吉増剛造の記録 5月17日

昨夜虎ノ門のカフェで吉増剛造の土方巽について語るライブが行われた。そのできる限りの口述を残す。

吉村剛造 ネノネ ライブ

 
なんとかこのテキストのネノネに辿り着いた
病める舞姫を読む目の根が止まらない
早く 病める舞姫を読むところに戻りたい うっかりした心持ち ぐったりした心持ちにつながる ナマズドジョウを新品として大事にすることも 顔を撫でる
アメをくれる人を追っかけて 頭を下げる仕草 ぼんやりした 暗がりの中に隠れるのを 読みきれなかった このぐったりした心の薄暗がりが見えて きはじめたことを 驚きながら 読むことというよりも 聞き取るようにして ふっと 聖書の創世記 ぼんやりした心の薄暗がりを これから読むことのできる あるいは未来の古事記として 心に現れた 土方のいう新品を 私たちはものの仕草のようなところに 運ぶことができるまで 達しつつある

わかる

というのでもない 気がつくと 土方氏の深読みのま マ 間の
手と指を 不思議そうに眺めている
時に 急がないことだ
おそらく なんと話に のろく
のろっぽく 根がそぐわなかった ピッタリとした言葉をあてがう
ような動きを持っていて時が生まれてきていると言ったら良いのだ

病める舞姫を 「こんな箇所でなんと話に覚えがあるような不思議が生じる 春先泥にころんだ 情けなさが忘れられない 喋ろうとしているのに 喋られらない」すべて受け身ではなく 無言の人形に話しかけて時に 人形がはなしはじめた そういうことを言っている
泥に浸された
きのこかが叫びをあげている 自分かそこに現れて 癇癪玉を 破片のように考えているものを 泥で湿ってしまっていた 転んでいる体は餌食でも出し合ったし 飛びかかる 心の中の出来事が形ではなく ただ切ない泥の気分としてそこに
あらわれる

塗される(まぶされる)だけではなくそれとともに考えた時に
現れてくる 恐れのようなものの 心が 
もしかすると土方の獲物にしゃべられたように
心を震撼させられていて
もう少し引用を続けてみると 泥 床上げ 泥の被膜がくっついて
振り出しに戻ったような
目を覚まして眠る赤子
一つの穴を見つめ 
しきりに泥だまりに赤子の頭をいじっている

凄まじいね

この土方言語、体内言語、赤子と言ってきたが。正確ではない
土方言語を聞いてみた 泥だまりよりの中では赤子の頭を
私たちにも覚えのある 別の次元ののろさの 

触覚に変わっているんだな

というのが無意識の 別の次元ののろさのようなもの 

上上がる時に忘れている

ぐったりとした 
暗がりにつながっている
薄暗い微かな
糸である

そっと私たちの土方よりも ここから別の時の呼びに ふと思う この50年 
38年度々 残した
音声

スイカを
赤子の頭を
弄る仕草を
運動とか使いたくなくて

感覚でも志向でもない
新しい風でも  
たけみつさん
私たちの詩も

しっかり言葉の仕草の
果てしなさを
失っていて
土方のノロっぽさ
ぐったりさ
最晩年の衰弱はこのことを啓示

無言の仕草を
迷いつつ 朝のニュースで
唐十郎との
会話をどこかで
面影をこの稀有な チラシの
スイカを頬張る
土方に耳と目を奪われた

スイカを食べてる土方

受け身とかではない
土方がスイカに食べられている

芭蕉
梨食う次々
比類なさに
到底及ばない

なしを食わせろと
暴れている若者や
目を瞑りすすっている女を私は思い出している
梨やかきを

死んだものに殴られたような姿で
食べている

ここは忘れれるない

目をつぶって
隠れるようにして
しを急いだ人ではないが

その人たちは
梨は
胡散する

分析とかでは
だめなんだ

間違いながら
悩みながら書くしかない

そういう感じがする

こんな風にして
書いて
沈んでいくような
心の状態で
なんとなく
眠りにつくような
別の眠りへの入り口が確かに感じられました

泥だまりの印象が残っていて
心はその脈絡で読むが
次には

泥だまりは
馬の死骸がつけられたような
火に炙られていた

この火は見られたように
顔を真っ赤にした大人を
家の暗がりから見ていたわたしは

★燃え滓のマッチ棒を
数える暗算をしている

辻褄を合わせようと
中断する
のろっぼく
途端に擦るように
溜水の
火らしい

虚を疲れて
多少なり
土方宇宙の
乗り物
論理

想像力でもない
別の暗黒の
言い換えてもいい

辿り着いた
前代未聞の
病める舞姫


自らの読みの痕跡

別の目がしたことがある
幽霊的な 別人の目が通ったらしい
つまり
読書経験が異なる事態に
おうちゃくをしていて
だから
書く人ひごかたたつまが
かえって目につく

亀のことと
それから
卸金のことに、触れずにおく

逆にとても珍しい心を伝えてくる
梨や柿

なぜ桃が
現れない?

死んだものに殴られていくような姿でなしやかきを食べている驚異

このために桃のことは語られなくていい

ただただ怖くて
聞き続けてきた耳が
暗闇の妖精が
ここが故郷の
一つというかのように
聞き止めた印であったのかもしれない
不思議がって
再生速度を落として聞いてもらう

今から聞いてもらう
嘘でもいいからあったほうぎいあ

長いところで
今から聞いてもらう

ほんとにもう分からなくてねえ
肉声の速度だとだめ
土方も、気づかなかった秘密が
スローの再生にある

一升瓶おどろき
あれは消えないよ

そうしたキブツ
みにそうたキブツ

あえていうと
霊的に現れる

わたしはつづりつつ
長年
親しんだ

イェーツを
思い出して

一升瓶
ワインから少し
微妙に
光っている
そこに精霊がいる
イェーツは見た

元旦以来
病める舞姫にもどってこようと
類稀な
言語の噴火が、舞姫

唐十郎の逝去にふれ
土方に触れたい
対話に触れると

言語の
★揮発性の火が違う

私たちの
火の秘密の一端に
影や
煙や
死んだものに殴られた姿勢にも
壊れるなしや
似ている
タグされた力であったのかもしれないない

この箇所を
わたしも
隠された力であったのかもしれない
これから

初めての表れ
別のとは
得難いものでもあった あきぞらのもとでは
人は嘘をつかなくなる
乳母車も、
いつのまにか
霜柱

柱時計
家のぴあった
空気

空の赤とんぼ わたしのポケット
にわとりのすがたをのぞきこむ
かおがやぶれたほうずきすいのようひなっておんなのこがはなればなれに
何か自然の始まりから定められた姿が見える
わたしが
秋空で池取ったものは
うっすらとした力を持っている

すごいねえ

ねえ

澁澤を、体内に入れた
僕は違う
土方の中きら出てきているもの
ほうずきすいのような?
土方は
そういう時
土方宇宙に近い
ひゃるつとせず
ぽーんさえも

なんとかなんとか
かいてる

疲れちゃったね 笑
お父さん
お母さん
火をつけて
髪の毛燃やす

死に際
警察
義太夫

唸っていた

家の中に

せんべいの
じょなつとした
じなっとして

ジョナらっとした

せんべい

音の飛躍

正確なジャンプに驚いて
我々が
知らない

アジアの大音楽がある

田中角栄
なんかでしってる極限的な表現が
土方さんにはある

なんかとっても
喜んで書いている部分にぶつかった

ぼーというおと
かむどのようにみえてきてきる
あまりにわたしの耳元で聞こえる咳が

聴覚が温もりに化けたような
音になる
まるっきり聞こえない音に
化けてしまう

耳の中に
急にゴーと
音を立てたのかもしれない

到底思えないな

こんなすごいことを
かけるものではない
聴覚にうつってみたり

ちりやほこり
驚くべき箇所
これを書く
土方自身も

次のように書いた
ちりぼこりが舞い上がっていた

かすかな

チリボコリの仲間では
届かない
寝ているくせに
起きている

耳をつけた
誇りのなかに

三年のけばだく

いかに素晴らしいか

いかに懐かしいか
チリ言葉の中に
わずるっているものの
一陣も
どこかで嬉しいは忘れて
素晴らしい
なつかしかった

異例のこと

病める舞姫は
奇跡のしんどくを
ホコリの耳と出会うことで

叶いました

ああ

大変だ

とうとうみなさんにも
3回こういう風にやって
病める舞姫を

ここまで読めた
ことを
土方への手紙を読む

あなたの生前
疎遠
熱狂には
離れて
先生の存在に
威力を覚えていて

納得
確信に
50年をついやした

天才特有のしょうきが
あった
50年

婆さん
安い虹
老体もさよさよゆれて
優しい猜疑心をもって
フラフラした兵隊
片肺の飛行機の真似

はっかのにおい
ばあさんの
駄菓子屋と

また座の間を
ケム様に、
一月元旦

舞踏言語

舞姫の
ここを引用したのは
197‥年代
なぜ
下北半島の
おばあさんの
ひぞもと

あなたからのカゼニア出たことに
実痛み
暗黒舞踏の要請はアジアの本当の姿
大野一雄こそ
きゅうほくの立ち姿

慶應の講話で
驚嘆する
ネノネの
ネノネの
確かな一コマ

家の中で
せんべい
食べない

とたんが
せんべい食べて

中原中也くらい

じなっとして
じょならっとした
さとおけさのような

救いようなところに、からだをもたれきけせせるる

じな
ジョナらっと
佐渡おけさ

あなたの父親は

女義太夫の

ジョナらっとして
ひやくをさへると

不在の大音楽
ネノネ
ネノネ

千年
私たちはとうとうたどりついた
わたしは
おそらく
亀山さんと
せいきしてくるように

読むことのできた
病める舞姫の

核心の一端は掴んだ

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