見出し画像

現実逃避的読書のススメ。その三

スパイになる方法、教えます。

3回目の今日はヴォルフガング.ロッツ著
【スパイのためのハンドブック】早川書房
を紹介します。

画像1

いいですねえ、スパイ。ワクワクします。
とくに男性の方には堪らないんじゃないですか。
007のボンドや、ミッションインポッシブルのハントを思い浮かべてしまいます。

この本では世界最強とも言われるイスラエルの諜報機関『モサド』の敏腕諜報員であった著者の経験から本物のスパイの仕事をうかがい知ることができます。

もくじ
①シャンペン.スパイ
②あなたのスパイ能力は?
③どうしたらスパイになれる?
④スパイと異性
まとめ

シャンペン.スパイ

みなさんも一度は聞いたことがあるであろうCIAやKGB。それらとならび世界最強ともいわれる、イスラエルの諜報機関モサドのトップエージェントだった、"シャンペン.スパイ"こと

ヴォルフガング.ロッツ
最初に彼の経歴を紹介しましょう。

ロッツは1921年ドイツに生まれベルリンに育った。親がユダヤ人であったため、ヒトラーが権力を握ったあと、当時イギリス統治下だったパレスチナに移住。16歳で騎馬警官隊に入隊し、第二次大戦勃発とともにイギリス軍に編入、7年間軍務につく。

戦後イスラエルが建国されるとイスラエル軍に志願し、職業軍人となった。1959年に諜報機関に入り、エジプト駐在工作員となり、馬の飼育を生業とする金持ちドイツ人というふれこみでエジプト社交界にくいこみ、豪奢な生活ぶりと金離れのよさで、カイロ上流社会の名士として定着した。

彼は、エジプト軍首脳や政界の大物たちエジプト政府に雇われたロケット技術たちなどに近づき、イスラエルの命運を左右するような情報を大量に入手したロッツは中東工作に従事した秘密情報部員としては空前絶後の成功を収めたといわれる。

その後、エジプト政府により逮捕監禁されるがエジプト人捕虜5000人と引き換えに釈放された。
(訳者あとがきから抜粋)

なぜシャンペンスパイと呼ばれたのか?それは金持ちドイツ人に化けてエジプトに潜入した彼が、予算を湯水のように使うことから仲間たちからつけられたあだ名だそうです。

本書はロッツがスパイの心得を事細かに教えてくれるハウツー本(笑)となってますが、いくつかかいつまんで紹介していきます。

画像2

あなたのスパイ能力は?

本書では10の質問にみなさんが、それぞれ答えて採点し、適正能力を評価していますが、長くなるので興味のある方は本書を読んでいただくとして、ここではボクなりの解釈でスパイに向いてるひとの特徴を書いてみますね。

①25歳から35歳までの若者である
②社交的な人
③嘘をつく能力がある人
④自分の本性や理念に背くことができる人
⑤自発性と知性に富む人
⑥人の信頼をかち得るコツを知る人
⑦想像力にとみ、危険な目にあっても立ち向かい、絶望的な状況でもあきらめない人

いかにもスパイに必要な条件ですよね。これほどの能力を持った人なんかそうそういませんよ。
こういう人間が世界各国で暗躍しているんですね。

どうしたらスパイになれる?

ボクたちが就職しようと考えたときに、最初にすることは?希望の会社に履歴書を送り、面接の約束をとりつけるってところでしょうか。

しかし、国防省に書類を送ったところで諜報機関に届く可能性は万に一つもないでしょう。
著者(以下ロッツ)の場合はスカウトだったといいます。

1958年、イスラエル正規軍の将校だった彼のもとに2人の男が訪れました。片方は痩せた長身の鼻が特徴的な男、もう1人はメタルフレームのメガネをかけた男。彼らは
『少佐、我が組織のために2、3年外国生活を考慮してもらえませんか?』ときりだしてきたといいます。

当時のロッツの年齢は37歳。けして若くはなく戦闘任務には歳をとりすぎていた彼は、引退も考え始めていたようですが、すべてを調べあげた諜報機関はきっとそのタイミングを見計らって勧誘に来たのだとロッツはいっています。

こちらから諜報機関に接触することはほぼ無理でしょうがロッツによると、情報部の人材の消耗が激しく、諜報活動をはじめて数週間や数ヶ月で吹き飛ばされる(殺害、逮捕その他のやり方で排除される)ので、世界的に人材不足だそう。
そのうち、あなたのもとにスカウトマンがくる日が...。

スパイと異性

彼らは任務につく前に、異性との情事に巻き込まれることの危険性をなんども繰り返し教えられるそう。恋に落ちたがために命や手足を失った諜報部員たちの例はたくさんあります。

気をつけなければならないのは、ハニートラップとして敵が送り込んだ女(男)スパイだけではなく、
本当に愛するひとが何気なく言ったひとことから、すべてが台無しになることも多いということ。

とはいえ、絶えず緊張の中で生きる諜報部員たちこそ、心を許せる相手を必要としているそう。なんてツライ仕事なんでしょうか。

まとめ

池上彰さんは著者のなかで、現代のスパイの諜報活動の99%は公開されている情報の中から得るものだと言っています。
得られた情報からその国の動向を読むこと、つまりインテリジェンスと呼ばれるものが最近の主流なのだそうです。

この本は、1960年代の時代の裏側で暗躍したスパイの姿がユーモアを交えて記されている貴重な内容です。まるで映画を見ているような気分で読むことができる一冊となってます。気になる方は是非手にとってみてくださいね。

最後まで読んでくださってありがとうございました。次回もお楽しみに。






この記事が参加している募集

#読書感想文

192,504件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?