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【完全保存版】 ASOの正しい成果測定の方法〜AppleSearchAds・GoogleAdsの 数値をどのように切り分けるか〜

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoInada)です!

費用をかけない長期的な獲得戦略手法の一つとしてASO(アプリストア最適化)の重要性が高まっている昨今、多くのUA担当のマーケターを悩ませているのが、広告数値を除いた純粋なオーガニック効果の算出方法です。

特にAndroidにおいては、2020年11月2日以降、GooglePlayConsole上のオーガニック数値にGoogle広告(UAC)の数値が計上される仕様に変更されることで更に大きな悩みの種になることが予想されます。

今回は、iOS・AndroidそれぞれのOSでの広告数値を除いた純粋なオーガニック成果の算出方法を解説します。

※注意事項
本noteで解説する方法は、Apple・Google・各MMP非公認であり、海外の有識者との協議による結論です。
各計測ツールにより指標定義・計上定義は異なる為、完璧なオーガニックのみの数値は算出できない点はご認識ください。

1. iOS - Apple Search Adsを取り除く

iOSの純粋なオーガニック数値を算出するにあたって障壁になるのがAppleSearchAdsの数値です。
まずは、iOSの数値測定で使用するツールを比較しましょう。

■ ツールごとの指標定義
iOSの数値測定では一般的に以下の3つのツールを使用するケースが多いです。

①App Store Connect
・Appleが提供するデベロッパーコンソール
・「Appアナリティクス」で各ソース別のIMP・PV・DL数などの獲得データの他に、AU数などの利用データも取得が可能
・詳細はこちらのnoteをご参照ください

②Apple Search Ads
・Appleが提供するストア検索連動広告
・管理画面上で各種指標が確認可能

③MMP
・モバイル計測ツールでAdjust・Appsflyer・Kochavaなどが有名
・どのソースからユーザーがいくら課金したか・どのくらい継続して使用しているかを計測可能

このうち①・②は共にAppleが公式に提供するツールですが、同じ指標名でもその計上定義は大きく異なるので理解するのが重要です。

スクリーンショット 2020-10-30 11.44.57

スクリーンショット 2020-10-30 11.45.17

例えば、両ツールに「インストール数」は存在しますが、その計上定義は異なる為、AppStoreConnectのインストール数からAppleSearchAdsのインストール数を除いても純粋なオーガニックインストール数にはなりません。

※MMPの指標定義に関しては各MMPによって計測方法が異なる為、割愛します。

■ オーガニック数値の計算方法
さて、それではどのようにオーガニックの数値を算出すればいいのでしょうか?ここでは、以下3指標の求め方を解説します。

①インプレッション数
②プロダクトページ閲覧数
③インストール数

①インプレッション数
まずはインプレッション数です。インプレッション数は以下の式で算出をします。

AppStoreConnect インプレッション数(ユニークユーザー)

結論としては、オーガニック単体のインプレッション数を算出することは不可能です。理由としては、AppStoreConnectの数値にAppleSearchAdsの数値が含まれてしまっており、AppleSearchAdsの数値を除くと無駄に二重に数値を引き算する可能性がある為です。インプレッション数に関しては、AppStoreConnectで取得できるインプレッション数(ユニークユーザー)をそのまま使用してください。

②プロダクトページ閲覧数
プロダクトページに関してもインプレッション数と同じく、オーガニック単体の数値を算出することは不可能である為、以下の式で算出をしてください。

AppStoreConnect プロダクトページ閲覧数(ユニークユーザー)

③インストール数
最後にインストール数の算出方法です。算出方法は以下2種類存在します。

1:AppleSearchAdsを正と見る場合
AppStoreConnect Appユニット数 - Apple Search Ads新規ダウンロード数
※ AppStoreConnect 「インストール数」 ではないです!

2:MMPを正と見る場合
AppStoreConnect Appユニット数 - MMPインストール数
※ AppStoreConnect 「インストール数」 ではないです!

普段正として見ているツールに合わせて、いずれかの方法を選択しましょう。

ただ、2つ目の方法では、AppleのLATONユーザー(追跡型広告を制限する設定をオンにしているユーザー)を考慮し切れていない点に注意が必要です。

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Source:AppleSearchAds

MMPでは、AppleSearchAds経由でインストールしたユーザーでも、LATON状態である場合は、「AppleSearchAds」経由ではなく、「オーガニック」のネットワークに計上される仕組みになっています。故に、LATONユーザーの割合の大小によって、AppleSearchAdsの管理画面の数値と大きく乖離が発生する可能性があります。

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Source:Limit Ad Tracking discrepancies with Apple Search Ads: How to make your data work

一般的にはLATON割合は20%程度と言われていますが、アプリカテゴリや利用ユーザー層によってその数値は大きく異なる点を認識する必要があります。

尚、どちらの方法でもAppStoreConnectの「インストール数」ではなく、「Appユニット数」を使用している点に注意してください。「Appユニット数」では、初めてのダウンロードの数値のみを計上している点から、ASOによるオーガニック成果として最適です。

2. Android - Google Ads(UAC)を取り除く

次に、Androidのオーガニック数値の算出方法からです。事態をややこしくしているのが、2020年11月2日以降GooglePlayConsoleの指標定義・計上定義の変更です。まずはそちらを簡単に解説します。

■ 指標定義・計上定義の変更
ご存知の方も多いかとは思いますが、GooglePlayConsoleは2020年11月2日をもって旧コンソールから新コンソールに完全移行し、指標定義・計上定義は大きく変更されます。オーガニック成果を測定する上で認識するべき変更点は以下2点です。

①「GooglePlayの検索」にストア内検索連動広告の数値が計上されるように
②GooglePlayConsole「獲得レポート」に再インストールも含まれるように

①「GooglePlayの検索」にストア内検索連動広告の数値が計上されるように
旧コンソールでは、GoogleAds(UAC)のストア内検索連動広告は、GooglePlayConsoleの「Google広告」として計上されており、オーガニック数値は「PlayStore(Organic)」の「検索」をそのまま使用することができました。

しかし、新コンソールでは以下のようにソースタイプが再編され、ストア内検索連動広告の数値は、GooglePlayの検索に統合される形となります。

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また、旧来「探索」に計上されていた数値が「GooglePlayの検索」に計上される変更点もあります。

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これにより、GooglePlayConsole単体では広告を除いた純粋なオーガニック数値を算出することができなくなりました

②GooglePlayConsole「獲得レポート」に再インストールも含まれるように
GooglePlayConsoleのインストール数の定義も変更が加えられています。新コンソールでは、インストール数の中に新規インストール・再インストール数が混在して算出されるようになりました。旧来と違い、獲得レポートにおいて「新規インストール」のみにフィルターを適用する必要がある点に注意です。

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以上の2点の変更点から旧来の方法では正確なオーガニック数値を算出できなくなっていることをまずはご認識ください。

Google公式の変更点のアナウンスは以下をご覧ください。

また、本noteでは触れませんが、その他にも細かい指標の定義が多く存在する為、以下のnoteを参考にご覧ください。

■ オーガニック数値の計算方法
iOSと同じくAndroidでの新しいオーガニック数値の算出方法を記載します。

オーガニック新規インストール数 = A - B

A:GooglePlayConsole GooglePlayの検索 インストール数 + GooglePlayConsole GooglePlayの探索 インストール数

B:GoogleAds Play Browse コンバージョン

少々ややこしいので、AとBそれぞれの算出方法を以下に記載します。

A:GooglePlayConsole GooglePlayの検索 インストール数 + GooglePlayConsole GooglePlayの探索 インストール数

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まずは、新GooglePlayConsoleにアクセスし、コンバージョン分析を表示します。上記のようにフィルターを設定することで、対象国の新規ユーザーのインストール数のみを、ソースタイプ別に表示することができます。(※現状10/30段階では数値のファイル出力機能は存在せず)

B:GoogleAds Play Browse コンバージョン
まずは、対象アプリのGoogleAdsの管理画面にアクセスし、新規レポートを以下の列・行構成で作成しましょう。

列:表示回数・クリック数・コンバージョン数
行:プレースメント(グループ)・プレースメントタイプ

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すると、上記のように各指標がどこで表示されたかのテーブルが完成するので、プレースメントタイプを「モバイルアプリケーション」でフィルタリングします。その後、プレースメント(グループ)を以下の名前で検索します。

mobileapp :: 10002-ca-app-google-play-browse

上記で絞り込んだ際に出てくる数値が、モバイル端末のGooglePlayStore内の検索連動広告経由で発生した数値になります。

以上で、AとBそれぞれの数値が取得できる為、計算式に従いAからBを除くことで、純粋なオーガニック数値を算出することができます。プロダクトページ閲覧数も同様の手法で算出が可能です。

■ 算出にあたっての注意事項
算出にあたっては以下3点の注意事項が存在します。

①:国別での出力は不可能
前出のGoogleAdsの管理画面上で「地域」ディメンションがグレーアウトされていることからも分かる通り、「プレースメント」ディメンションと同時に地域でセグメントを切ることができません。故に、多国籍にアプリ・広告を展開されている場合は上記の方法では正確な数値を算出することができません

②:GoogleAdsのPlay Browseの計上定義
一見、その名前からPlayBrowseには、GooglePlayConsoleにおける「GooglePlayの探索」が入っていないように感じられますが、実際は「GooglePlayの検索」「GooglePlayの探索」両方が含有した数値になっています。これは、以下の図からも説明がつきます。

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Source:New Google Play Console and ASO: How to Isolate Play Store Ad installs?

ご覧頂くと分かる通り、GoogleAdsの出稿を停止タイミングで、「GooglePlayの探索」の数値だけでなく、「GooglePlayの検索」の数値も急上昇しているのが分かります。ここから、PlayBrowseには「GooglePlayの検索」「GooglePlayの探索」両方が含まれていると考えられます。

余談ですが上記の図からは、純オーガニックで獲得できたはずのインストール数がUACによって食われているとも言えますね…AppleSearchAdsもそうですがこのカニバリゼーション問題はどうにかしてほしいです…

③:あくまでも推計値である
上記の方法で純オーガニック数値は算出可能ですが、iOSと同じくこちらも推計値ではある点に注意が必要です。理由としては、GooglePlayConsoleとGoogleAds管理画面でインストールの計上が異なる点があります。

GooglePlayStore:
・実際のインストールの発生日ベースで計上
・新規ユーザーでセグメントしている

GoogleAds:
・インプレッション・クリック数の発生日ベースで計上
・再ダウンロードも含むが分割できない

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以上が各OSにおけるストア内検索広告を除いたオーガニック数値の算出方法です。ツール横断で指標を計算する際には、上記のように計測定義・粒度を出来る限り合わせることが非常に重要です。

繰り返しになりますが、上記方法は各ツールの計測定義の相違によりあくまでも推計値に過ぎない点はご認識ください。

ただ、推計値に過ぎなくてもこのように広告数値を取り除く努力は重要です。というのも、特にオーガニック(検索)の数値は、CMや大量の広告出稿などにより間接的に大変動することもあり、平常時のオーガニックの実力を把握しておかないと、ASOの誤った評価をしてしまう可能性がある為です。(この「オーガニックアップリフト」という現象に関しては別記事で解説をしようと思います。)

今回ご紹介した方法が正しいUA戦略設計に繋がれば幸いです!
また、もっと高精度の方法などがあれば是非ご意見を頂ければと思います!

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