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「投資や経済の『それ先に言ってよ!』を全部書きました」高井宏章インタビュー by 高井浩章

以前インタビューしてくれた新聞記者の高井宏章さんが本を出した。

どう見ても『おカネの教室』のパクリだ。
けしからんので呼び出したのだが、話してみたら案外エエこと言うので、剽窃は不問に付してインタビュー記事にしてあげることにした。こちらのnoteのお返しだ。

「お仕事」のはずが本気に

--よくもこんな露骨なパクりのタイトルつけたね
高井宏章さん(以下、宏章)「いや、タイトル決めたのは編集者なんです。結果的に名前含めて公私混同感満載になってしまって…」

--え?
宏章「え?」

--ま、いいや。そもそも、なんでこんな本書いたの?
宏章「YouTubeで投資や経済の解説やってるので、連動した本を出そうと。最初はサラッと書くつもりが、結局、本気モードになっちゃいましたね」

--へー。なんで?
宏章「当たり前だけど、本って残りますよね。それと私、同じ話を2回するのが苦手で。同じテーマで本書かないだろうし、全部出しちゃうかと」

--じゃ、本の出来には満足してるのね
宏章「大満足。これから投資を始める人とか、ぶっちゃけ経済はよく分からないって人、読んで損はないと思いますよ」

--言うねぇ。読めば投資で手っ取り早く儲けられるの?
宏章「少なくとも、そんな愚劣な質問をしないようにはなるでしょうね」

--は?
宏章「失礼、失礼。でも、そういう発想自体が間違いなんですよ。サクッと儲けようとか『これであなたもFIRE!』とか、投資ってそういうもんじゃない。それと、お金の問題は人ぞれぞれ、ケースケースバイケースすぎて、具体的なノウハウや手法を示して『コレやっとけば大丈夫』みたいなことって言えないんですよ」

--「はじめに」でそんなこと書いてたね。
宏章「ここから読めます」

--埋めたリンクは?
宏章「踏まれない」

--わかってるじゃない。最後に目次と一緒に全部載せとくよ
宏章「ありがとうございます。ちょっとだけ引用しますね」

 唐突ですが、この本は「これだけで、投資や経済のことが分かる」という便利な本ではありません。
 その代わり、この本には「これだけは、まず、投資や経済を学ぶときに知っておいてほしい」と常日ごろ私が考えていることを盛り込みました。
 投資のノウハウや経済・産業のテーマについて、詳しく解説した本はたくさんあります。
 でも、投資商品や制度はわりとコロコロ変わりますし、経済やビジネスは刻々と進化する「生モノ」です。「これだけで」という1冊を読んでも、何年かしたら、また別の「これだけで」が必要になります。
 あわてて「これだけで」に飛びつくより、「これだけは」という勘所、経済や投資を見極める視点を培ってみてはどうでしょうか。
 投資の世界も経済もたえず移りゆくものですが、時代を超えて変わらない本質も確かにあります。
 その勘所を一度押さえてしまえば、「後」が楽になります。
 たとえば日々のニュースで新しい経済の動きに触れたとき。
 自分のお金の使い方や借り方を考えるとき。
 投資や就職など、経済を通じて社会とかかわるとき。
 ちゃんとした「軸」をもっていれば、「ああ、そういうことか」と自分の頭と心(実はこれが大事)でかみくだいて、飲み込むことができます。
『投資の教室』(高井宏章)より

--「これだけでOK」なんて本や動画、いっぱいあるじゃない
宏章「自分に合ったのに出会えればいいんでしょうけど、相性が悪いのにのめりこんだら高い授業料になりかねないような」

--しかし、この本、口座の開き方すら載ってないね。
宏章「そんなのググればいいんですよ。『つみたてNISA 口座開設』で検索!」

--それ言ったら、もう、この手の本、いらなくない?
宏章「ぶっちゃけ、投資やお金に関する基礎知識はほとんど『知るぽると』ってサイトに答えがあるんです。メチャクチャ充実してて正確」

--ほら。本いらないじゃない
宏章「でも、そうでもない。経済や投資に限らず、知らない分野のことを調べるとき、なにが困ります?」

「何がわからないかが、わからない」問題

--ん-。そもそも何から調べたらいいか分からない、ってことかねぇ
宏章「でしょ。『何が分からないか分からない』が最大の難所なんです。どこから手をつけたらいいか分からない。だから手が出ないし、すごく面倒くさく感じる。ようやく手を出せば、さらに分からないことが増えて、しかもそれが大事なことかも分からない。で、迷子になっちゃう」

--なるほど。迷子にならないように、って意味で第2章が「『投資の世界』の地図」なわけね。
「その前の第1章の『なぜ投資を学ぶのか』がコンパスなんです。正しい目的地を知って、そこに向かっていかないと、迷子になっちゃう

--目的地なんて、「金儲け」に決まってるじゃない
そう思い込むのが最初の、そして最大のつまづきポイントなんですよ。投資ってもっと大きな経済の流れに自分を位置付ける行為なんです。損得は大事だけど、それも本質じゃない。本質は『自分の人生のリスクをどうコントロールするか』だから」

--ちょっと小難しい話になってきたな
「この辺りは本を読んでもらわないと伝えきれないかな。えい!」

--図々しいな。じゃあさ、結局、この本には何を書いたの?
「私、この世界を新人時代から担当してて、山ほど本やリポート読んで、何千人ってプロと数千時間単位で話をしてるんです。で、長年やってると、いろんなテーマで『あ、そういうことか!』って瞬間があったんですよね」

--急に視界が晴れる、みたいな?
「そうそう。『ああ、株式投資って、こういうことか』とか『金利ってこういうモンなのか』とか、全体像がわかる視点や勘所。それが分かってから本やリポートを読むとスイスイ入ってくる。でも、いろいろ読んでて、『そういうことか!』が書いてある本はとても少ないのに気付いたんです」

「それ先に言ってよ!」を書いた

--ほほう
「あることはあるんですよ。唸るような深い本。でも、それはたいていレベルが高めなんですよ。コレが読めるなら、もう『わかってる人』だろうな、という本に本質が書いてある。たとえば『投資の教室』でもオススメに入れたハワード・マークスさんの『投資で一番大切な20の教え』とか」

--あれは名著だねぇ
「あれをみんなが読みこなせるなら、あれ一冊だけでいいわけです。でも、まず無理でしょ。だから、ってわけじゃないですけど、今回は四半世紀前の自分にこんな本があったら良かったのにという本、言い換えると『それ先に言ってよ!』という視点や切り口を詰め込んだ本にしました。同じ苦労をみんながする必要はないので」

--そこまで言うなら読んでやろうか。Kindleなら安いし
「あ、読むなら紙でどうぞ。QRコードから動画に飛べるようになってるので、スマホ片手に本を読んで、動画を見て、という感じがしゃぶりつくせる使い方ですね。私のYouTubeの動画、数が増えちゃって、どれから見たらいいか迷うだろうから、ガイドブックになるかなと」

--紙の方がちょっと高いじゃん
「それでも消費税込みで1500円切るんですよ。YouTubeはもちろん無料だし。この本と『知るぽると』があれば、微妙なYouTubeや巷で流行ってるけっこうなお値段のセミナーなんかを」

ズキューーーーーーン!!

--おわ!? なに!? え!? 高井さん? 高井さん!?
「うぅぅぅ……」

ーーーーーーーーーーーーー

インタビューは突然の銃声とともに中止を余儀なくされた。
幸い一命はとりとめたようだが、高井宏章さんは救急車に搬入される直前まで「増刷…私の好きな言葉です…」と執念をみせていた。
それにしても、彼は最後に何を言おうとしたのだろうか。
以下、高井宏章さんに敬意を表して『投資の教室』の「はじめに」全文と目次を掲載する。「はじめに」は前掲の続きから。

 少々自己紹介を。
 私は1995年に日経新聞に入社して以来、ほぼずっとニュースの現場で仕事をしてきました。一番長く見てきたのは、株式や債券などのマーケットとその周辺の証券会社や資産運用会社といった業界です。
 この間に、何千人(数えたことはありません)というプロの投資家やエコノミスト、アナリストに取材をしました。この本には、プロ中のプロたちが語ってくれた経験談や経済観、そしてそこから私自身が感じ、考えたエッセンスが詰まっています。

 マーケット関係のほかには、上場企業の取材と国際ニュースの担当をそれぞれ数年、担当した経験があります。2016年から2年間、ロンドンに駐在していたときには、英国のEU(欧州連合)離脱決定という歴史的瞬間に立ち会うことができました。ロンドンには3人の娘もつれて赴任しました。

 次にこの本の読み方・使い方について。
 それぞれの項目は独立して読めるコラムになっています。興味のあるテーマから拾い読みしてもらって構いませんが、もしお時間がゆるせば、最初から順に読んでみてください。特に、初めて投資や経済を学ぶ方には、「投資の世界」の全体像をつかむルート案内となるように構成してあります。

 「もっと深く知りたい」と思うテーマが見つかったら、ぜひ各項目にリンクを載せた動画コンテンツも活用してください。動画は日経電子版のマネーセクション 「マネーのまなび(通称まねび)」が展開するYouTubeチャンネル のものです。私が担当する「教えて高井さん」やマネー・エディター山本由里の「なるほどポンッ!」、ゲストを招いたライブトークのアーカイブなど、豊富なコンテンツがすべて無料でご覧になれます。
 その際は、チャンネル登録、高評価、よろしくお願いします(笑)。

「お金や経済の話は難しくて面倒くさい」
「投資なんてギャンブルでしょ?」
 そんな考え方が日本では根強いように思います。
 でも、それは誤解です。
 簡単だ、とはとても言えませんが、経済やマーケットは面白く、興味をもって向かい合えば、最低限の知識を身につけるのはさほど大変ではないはずです。
 そして、投資はギャンブルではありません。違いは本文の最初ですぐご説明します。
 自分自身のため、社会のためにも、個人が投資と向き合う時代が来ています。本書がそのナビゲーターになれれば、と願います。
 では、早速、「投資の世界」の地図を広げてみましょう。
『投資の教室』(高井宏章)より

目次1

目次2

目次3

えい!

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