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2020-8-4 日記. ベンチャー企業の研究者: 私が,やりたい研究を続けるために諦めたこと2

https://note.com/hirohamada1989/n/n752c856f5364

前回書いたことの中に, やりたいことを絞りすぎることを諦めたと書いた.

その次にしたのは, 優先順位をつけずに頑張るのを諦めたことである.

昔はいくつも同時並行的にやろうとしたけれど, 結局上手くいかなかった. 1つ1つキリがいいところまでこなすようにした.

そこで考えたのは, インパクトとコストの関係である. できるだけ少ないコストで得られる成果をあげること考えた.

インパクトには, 教授の期待や分野で面白いとされていることが複合的に混ざっている. コストには, かかる時間と, 自分が新たに勉強しないといけない時間量だったり調達しないといけない試料の価格などだ.

一度所属を決めてしまったら, 分野を変えるのはなかなか難しいし, 教授が期待している成果を満たしながらやるのもサバイバルには重要になる. 特に, 生物系だと, プロジェクトの変更が厳しいので, 最初に選ぶプロジェクトがどれだけコストがかかりそうかの見積もりは大事だ. 

教授がこのコストに関する意識が低いと大変なので, きちんと自己防衛するのは大事だ. 

後輩が, 今やっているプロジェクトで僕からすると5年は少なくともかかるプロジェクトを博士課程2年からやらされそうになっていた後輩を見ていて, 絶対にやめたほうが良いとコメントしたことがある. 

そしてやるなら, すでに難しい箇所をクリアした先行研究や共同研究者がいることが前提となるとアドバイスした. 後輩は, その研究者を見つけてきて最終的には共同研究をしている. そして, その共同研究者は, 有名ラボのポスドクですでに5年かけてプロジェクトをやっているという. この見積もりがなければ彼は消耗していただろうと思う. 

情報系だと, ピボットが聴きやすいのと実験を何度でも回せるのでやりやすいだろうと思う. この分野間の違いを意識することで, 他の分野の友人が論文を量産していても嫉妬することは減るだろう. 意外にここら辺は精神衛生面で長期的には効いてくる.

ある大学院生の方が話していたことに, 中インパクト x 低コストを大学院では狙うという話をしていて納得したことがある.

さらにいうと, 低コストでインパクトを高く得ようとするのはセンスがいるので, 何度か自分でも実験を繰り返し議論することでしか, そのセンスを得ることはできなかったりする.

大学院生で最高の結果を得ることを諦めたと言っても良いかもしれない. でも, 私は何も諦めていない. 研究を続けることだって, 面白い研究をすることだって. そこには弱者なりの戦略がある. 弱者が戦略を持つことはなんら恥じゃない.

<続く>

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