった3台目のモロッコ人兄ちゃん二人組は
爆音で音楽を鳴らし、
ウイスキーを片手に180kmのスピードで高速道路を暴走し始めた
俺はこの時程交通安全の神様に祈る事は
後にも先にも無いだろう

画像2


そんなクレイジーな兄ちゃん達だったが
去り際に20€を手渡してくれて
「これで旨いもん食いな!ムスリムは困った人を見捨てないぜ」
と言ってくれた
あんたらめっちゃ飲酒運転してたやん
と思いながらも感動で胸がジーンとした。
ありがとう

その他にも5時間車が停まらず途方に暮れていた頃
俺のそんな様子を心配してもう一度戻ってきて暮れた優しい老夫婦がいたり
イケイケ金持ちの兄ちゃんに乗っけてもらって
スポーツカー童貞を卒業したり
ゲイのおっちゃんに車内で告白されてしまったりと
色んな人達が優しさのバトンを繋いでくれて進んできた
辛い事、しんどい事もたくさんあった。
罵倒されたり
1日数十キロ歩いたり
毎日野宿やし
でもみんなの優しさに触れる度、
そんな事はどうでもいいように思える程楽しかった
明日はどんな人に出会えるだろう、
どこまで進めるんだろう

画像3


そんな事を考えながら公園のベンチで
眠りにつく毎日も悪く無かったなぁ
そして遂に2000kmもの優しさのバトンを繋いで
タリファの町に到着した
初日は思うよう行かず
果てしない道のりの様に感じたが
色々な人達との出会いが楽しくて楽しくてあっという間の2000kmだった
そして無償の優しさに支えられた経験は
今後一生の財産になる事だろう
タリファの町から見る夕日は地中海に沈み、
対岸にはモロッコの山々がうっすらと見えている
物語はいよいよ夢にまでみたアフリカ大陸。

画像4

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?