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#60 問責決議

保釈が決まる4日前、
市議会は、市長である私に対して"問責決議"を行いました。

その内容は、全員賛成ではなく、賛否が大きく割れました。
賛成する議員の多くは、新聞の断片的な情報を前提にしているようでした。裁判所に足を運んで、事実を確認しようとされる議員は限られていました。

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"藤井浩人市長の進退に係る真意について"
議会から届いた書面に対して私は、留置場の牢屋の中で、膝を突き、ノートを床に置きながら返信を書きました。(以下全文、長いので読み飛ばしていただいても構いません)

私は、6月24日に収賄事件で逮捕され、7月15日に起訴されましたが、疑われているような中森氏から現金を受け取った事実などは全くなく、潔白です。取調べに対しても、一貫して、現金の受領はなく、無実であることを訴えています。
そういう私を、多くの美濃加茂市民の方々が支持し、潔白を信じて、私の早期復職を望んでくださっていると聞いています。起訴後も、2万1000人の方々が署名をしてくださっていると弁護人から聞いており、私を信じ、市長への復職を待ってくれている多くの市民の方々に心からの感謝の気持でいっぱいです。
今回、森厚夫議長から、進退について率直な考えを聞きたいとのお尋ねを受けましたが、こういう状況ですので、私は、市長を辞任する意思は全くありません。一日も早く、市長職に復帰して、美濃加茂市民の方々のために働きたいと強く願っています。
弁護団の先生方が私を支え、私の保釈に向けて懸命の活動をしてくださっています。今日にも、2回目の保釈請求が行われるそうですし、近く検察官の証拠も開示され、8月中旬には公判前整理手続きが開かれて争点整理が行われる予定と聞いています。
私は、現金を受け取った事実が全くありませんので、当時、浄水プラントの導入に向けて市議として活動を行ったことなどについて、特に争うつもりはありません。弁護団の先生方には、裁判での争点を最小限に絞って、少しでも早く保釈が許可されることをめざす方針をとってもらっています。
長期にわたる市長不在のため、市民の方々や市役所職員の方々、そして市議会議員の方々には、大変な迷惑をおかけし、本当に申し訳なく思っていますが、今しばらく、私の市長復帰を待って頂くようお願い申し上げます。

引用したブログにも書かれている通り、当時の新聞記事には

"藤井市長が自ら辞職しない場合には、『8月19日開会の定例会に、辞職勧告決議案や問責決議案を提案できるよう調整したい』との考えを、報告会の場で他の市議たちに示したことを明らかにした"

と報じられていました。

保釈が決まる4日前の8月19日に"問責決議"が議決されました。この問責決議の提出には、各会派から質疑や反対意見があり、16名の議員のうち、2名は欠席、9名が賛成、5名が反対という結果になりました。

問責決議もんせきけつぎ
責任を問うことを内容として行われる決議のことです。市長の辞職や議会解散等の法的拘束力はありません。類似のものとして不信任決議ながありますが、不信任決議は市長を失職させることができ、その際、市長は反対に議会を解散させる議会解散権を持つことになります。

問責決議を一部抜粋すると、

行政の最高責任者である市長の不在がこれ以上長く続くことは、市政の停滞と混乱を来し、対外的な信頼をも損なうものであり、二元代表制の一翼を担う市議会として見過ごすことはできないものである。
よって、藤井市長は、このような事態を招いたことを厳粛に受けとめ、政治家としての責任を十分自覚し、深い反省を強く求めるものである。

という内容でした。

議決とは、議員による多数決の決定のこと。議員は市民の代表です。実際に市議を経験した立場としても、その議決は真摯に受け止めなければならないと考えていました。

しかし、本音としては、この世間的にも不可解な事件に対して共に戦っていただきたい気持ちでした。議会から、捜査機関や裁判所に対して"逮捕や起訴に至った経緯についての説明を求める"ような声明を出してもらえたら。そんな期待もありました。

特に驚いたことは、日頃から
"権力の乱用を許さない。何よりも人権尊重"
そんな考えを掲げている議員さんが、捜査機関や裁判所には矛先を向けず、私を一方的に批判することに大変な違和感を覚えました。

実際に、公判が開かれる裁判所に幾度も足を運んでくれた議員さんはわずか数名。裁判所では事件の詳細を事細かに聞けるにもかかわらず、新聞のたった数行を鵜呑みにした意見には辟易へきえきとしました。
また、メディアの報道がいかに断片的であるかを痛感しました。

残念な現実ではありましたが、これが現実。
私たちの一票の重さを感じました。

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