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きっと成功を掴む未来【第22話】

【登場人物】
主役:佐々木隼人(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:ジャパンファイナンス(金融会社)》

同級生:宮崎ひとみ(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:グローバル保険(保険会社)》

同級生:石原勇気(横須賀大学・4年生:社会学部)
《勤務先:日本開発不動産(不動産会社)》

同級生:木内早苗(横須賀大学・4年生:商学部)
《勤務先:アジアパシフィック証券(証券会社)》

【第22話】決断

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同級生の宮崎が過労のため佐々木を始めとする同級生たちは騒然となった。
しかしながら幸いにも宮崎は順調に回復の兆しを見せ無事退院をすることが出来たため同級生たちは「快気祝い」の準備に入った。

佐々木は週末の「快気祝い」を心待ちにしていたが、佐々木の元には思わぬ事態が転がり込んできた。

そして佐々木は一つの決断を下すこととなった。

佐々木はそのことを同級生の石原に電話で伝える事にした。

石原:
『り~ん・り~ん・・! こんな遅くに誰からだよ!?』

佐々木:
『もしもし・・石原か!?』

石原:
『どうした!? こんな遅くに!』

佐々木:
『実は明日の「快気祝い」に行けなくなった』

石原:
『はぁ!? お前何を言っているんだ!』

佐々木:
『ごめん! いろいろと事情が出来てしまって!』

石原:
『宮崎を始め・・みんな楽しみにしているんだぞ!』

佐々木:
『わかっているよ! どうしても行けないんだ!』

石原:
『理由を言えよ! このままだと許さないぞ!』

佐々木:
『実は会社の同僚が仕事で失敗をしてしまって、ひどく落ち込んでいるため傍にいてやりたいんだ!』

石原:
『何でお前が同僚の傍にいる必要があるんだょ!』

佐々木:
『都内には身寄りがいないため心配なんだ!』

石原:
『女なのか!? 心配って!』

佐々木:
『そ・そうだよ!』

石原:
『付き合っているのか!?』

佐々木:
『付き合ってはいないよ! ただの同僚だよ!』

石原:
『ただの同僚なら他の奴に任せておけばよいだろう!』

佐々木:
『頼むよ!今回はどうしても傍にいてやりたいんだ!』

石原:
『宮崎はどうするんだよ!』

佐々木:
『・・・』

石原:
『わかった!明日は俺と木内で何とかするわ!』

佐々木:
『石原・・ありがとう!』

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~翌日~

佐々木は、同僚の金子を鎌倉へ連れ出すことにした。
横浜駅で待ち合わせをしていた佐々木と金子は、電車の中で楽しい一時をすごしていた。

金子:
『佐々木君、今日はありがとう!』

佐々木:
『昨日のことは忘れて今日はたくさん楽しもうよ!』

金子:
『嬉しいわ! 関東にきて初めてのお出かけだからとっても楽しみだわ!』

佐々木:
『鎌倉はお寺が多いけど、海もとても綺麗なんだ!』

金子:
『私の実家の山形市は内陸だったから海には殆ど行かなかったわ!』

佐々木:
『そうなんだ! 今日はゆっくり散歩でもしようよ!』

金子は俯(うつむ)きながら佐々木の言葉を嬉しそうに噛みしめていた。

佐々木:
『だいぶ景色が変わってきたから鎌倉はもう少しで到着するよ』

車掌:
『間もなく鎌倉に到着します・・・』

佐々木と金子は鎌倉駅に降り立つと人の流れる改札へと向かった。

金子:
『ここが鎌倉なんだね!』

佐々木:
『すこし小町通りを歩こうか!』

金子:
『いろいろなお洒落なお店が並んでいるね!』

佐々木:
『美味しい食べ物が沢山あるから気に入ったものがあったら言ってね!』

金子:
『どれも素敵で迷っちゃうな!』

佐々木は機転を利かせ迷っている金子に提案をした。

佐々木:
『コロッケを買って食べながら歩こうか!?』

金子:
『賛成!』

金子との会話が終わるや否や佐々木は目の前にある肉屋に飛び込んで行った。

金子を置き去りの中、暫くすると佐々木が紙に包まれた2つの「コロッケ」を持って店から出てきた。

佐々木:
『買ってきたよ! 熱いから気をつけてね!』

金子:
『佐々木君、ありがとう!』

佐々木と金子はコロッケを頬張りながら街を歩きだした。
二人の会話も弾む中、佐々木は次の目的地を口にした。

佐々木:
『長谷寺に行こうよ!』

金子:
『長谷寺!?』

佐々木:
『大きな観音菩薩がいるんだ!』

金子:
『観音菩薩!?』

佐々木:
『金子の事を守ってもらえるように頼みに行こよ!』

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そして佐々木と金子は長谷寺へと足を運ぶことにした。

長谷寺へと到着した二人はすぐさま本堂へと向かった。

佐々木:
『ここに観音菩薩がいるから入ろう!』

佐々木と金子は薄暗い本堂の中へと入って行った。

すると金子はあまりにも大きな観音菩薩を目の当たりにして驚いた表情を浮かべていた。

佐々木:
『観音菩薩に守ってもらえるようにお願いをしよう!』

金子:
・・・

金子は無言で頷(うなず)くのが精一杯だった。

佐々木と金子は観音菩薩に手を合わせそれぞれの想いを唱え始めた。

佐々木はすぐさまお願いごとを終え本堂から立ち去るが、一方の金子はなかなか観音菩薩の前から離れることが出来なかった。

金子は『独りぼっちの寂しさ』からくる不安な気持ちを観音菩薩と向き合っていた。

ようやく本堂から出てきた金子に向かって、佐々木が声をかけた。

佐々木:
『どうだった!?』

金子:
『ありがとう!なんか心が落ち着いたわ!』

佐々木:
『そっか! それは良かった』

金子の表情はいかばかりか明るい笑顔へと変わっていた。

再び佐々木と金子は鎌倉の街を歩き始めると二人の眼下に「輝く海」が姿を現した。

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金子:
『あれって海じゃない!』

佐々木:
『綺麗な海だね!海辺まで歩こうよ!』

金子は俯(うつむ)き加減で佐々木の言葉に頷(うなず)いた。

二人は海へと向かって歩き出した。しばらくすると白い砂浜に漂う波の音が聞こえてきた。

佐々木:
『このコーヒーショップの角を曲がれば海が見えるはずだよ!』

佐々木と金子は心を躍らせながらコーヒーショップの角を曲がると水平線が見渡せるほどの広大な海が広がっていた。

佐々木:
『海に近づいてみようよ!』

金子:
『気をつけてね!』

佐々木は金子を砂浜に残し波際へと向かった。

佐々木:
『金子も来いよ!』

佐々木の一言に嬉しそうな表情を浮かべた金子も佐々木の傍へと近づいた。

すると突然、佐々木は金子の腕を引っ張り自分の方へと金子を寄せると金子はバランスを崩しながら佐々木に抱き着いた。

金子:
『波に濡れるよ!』

佐々木:
『大丈夫だよ!』

佐々木と金子は穏やかな海辺を恋人のようにじゃれ合っていた。
そして段々と日が傾き始め、辺りは夕暮れへと差し掛かろうとしていた。

金子:
『だいぶ暗くなってきたね!』

佐々木:
『時間の経つのは早いや!』

金子:
『また何処かに連れて行ってほしいな!』

佐々木:
『わかった! また一緒に出掛けよう!』

金子はとても幸せな笑みを浮かべていた。

~一方~

宮崎を迎えに行くことが出来なくなった佐々木の代わりに同級生の木内が宮崎を迎えに行くこととなった。

木内:
『ひとみ!体調はどう!?』

宮崎:
『早苗・・迎えに来てくれたんだ! ありがとう!』

木内:
『残念だけど佐々木君が来れなくなったのよ』

木内の一言に宮崎は動揺を隠せなかった。

宮崎:
『そうなんだ!佐々木君は来ないんだ!』

木内:
『残念だけど私たちでお祝いをするわ!』

宮崎:
『ありがとう!』

木内:
『予約をしている店には石原君が待っているから早く行きましょう!』

宮崎と木内は石原の待つお店へと向かった。

二人が石原の待つお店へと入ると大きな花束をもって石原が近づいてきた。

石原:
『宮崎・・退院おめでとう!』

大きな花束を受け取った宮崎の瞳からは涙がこぼれだしていた。

石原:
『ごめんな!佐々木からじゃなくて!』

宮崎:
『石原君・早苗、今日は本当にありがとう!』

木内:
『美味しい料理を食べて元気を出していこうよ!』

宮崎:
『今日は本当にありがとう!』

宮崎の心の中はとても複雑な思いのまま夜が更けていった。

~続く~





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