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僕が抱える心の闇

みなさんは自分の心の中に闇を抱えているなって感じる瞬間ってありますか。

僕は、自分自身の抱える闇に気づいたのは
小学生の頃だったかもしれません。

過去の自分のことを色々と考えていたときに
初めて消えてなくなりたいと思ったのって
小学生のときだったように思います。

僕は小学生のときは重度の小児喘息で
あまり学校に通えていませんでした。
体調がいいときは通学していましたが、早退することも多かったし
夜中に喘息の発作が起きることが多かったので、夜通し喘息の発作のため寝れずに朝方寝て
お昼の時間から学校に行くことも多かったです。

そんな僕には友達がいませんでした。
学校に行けば、みんな仲良くしてくれるけど
僕はなんとなくみんなから距離を感じていて
いつも心のどこで“寂しい”と思っていました。

僕の近所には所謂“いじめっこ”に該当する同級生男子二人組が住んでいました。
学校からの帰り道はその二人と家が同じ方向だったため必然的に一緒に帰らないといけなかったんですが

僕はいつもその二人から心ないことを言われていたように思います。

僕はステロイドを使用した喘息の治療を行なっていたため
その副作用で満月様顔貌、太りやすい体質で身体はふっくらしていました。

僕はもともとは華奢でガリガリだったのですが
治療がはじまってから僕の身体はどんどん変わっていきました。
僕の身体の変化は病気の副作用だと言うことは僕自身も理解していたし、自分の中ではどうしようもないことでしたが

そのいじめっ子二人組は、僕のその変わっていく様子をみて

“デブ”
“男なのにおっぱいがあってキモい”
“おとこおんな”
“巨乳”

と、そんな悪口を言われていました。
僕の家族や先生がいる前ではそんなことは言わなくて、僕たち三人でいるときだけ
その二人は僕にそんな酷いことを言ってくるのでした。

正直、辛かったし、僕はその二人が怖った。
二人はすごく短気だし、平気で野良犬や野良猫に石を投げてぶつけてゲラゲラ笑っているような
そんな彼らだったので僕は彼らに言い返すこともできなかったし
家が近所で通学路も一緒だったから
どうしても仲良くしないといけない人だと思い込んでいました。

僕はいつも辛くて泣きそうだったけど
泣きそうになるのをごまかすために笑っていました。
僕はいつでもニコニコしていました。
鈍感で何を言われても気にも留めないような
そんなふりをしていました。

そんなある日の学校帰り道
いつも通り、その二人と一緒に帰路についていました。
当時、遊戯王のトレーディングカードが流行っていてしばしば僕たちの話題の中心になる共通の関心ごとだったのですが

たまたまその二人が欲しがっていたレアカードを僕が持っていて、ついうっかりそのことをその二人に話してしまいました。


「いーなー、俺も欲しいのにズルい」
「それ、俺にちょうだい?くれるよな?」


しまった。


話すんじゃなかった。


どうしよう、でも絶対あげたくない。
だけどあげないって言ったら絶対二人は怒るだろうし…
でもせっかく買ってもらったカードなのに…
このカードをこの二人にあげたらきっとお父さんもお母さんは悲しむ…


僕の中で葛藤がありました。


学校から家までの通学路は小学生の足で約15分ほどの距離。

その間、僕は
「えーでも…これ買ってもらったやつだし」
「えー…んー…」

と下を向いてモジモジしながら
ハッキリしない態度で歩いていました。

その様子を見て二人は確実にイライラしていました。


「はあ?くれんとかまじ最悪やん」
「意味わからんのやけど、なんで俺にあげれんの?」


その帰り道はすごく長った。
いつもと同じ道のはずなのに
いつもよりとてつもなく長く感じた。

そして、家の近くまで来ても
二人は僕を帰してくれませんでした。

カードをあげると言うまで
解放する気はなかったんじゃないかなと思います。

誰もいない土手の脇で立ち尽くす僕。
苛立っている二人。

僕が何か悪いことをしてしまったのだろうか。
なんでこんなにしんどい思いをしなきゃいけないのだろうか。

だけど、僕は親から買ってもらったカードを
どうしてもこの二人にあげたくはありませんでした。


僕は意を決して二人に言いました。

「カードは…あげられない。ごめん。」

僕は二人に震える声で謝罪した。


「はあ、最悪」
「もういいわ。」



「俺ら、親友やと思っとったのにもうひろトは親友じゃないけんな」


そう吐き捨てると
二人は僕の目の前からいなくなりました。



親友…?


この二人は僕の親友だったの…?




僕の中で何かが、パキッと音を立てて折れてしまったような
そんな感覚がありました。

涙が出そうになりそうなのを堪えて家に帰りました。


家に帰って辞書で“親友”という言葉の意味を調べました。

僕はいつもみんなが羨ましかった。
学校で仲良くしているみんなが羨ましくて
僕もそうなりたいと思って
学校に行った日は頑張って友達の輪に入ろうともしていた

だけど、上手くいかないことが多かった。

僕が頑張って学校に通った結果
得られたのがあの二人の親友だったのかと思うと

僕は幼いながらに色んなことに絶望してしまいました。

そのときに僕は人生で初めて
“消えてなくなりたい”と思いました。

もうここにいたくないと
そう思ってしまいました。

そこから僕はずっと悩んでいたように思います。

“親友”ってなんなんだろう。

本当にそんな人いるのか。
そんな人と出会えるのか。


急にふと、自分の子ども時代のことを考えることがあって
そういえばそんなこともあったなと思い起こしながら過去の出来事を整理したくて書き走りました。

みなさんは、子どもの時にこんなことに悩んだ経験ってありました?
子どもってよくも悪くも素直だから、平気で酷いことが言えちゃったりもするんですよね。

子どものときの僕は、うまく周りと調子を合わせたりすることや、自己主張することがとても苦手でした。

もう25年も前の出来事ですけど、今でもその時のことって割と鮮明に思い出せちゃうんですよね。
それだけ僕にとっては印象深い出来事だったのだと思うし、僕の心の奥底で深く傷となって残っているのだと思います。

こう考えると心の傷ってずっと消せないんだなとも思います。
きっと僕に酷いことを言っていた二人組のいじめっ子は僕に言った言葉なんて何一つ覚えてないんじゃないかなって思います。

だけど僕は、そこで傷ついた経験があるから
人に優しくできるんだと思うし
人の傷みには敏感でいられるんだと思うんですよね。

僕はその二人のことを恨んでもいないし
結果的にその経験も自分のプラスになっていると思うから、今更咎めたいとも思わないけど

だけど言葉って心に残るんですよね。

言葉は消せないんですよね。

そのことを改めて僕は、僕自身に言い聞かせて
僕は僕と一緒にいてくれている大事な人たちには
嬉しい言葉をたくさん選んでいけるようにしていきたいと、そう思うのです。

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