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2020-8-6 日記. ベンチャー企業の研究者: 私が,やりたい研究を続けるために諦めたこと3

最後に諦めたことの中に, 1つの研究だけに集中することを諦めたということがある.

これは戦略の問題なので, 1つの研究だけをやることが妥当なのかどうかは検討する必要があるということだ.

バイオ系の研究だと, 1つの研究が有名雑誌に載ることへの執着が強い場合ある. これは, 研究者としての就職に影響することも知られているため, 1つの戦略としてはありうる. また, 早い時期にインパクトのある論文を執筆することでより注目されより多くのチャンスがもらえるというマタイ効果も知られており,  可能であればその効果も大きい.

一方で, 小さな論文を複数出版させることで, 持続的な研究を実施することによっても, 就職に影響を与えれる可能性もある. この結果に近いものとして, 知り合いの研究者も似たような経験をしている人が多い. 

数で攻めるか, 質で攻めるか. むしろ, 質で攻めつつ, どうやって量に転化するように考えるか、数で攻めつつ量に転化するように考えるか.

どちらの攻め方も知っていた方が良いと今では思っている.

特に私の場合は複数の分野にざっくり関心があったので, 1つの研究に執着しすぎることは得策ではなかった. また, インパクトのある研究を1つしても次に繋がるような研究に昇華できるようなテーマを自分の中に持てていなかったのも問題があった.

重要なのは, どうやったら複利で自分自身の価値を高めることができるかである. テーマがあり連続する研究は, 複利で価値を高めることができる. 一方で単発の研究自体は引用数を引き上げることができるかもしれないが,  将来的に新しい研究テーマを生まないことがある. 特にその研究テーマが, 担当指導教官の研究テーマなら尚更だ.

これからは仮説だが, 研究の価値を複利に高めるのはいくつか方法があると思っている.

1. 研究のテーマを作る. 

ざっくりとした方向性を決めることだ, 仮説が1つ検証されたところで尽きない問題がいくつもあるだろう. 例えば, 好奇心の研究も,   好奇心と性格にはどんな関係があるか,  好奇心とキャリアの成功は関係があるかなど, テーマは同じでもいくつもの実験が考えられる. 複数の分野に跨るため, 多くの分野の異なる研究者と協力して研究することができるため, 異なる研究者が持つ人脈を活用することが可能になる.

2. 問題を見つける.

誰も解けていない. 解けると思っていない課題を解くというのは重要な課題設定だと思っている. また, 一番最初にこの問題を指摘していれば, 他の研究者がその箇所を引用してくれるので最終的に自分の影響力も高まる. 例えば, 弊社の社長は, 「人工知識を作る」と2015年ぐらいから言い始めた. できるできないかは別として, 今ではその問題をとくきっかけを掴みかけているように見えるし,  多くの研究者たちを惹きつけている.

3. 他人に解いてもらう.

自分で問題を解きすぎないというのは重要な観点かもしれない. 共同研究者や自分が担当した学生に解いてもらうのは, 結果的に自分が利用できる時間を増やすことができるし, 業績も増える. さらに, 他人が似たいような問題を解いた場合には, あなたの研究はより引用されることになるだろう. 

この3つは重要な自分の指針になっている.

そのうちこれらをまとめておきたい.

前回の内容.

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