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金沢‘冬の廻り舞台’のお話 

冬はとっくに終わってしまっているけど「金沢冬の廻り舞台」について2022年冬の備忘録も兼ねて。

天候不順の暗い季節、と思われがちな金沢の冬ですが(ある意味そうですが)実は細かく激しく空模様が移り変わるダイナミックな季節でもあります。

実は日照時間もそこそこ(大雑把に東京の9割です)あるのに雨も多い金沢では晴れたり降ったりがデフォルトの天候。晩秋からはそれに拍車がかかってしばしば廻り舞台の様に目まぐるしく移り変わります。日本的(多分世界的にも)珍しいパワフルな冬の雷が空じゅうに鳴り響きアラレが降り注ぎ・・・お祭り騒ぎの様です(個人の感想です)

若い頃シアターコクーンで舞台がグルグル廻る歌舞伎を観て「あ!これって金沢の冬に似てる」と気が付いてから(その時の「腑に落ちた」感覚、今でもよく覚えています)「旧市街全体がグルグル廻って劇的に転換していく」イメージで金沢の冬を楽しんで(観劇して)います。
※もちろん休演日もそこそこあるし、上演も予告ナシに突然始まる舞台、なのですが。

空全体を使う大掛かりで派手な仕掛けの元、舞台(旧市街)がグルグル廻っています(^_^;)

そして金沢ではあっという間に雪が積り(多くの場合降りながら溶け始めます)数日で跡形もなくなり(零下まで下がるのは稀なので)を繰り返します(一冬で数回から多くて10回くらい)
なので分単位で変わる‘廻り舞台’に加えて舞台の色も数日でガラッと変わる・・・冬は一番風景の変化が激しい季節でもあるのです。

地元北國新聞の連載「美し金澤」で僕の「廻り舞台」バナシを記者さんが纏めて下さいました&ついでに僕の写真イメージでもうふたコマ「絵になる、詩になる」オハナシが続きました。

雪に覆われた日は街中が‘レフ板’(撮影で使う‘光を反射させる板’)になって光を空気中に拡散させるので日中は白く輝き、夕暮れは空の色を何処までも反映して‘ならでは’の淡く美しい夕暮れになります。

夜の帳がゆっくりゆっくり降りてゆく雪の夕暮れ。2022年1月14日17時17分撮影

で・・・ようやく本題「金沢冬の廻り舞台」今期ラストの‘一盛り上がり’

冬もそろそろ終わりのはず、のこの日(2月20日)兼六園で自分がナビゲートするイベントを終え打ち上げも兼ねてポール・ボキューズさんで祝杯を上げていたら‘廻り舞台’が始まってにわかに‘モノクロームの世界’に。

交通標識以外は全てモノクロームの世界

ボキューズお向かい金沢城公園の森を根城にしているカラス達も突然の吹雪に大騒ぎ

ときどき絵の様な光景も(こんな日本画ありそうだ)

風景がどんどん変わっていく様子があまりに壮観で目が離せず(結局記録的な降雪になった)暗くなる前まで眺めていました。

金沢城城壁をバックに。こちらもなかなか絵になる風景でした。

翌日はお約束どおり穏やかな快晴。昨日とは空、光の色、光線の拡散具合(環境音の具合も香りも頬をなでる風も)・・何もかもが違う同じ場所。

このお二人が互いに撮った写真と三点セットで並べたら面白そう
西陽に淡く浮かぶ21世紀美術館。今日はレフ板ありバージョン。影が明るい
金沢の空、空気の色を刻々と反映する‘現在’美術館でもあり。↓そんな気持ちで作ったスライドムービー。曲は全国を巡回した『没後40年 レオナール・フジタ』展のために作った即興


外周をクルクル歩きながら刻々と変化するバランスを楽しんで時々写真を撮る、のが楽しい。
この庇の浮遊感、好きです。

単に天候不順の暗い季節ではないことがボンヤリと
お分かりになったかと思います。
鑑賞する心構え、さえあれば金沢の冬は「廻り舞台」
変化に富んだとてもダイナミックな季節なのです。
お仕舞い
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