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軽井沢の光と緑に包まれて――ヴォーリズ建築「睡鳩荘」

文豪や皇室に親しまれ、
今も避暑地として人気が高い「軽井沢」

その豊かな緑の中を抜けると、
湖畔にひっそりとたたずむ
小さな山荘がありました。


軽井沢タリアセン「睡鳩荘」

軽井沢町の南・塩沢湖をぐるりと取り囲む複合リゾート施設「軽井沢タリアセン

今回ご紹介する「睡鳩荘(すいきゅうそう)」はそのタリアセンの敷地内、塩沢湖のほとりにあります。

睡鳩荘(すいきゅうそう)

昭和6年に実業家の朝吹氏の別荘として建てられ、設計を手掛けたのは「大丸心斎橋店」、「豊郷小学校」などで知られる建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズです。

1階には湖を一望できるテラス、そして家族のだんらんの場を想定した暖炉つきの広間などが配されています。

テラス
広間

ヴォーリズは住宅を設計する際、そこに住む人々の健康を意識して、「光と風をふんだんに取り入れる」ことをコンセプトとしており、テラスや開放的な窓など、あちこちでその特徴を味わうことができます。

2階部分ももちろん開放的な設計で、緑豊かな軽井沢の空気にたっぷり触れられる落ち着いた空間となっています。

2階居室
2階テラス
目の前には塩沢湖

決して贅をこらした装飾があるわけではない素朴な山荘。

だけどその静かな環境でぼんやり過ごしているだけで、心や体の中にたまっていた濁ったものが、軽井沢の新鮮な空気とそっくり入れ替わってしまった心地がしました。

建物を散策した後、塩沢湖の「中の島」に渡って睡鳩荘を眺めました。

山荘の写真を撮っていると、辺りにはカモがわらわらと。

人懐っこく、近寄ってカメラを向けても実にのんびりとしていました。

自然とふれあい、ただそこにいるだけで心身がデトックスされる「睡鳩荘」

みなさんも軽井沢にお越しの際は、「睡鳩荘」がある軽井沢タリアセンで自然と名建築と、そしてカモとふれあってみませんか?

ヴォーリズに影響を受けた私の小説

この記事を投稿した2月2日は、「睡鳩荘」を設計したヴォーリズが1905年に滋賀県近江八幡にやってきた日で、生涯に渡って八幡の地に留まり続けます。

キリスト教の伝道を目的に英語教師として来日したヴォーリズは、近江八幡の地を愛し続け、建築だけでなく教育や医療などで多大なる貢献をしました。

滋賀県近江八幡市
ヴォーリズ建築「ウォーターハウス記念館」

そして今も近江八幡市の残るヴォーリズ建築「ウォーターハウス記念館」が先日、「兵頭大樹の今昔さんぽ」というコーナーで紹介されました!

昔、ここのサンルームを見学して感動したのが実は私がヴォーリズに興味を持ったきっかけで、初めての商業小説『二十世紀電氣目録』執筆時にもかなり影響を受けました。

もしこの建物が残っていなかったら、小説は今と違った形になっていたかもしれません。

その他のヴォーリズ建築

noteでは他にも滋賀県に残るヴォーリズ建築を紹介していますので、興味を持たれた方はぜひ滋賀に訪れてみてください!

また近代期、多くの訪日外国人が訪れていた軽井沢はヴォーリズと建築事務所にとって商談や社交の場でもあり、多くの別荘や教会などの建築が軽井沢には残っています。

軽井沢ユニオンチャーチ

そして上皇様と上皇后さまの出会いの場となった軽井沢会テニスコートにも、実はヴォーリズ建築が。

軽井沢にはまだまだたくさんヴォーリズ建築が残っていますので、巡ってみてはいかがでしょう!



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