見出し画像

ふつうってなんだろう@お絵かき禁止の国

最近、児童書をよく読むのですが、
非常に奥の深さを感じています。
わかりやすい表現と簡単な言葉が多いせいか
こどもたちが読むもの、とは思えないほど
腹の底に響く気がします。

本日の読書は、
長谷川まりるさんの「お絵かき禁止の国」
講談社児童文学新人賞で佳作だった作品です。

え。これで佳作^^;?
信じられませんね・・・。
とてもとてもよいお話でした。

主人公は、女の子が好きな女の子。

女の子が好きな自分を隠すつもりではないけれど、
カムアウトするタイミングでもないなと
思っている主人公。

でもある日、みんなに
女の子が好きだとバレてしまいます。
バレた後、彼女がはじめて登校する
朝の一節がこちら。

人間っておもしろい。相手のことを知ったつもりでも、全然間違っていたと、ある日突然気がつくんだ。それで、相手はなにひとつ変わっていないのに、急にどう接していいのかわからなくなってしまう。

「お絵かき禁止の国」p.133

なるほど。と思いました。
人生において、気づく側も気づかれる側も
体験しているけれど
毎回、なんとなくモヤモヤしていた気持ちの
輪郭が見えた気がします。

そうか、あのモヤモヤは
こういうことだったのか。

だれもが変わらず生きている。
そもそも簡単に変わることもできずに生きている。

自分の中にある「ふつう」とズレた人を見たとき
人は、反応に困ってしまいます。
そして攻撃したり、無視したり、
過剰な態度にでてしまう。

わたしは誰が誰を好きでもあまり気にならないので
作中に出てくる過剰な態度をふしぎに思うけれど
題材が誰かを想う「恋」じゃなかったら
過剰反応してしまうのかもしれない。

世界は「ふつう」にあふれているけれど、
誰もが誰かの「ふつう」を許せずにいる。
だから衝突して傷がつく。

簡単なのにムズカシイ。
人間のふしぎな胸の内です。

勝手に「ふつう」だと思い込んで
誰かを排除していたこと。
わたしにもきっとある。
誰がどう生きても、
その人がしあわせであればそれでいい。
その人がしあわせて、周りの人もしあわせで、
笑顔の人が多ければ、なんら問題ないこと。

自分にとって「ふつうじゃない」ことでも、
だれかのしあわせを願って
「ふつう」に受け入れる。
そんな人でいたいなと思います。

そういえば、作中に出てきたマンガは、
「きのう何食べた?」かな。
わたしも大好きなマンガです^^
今週のドラマもたのしみ、たのしみ。

「ふつう」について
「ふつう」に考えた1冊でした。




この記事が参加している募集

#読書感想文

189,330件

サポートいただけたら、とてもうれしいです( ´ ▽ ` )!いただいたサポートは、本をお迎えする費用に使わせていただきます◎