2020-7-15 日記. ベンチャー企業の研究者: 研究の自動化時代に研究者は何をするか(仮題).

最近, Natureから, A mobile robotic chemist [Burger et al., 2020]という論文が出てきた. 

8日間以上実験室を駆けずり回りながら自律的に化学実験をロボットが行い, 688の実験を実行. 最初の組成の6倍も活性化された光触媒混合物を見つけ出した. 

ということらしい.

紺野さんのツイートにもあるように, ソニーCSIの北野先生(OISTにも所属)が, 「2050年までにノーベル賞を取れるAIを創る」であったり, 「2050年までにプロサッカーチームに勝つロボットを創る」みたいなことを言っている.

そこまでの進歩があるかはわからないが, 2015年に囲碁で世界チャンピオンがAIに負けてしまったのだから, 何が起こるかわからない.

ただ, 研究の世界で, 実験が自動化される動きがすでにあり, 今後加速していくだろうと思っている. このプロセスは, 漸進的なものだが, 確実に来ると確信している.

一度ルーティンを決めてしまえば, 自動的にAIが実験を行ってくれる世の中では, 実験の改善自体はAIに任せることができる. こんな時代は20年以内にやってくると思っている.

他にも実験からどのようなことが論理立てて言えるのか. その論理と関連する論文は, どのような論文が引用できそうかの提案も自動化されるだろう. 与えられたテーマと組み合わせから, 未開拓な領域の可視化するようなツールは徐々に広まってきているので, ここら辺の革新も行われると思う.

もしこれらの予測が当たっているとすると, 研究は以下のような流れになるだろうか

1. 人間がAIと協同して研究テーマの設定

2. 与えられた予算の中から, どのテーマの組み合わせにお金をかけるのか決める

3. 自動実験を開始. 与えられた予算内で実験改善を終了

4. 与えられたテーマの組み合わせから, どのような論理的帰結が可能か選択. ユニークな主張をしたい場合は自分で加筆する.

5. データベースに研究結果や手法, 実験ノートがが登録され, 透明性の検証が行われる.

6. 問題がなければ, 自動的に論文が登録される.

というような流れになるだろうか. 

このような時代になるときに, 研究者として生き残るにはどうしたら良いだろうか.

1. 予算を得られるような実績があり有名な立場になり, 予算の決裁権をもつ.

2. 1.の立場のある人の近くで一緒に研究する.

3. 多くのツールを使いこなし, テーマの設定のセンスをあげる

4. まだ自動化されていないような実験を行い成果をあげる

ここら辺がキーになると思っている. そうすると, 1.と2.は先行者利益で, 先に生まれた方がやりやすい. しかし, 3.や4.のようなところは時間がある若者が得意なところで, 新たな感性を持った人間がテーマ設定を行うことができれば新たなライジングスターになれるだろう.

これらの1.-4.を意識していきていきたい.

参考資料:


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