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中上哲夫のmake it new

make it new      

脳髄も茹だる暑さ 温度計は35度を指していた 渋谷から 電車に乗り 鶴ヶ峰という駅で降りた 会場の公会堂はわかりづらい 僕の目の前に ブコウスキーの詩を日本に紹介し 路上派と呼ばれた詩人が座っている 年は中上健次の7つ上だという 話はホメーロスから始まり 口語自由詩に至る3000年近くを数分で話す 韻文から散文へ 時空を飛び越え 基本はクールな語り口ながら  時々急にあつくなる
 「詩を書くことを手作業にもどせ」
 「行をあけて書く詩はすでに定型化しているから それを壊さなくちゃならない」
 「散文詩を再評価せよ」
と言いながら 朔太郎やボードレールの亡霊から逃げられないで困っているともいう

司会者の強引な誘導で 彼は朗読を始めた 声が辛そうだが読むのは楽しそうだった 
「朗読は声を発見すること」
「脳ではなく内臓で書きたい」
詩人は身体性をとりもどそうとしている 詩は簡単に消費されてはいけない 何回読んでもそれに耐える詩であること 

make it new 熟練することなく毎回初めて書くように書く 

その詩人は中上哲夫である 僕は彼のビート詩研究会に参加することに決めた

※これは横浜詩人会現代詩人研究会に参加した時のメモである

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