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ASO(アプリストア最適化)対策は一度実施したら終わり? ~継続的な対策の重要性とは?~

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Markererの稲田宙人(@HirotoInada)です!

皆様、ASO(アプリストア最適化)対策は定常的に実施していますでしょうか?

半年に1回の大きな機能変更があった際に変更する方や、リリースのタイミングの初期設定内容から変えていない方や、ASO代理店の契約が終わったら最後の提案内容のまま変更していない方がほとんどじゃないでしょうか?

日本のアプリ業界では、ASOはあくまでも一回対策すれば終わりというイメージがついていますが、実際は広告と同じように運用型の施策であることを認識する必要があります。

本noteでは、何故ASO(アプリストア最適化)は継続的に運用・対策していかなければいけないのか、その理由を、対策頻度が落ちた場合の結果を交えながら、詳しく解説していきます。

1. アプリ市場の概観

まず、そもそも直近のアプリ市場においてASOの必要性が増加しているのかに関して触れます。
ここでは、以下の2つの観点からその必要性に関して考察します。

①:ユーザーのアプリ利用統計
②:プラットフォームの規制強化

①:ユーザーのアプリ利用統計
まずは、ユーザーのアプリ利用統計からです。
最初に引用するデータは、ユーザーあたりのアプリ保持数と利用数の推移データです。
AppAnnieが発表した「State of Mobile 2020」によると、世界全体における2019年のアプリDL数は、前年比で45%増加しました。市場におけるアプリの流通数とDL数は大きな上昇トレンドにあります。
下図はユーザーあたりのアプリの保持数と利用数・利用率の推移を表したものです。

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Source:アプリでも刈り取り偏重は終焉へ。ユーザー獲得戦略は「エンゲージメントドリブン」に進化する

グラフだけではわかりにくいですが、2018年1月→2019年12月アプリの保持数・利用数の変化は、以下のようになっています。

アプリ保持数: 22%増
アプリ利用数: 42.5%増

アプリ利用数の伸びは上述したアプリDL数のそれとほぼ一致している一方、アプリ保持数はそこまで伸びていません。ここから、ユーザーはアプリを次々とダウンロードするものの、それ以上のペースで不要なアプリを削除していると言えます。

これに、日あたりスマホ利用時間 の推移も加えて分析してみます。

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Source:AppAnnie「State of Mobile 2020」

目視になりますが、日本における2018年から2019年のアプリ利用時間の増加は、概ね8%程度。アプリ利用数の増加と比べると、かなり小さくなっています。このことから、1アプリにかける時間は大きく減少していることが分かります。

つまり、もうすでにユーザーの総アプリ利用時間は頭打ちになっており、その限られたパイのなかで、より多くのアプリがその可処分時間を奪い合っているという状況が見て取れます。

ここから、継続的に新たなユーザーに見つけてもらい続ける重要性が増加しているのが伺え、その点からASOは今後より重要になっていくのが分かるでしょう。

②:プラットフォームの規制強化
IDFA(Identifier for Advertisers)はデバイスごとにユニークに振り分けられ、広告効果の計測の他に、アプリを利用しなくなってしまったユーザーに復帰を促すアプリリエンゲージメント広告にも使用される重要なデータです。

しかし、このIDFAを取得するにあたりiOS14以降は許諾ダイアログを表示することを義務付ける変更が先日のWWDC2020で発表されアプリ業界に激震を与えました。

これは、アプリを使わなくなってしまったユーザーへ復帰を促す手段の1つである、「リエンゲージメント広告」のリーチ可能ユーザー数が激減することを意味しています。

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Source:The untold story about zeroed IDFAs on iOS 14 devices

上図は、実際にiOS14リリース以後にIDFA取得拒否端末の割合がどのように変化しているかを示したデータです。
図を見ると、9月中旬のiOS14リリース後に、IDFA取得拒否デバイスは急増しているのが見て取れます。
Appsflyerによると、iOS14搭載端末に絞ると既に実に45%のユーザーがIDFA取得拒否をしており、この割合は来年1月のIDFA取得ダイアログ義務化施行により更に増加すると考えられます。

IDFA取得が困難になるこれからの時代、キーワードベースで親和性の高いオーディエンスの獲得ができるASOの重要性はますます向上するでしょう。

2. プラットフォーム仕様の変更

さて、第1章ではマクロの観点からASOの重要性が高まっている話をしました。
続く、第2章・第3章では継続的にASOを実施するべき理由を、それぞれ、プラットフォームの仕様変更・検索トレンドの変化の2つに分けて解説します。

先日リリースされたiOS14ではストアの検索機能に大きな変化が適用されました。ここでは、以下2つの変更点に関して取り上げます。

変更点①:Featured Collectionが検索結果に表示されるように
変更点②:表記揺れの自動補正機能

変更点①:Featured Collectionが検索結果に表示されるように
旧来はキーワードの検索結果に表示されていたFeatured Cardはバナー画像のみで、実際にダウンロードするには画像をタップして遷移するステップが必要でした。

iOS14では、Featured Cardに対応したキーワードの検索結果では、Featured Collectionとしてアプリアイコンが2つ表示されるようになっています。

つまり、キーワードの検索結果では1位でも、Featured Collectionが表示される場合は、実際のユーザーには3位のアプリとして認識されるということです。さらに、キーワードに対してAppleSearchAdsが入札されている場合は、なんとオーガニック1位の表示順位は実質4位にまで低下してしまいます…。

このFeatured Collectionが表示されるキーワードは継続的に変更されており、旧来の設定のままだと、大きくアプリの露出量が減少する恐れがあります。

変更点②:表記揺れの自動補正機能
ASOにおいて正規の表現だけでなく、表記揺れ(打ち間違え・ひらがな・カタカナ)の対策はトラフィック増加において非常に効果的な戦略です。

特に、ビッグタイトルの表記揺れはスモール・ミドルデベロッパーにとっては穴場的キーワードであり、いわゆるコバンザメ戦法としてASO施策の定石でした。

iOS14では、表記揺れで検索した場合でも自動的に正規表現の検索結果が表示されるようになっています。
一般的に正規表現よりも表記揺れの方が、検索されている量が少ない・対策しているデベロッパーが少ないという2つの点でトラフィック増加に有効でしたが、今回の自動補正機能の実装によりその戦略が破壊される恐れがあります。

現状、自動補正の対象はビッグタイトルのみ・且つ日本語の精度は低く・対応キーワードは少ないということで、影響としてはそこまで大きくはありません。
しかし、対策していた表記揺れキーワードが気づかぬうちに意図しない正規表現に自動補正されており、結果としてアプリの露出量が大きく低下する可能性があります。

このように、ストアの仕様は日々変化しており、その変化に合わせて継続的にASO対策を実施しないと、大きくDL数が低下する恐れがあるのです。

(直近の仕様変更が知りたい方は以下のnoteをご覧ください。)

3. 検索トレンドの変化

第2章では、ストアの仕様変更に伴う継続的なASO対策の重要性を記述しましたが、ユーザーの検索動向も忘れてはいけません。

以下の図はストア内での「旅行」「フードデリバリー」というキーワードの検索量の推移を表したものです。
緊急事態宣言が発令された4月末のタイミングで、「旅行」の検索量が大激減している一方で、「フードデリバリー」の検索量が急増しているのが見て取れます。
このように、ストアはユーザーの需要を生のまま写した市場になっており、この検索トレンドを把握して最適なタイミングで最適なキーワードを対策することにより、ユーザー獲得数増加に繋がる可能性があります。

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Source:Apple Search Adsより稲田算出・作成

また、ストアの検索アルゴリズムの変化も重要なトレンドです。
iOSAppStore・GooglePlayStore共に、不定期に検索アルゴリズムの変更・アップデートがされています。
以下の図は、ある漫画アプリの検索順位の推移とアルゴリズムの変動値の推移を示したものですが、アルゴリズムが大きく動いたタイミングで検索順位も大きく変動しているのが見て取れます。
アルゴリズムの変動は所与の要素が大きく対策の難易度は高いですが、こういった変動を継続的に検知し、数値の動向の原因を分解し、トレンドに合わせて最適なキーワードを対策するのは非常に重要です。

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Source:AppTweakより稲田算出・作成

社会情勢やイベントに合わせて検索のトレンドは刻一刻と変化しており、そのトレンドを無視した一回きりのASO対策はユーザー獲得において大きな機会損失に繋がり得る点をご認識頂ければと思います。

4. 検索順位・DL数の低下

では、実際に継続的にASO対策をしないと、検索順位やDL数にはどのようなインパクトがあるのでしょうか?

以下のグラフは、私がご支援させて頂いたあるアプリにおける、主要なキーワードの検索順位とオーガニックDL数の推移を表したものです。グラフ内の縦赤棒はアップデートのタイミングを表しています。

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Source:AppStoreConnectより稲田作成

グラフを見ると、元々3位周辺に位置していたキーワードの検索順位が、8月後半から大きく落ち込んでおり、その期間は長期間に渡って一回もアップデートがされていなかった事が分かります。その検索順位の推移に合わせるようにオーガニックのDL数も大きく低下しているのが読み取れますね。
その後、9月末に久々にアップデートをしたタイミングからは、徐々にですが検索順位もDL数も回復傾向にあるのが分かります。

上記は、あくまでも1アプリの推移になりますが、弊社でご支援させて頂いたアプリでも同じデータを算出してみたのが以下です。

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カテゴリによってその程度の差はあれど、10位以内に表示されるキーワードの数はご支援終了時と比較して54%まで減少、DL数に関しても56%と大きく減少しています。

このように、継続的にASO対策を実施しないと、大きくDL数は減少してしまうのです。
ASOは一回切りではなく、継続的に運用をするものだとお分かり頂けましたでしょうか?

5. 継続的なASO対策のサイクル

前章まででASOを継続的に実施するべきということが理解頂けたかと思います。
では、具体的にどのようなサイクルでどのくらいの頻度でASOは実施すればいいのでしょうか?

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Source:3minutes ASO :ASOのキーワード最適化とは?

上記はASOを実施する際の対策サイクルを表したものです。
対策サイクルの詳細は拙著「ASOのキーワード最適化とは?」に譲りますが、理想的にはこのサイクルを2週間に1回・最低でも1ヶ月に1回は回すのが推奨されます。
上記よりも低い頻度での対策だと、検索順位・DL数が低下する可能性があるので要注意です。

■ 最後に
今回は、ASOを継続的に実施するべき理由を詳しく解説してきました。
広告と同じようにASOも継続的に運用・対策をしていくべきという点をご認識頂けたなら幸いです。

ただ、ご覧頂くと分かる通り、定常的にASO対策を実施するのには複数のステップが存在し、ASO関係の最新情報のキャッチアップも大変です。社内にASOに特化したナレッジとリソースがないと難しいですが、ASO専任のご担当者がいる事業者さんは殆どいないでしょう。

そういったナレッジやリソースでお困りの際は、是非お声がけいただければと思います。全力でご支援させて頂きます。


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