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きっと成功を掴む未来【第24話】

【登場人物】
主役:佐々木隼人(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:ジャパンファイナンス(金融会社)》

同級生:宮崎ひとみ(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:グローバル保険(保険会社)》

同級生:石原勇気(横須賀大学・4年生:社会学部)
《勤務先:日本開発不動産(不動産会社)》

同級生:木内早苗(横須賀大学・4年生:商学部)
《勤務先:アジアパシフィック証券(証券会社)》

【第24話】道しるべ

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前回、宮崎の「快気祝い」に参加をすることが出来なかった佐々木は同級生の石原に頼み込み改めて快気祝いを準備してもらうことになった。

佐々木は今日も朝から一生懸命に仕事と格闘するために生き生きとした姿で出社をしていた。

佐々木:
『須藤先輩・・おはようございます!』

須藤(先輩):
『朝から元気が良いな!・・空回りをするなよ!』

佐々木:
『任せて下さい! 仕事はきっちりと熟(こな)しますので!』

須藤(先輩):
『期待しているぞ! これからもっと忙しくなるからな!』

佐々木:
『何かあるんですか!?』

須藤(先輩):
『うちの会社もアウトソース事業を立ち上げるんだ!』

佐々木:
『アウトソース事業って何ですか!?』

須藤(先輩):
『うちのお客様を外部の会社に管理してもらうんだ! いわゆる業務委託ってやつだな!』

佐々木:
『アウトソース事業ってどういう事をするのですか!?』

須藤(先輩):
『サービサー会社と契約をして、債権を委託したら定期的に委託先へ出向き状況確認をすることが主な仕事かな!』

佐々木:
『なるほど!』

須藤(先輩):
『お前も、いつ声がかかっても良いように心の準備だけはしておいた方がいいぞ!』

佐々木:
『わかりました・・ありがとうございます』

佐々木は自身の成長につなげるためにも須藤先輩の言葉が心から離れなかった。

その後、佐々木は仕事に夢中になっているとあっという間に辺りは日も落ち帰宅する時間へと差し掛かっていた。

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~夕方~

外回りから帰ってきた同僚の金子が佐々木の元へとやって来た。

金子:
『佐々木君・・今日は会社にずっといたの!?』

佐々木:
『お帰り・・金子! 今日は新たな企画書を作成していたんだ!』

金子:
『この前、話をしていた「カイロプラクティック」のお客様の企画書!?』

佐々木:
『そうなんだ! ここでもITを使ったご提案が出来るのではないかと思って!』

金子:
『私にもいろいろと教えてほしいわ!・・今度また相談させてね!』

佐々木:
『了~解!』

金子:
『佐々木君! 今晩、都合が悪くなければ食事でもしない!?』

佐々木:
『ゴメン!、今日は疲れたから帰るよ!』

金子:
『わかったわ! 私の事をいろいろと励ましてくれて感謝しているの!』

佐々木:
『金子が元気でいてくれると俺も嬉しくなるからな!』

金子:
『今度、お礼をさせてね!』

佐々木:
『体調だけ崩さないようにしてくれれば十分だよ!』

金子:
『ありがとう!・・じゃあ!今日は帰るね』

金子は佐々木とのやり取りを終えると身支度を整え会社をあとにした。

そして佐々木もまた金子の後を追うように佐々木も職場をあとにすると、1階の会社ロビーに着いた佐々木の元に一本の電話がかかってきた。

佐々木の携帯から呼び出し音が響いたため、佐々木は携帯を手に取ると同級生の石原からの電話だった。

佐々木:
『もしもし~!』

石原:
『佐々木~! 今、大丈夫か!?』

佐々木:
『快気祝いの件か!?』

石原:
『木内に相談した結果、宮崎の了解が取れたよ!』

佐々木:
『本当か!? 石原・・ありがとう!』

石原:
『店はこの前の所で決まったよ! ちゃんと来いよな!』

佐々木:
『わっ、 わかったよ!』

石原:
『お前、今度、同じ事をしたら殴るからな!』

佐々木:
『わかったよ!・・ありがとう、石原!』

石原:
『今度の日曜日に前回と同じ時間に宮崎を迎えに行ってくれよな!』

佐々木:
『わかった・・そして宮崎を店まで連れて行けば良いんだな!』

石原:
『じゃあな! ガチャ・・』

石原は一方的に佐々木に要件を伝え電話を切ってしまった。

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~次の日曜日~

一週間の仕事を終え、宮崎の「励ます会」の朝を迎えた佐々木は妙に心がソワソワとしていた。

佐々木は宮崎へ渡すプレゼントを探しに街へと繰り出した。
一人横浜の元町に着いた佐々木はあたりをキョロキョロとしながら歩いていると一軒の宝石店の前で足が止まった。

佐々木は店のウインドーに飾ってあった「結婚指輪」を眺めながら未だ相手の決まらない空想の相手との想いを妄想していた。

我に戻った佐々木は再び街を歩いているとパンの焼ける美味しそうな匂いが漂ってきた。

佐々木は朝から何も口にしていないためお腹が減っていたことに気づかされた。

すると佐々木は何かに引き寄せられるかのようにパン屋へと導かれた。

パン屋店員:
『いらっしゃいませ!』

佐々木は店内を物色すると美味しそうな香りのするパンの前で足を止めた。
そこには出来立ての「アップルパイ」が並んでおり、佐々木はそのパンを6個トレーに乗せた。

トレーを持った佐々木はレジにいる店員に向かって言葉を発した。

佐々木:
『1個は直ぐ食べるので5個を袋に入れて下さい』

店員は1個入りの袋と5個入りの袋に分け佐々木へと手渡した。

パン屋店員
『ありがとうございました』

佐々木は店員の言葉に微笑みながら店の外へと出て行った。

しかしながら佐々木は行くあてがないまま街を彷徨っていると目の前にはフランス山が見えてきた。

佐々木はパン屋で購入した「アップルパイ」をカバンから取り出して、フランス山のベンチで食べ始めた。

甘酸っぱい味を噛みしめながら佐々木は今後の人生について模索をするが、そこには時より同僚の金子の姿がチラついてしまい、自身の胸の内がわからなくなってしまっていた。

~続く~









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