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あなたの身体に潜む「他者」の細胞

2023年11月現在のヘルスカウンセリング研修は、ソーシャルスキルを学ぶことよりイメージセラピー(SAT療法)を体感し、修得することに力点が置かれています。先日、認知行動療法とSAT療法の違いについて書きましたが、認知すなわち「考え方」を変えるのが、これまでの方法では難しいからなのです。

だって、そう簡単に修行僧にはなれませんから。

それでSAT療法についても、ここでもっと書いていきたいと思うのですが、その基礎知識として、「マイクロキメリズム」というものを知ってください。以前、このテーマについてClubhouseでお話ししたことがあるのですが、とても多くの方が興味を持って聴いてくれました。

今日ご紹介するのは、2011年4月26日に書いたものからですが、記事に引用した日経サイエンスのバックナンバーページは、すでに無くなっていましたので、リンクを外して再掲します。


日経サイエンス2008年5月号 の中でJ. L. ネルソン(フレッド・ハッチンソンがん研究センター)の論文(J.Lee.Nelson:Your cells Are My cells,Scientific American,February 2008)が紹介されています。

「あなたの身体に潜む“他者”の細胞」
なんとも、衝撃的なタイトルですね。

バックナンバー紹介ページから、そのまま引用します。

妊娠中に胎盤を通して,母親と胎児の間で互いに細胞が行き来する──これだけだったら,さほど驚くにはあたらない。胎盤を通じてさまざまな物質が行き来していることは周知の事実だ。だが,このときに行き来した細胞が,その後もずっと定着しているとなると話は別だ。実の母子といえども免疫系から見れば“他者”。母親や我が子からの細胞は本人の免疫系によってすぐに排除されてしまうはずだ。
 ところが,実際には成人した男性から母親の細胞が見つかったり,出産後,数十年たった女性から息子の細胞が見つかったりしている。母親由来の細胞が本人の細胞とともに心臓の一部となっていた例もある。
 こうした他者の細胞は,本人の健康にとって良い面もあれば悪い面もあるようだ。いわゆる自己免疫疾患とされてきた疾患のなかには,体内に潜む他者の細胞が本人の免疫系を刺激して生じてしまうものがあるらしい。母親由来の免疫細胞が胎児の身体に入って,胎児に深刻なダメージを与えてしまうこともある。
 だが,悪いことだけでもない。ダメージを受けた臓器や組織を修復するために母親由来の細胞が集まってきている例もある。 他者の細胞が体内に潜んでいる現象を「マイクロキメリズム」と呼んでいる。なぜ,本人の免疫系によって排除されないのか? 自己免疫疾患の一因となっているのならば,それまで共存できていたのに,なぜ突然,和平が破綻したのか? 本人の細胞よりも明らかに高齢化しているはずの母親由来の細胞は発がんリスクが高いのか? マイクロキメリズムは発見されたばかりなのでまだ謎だらけだが,さまざまな医学分野に影響を与えそうだ。

J. L. ネルソン:あなたの身体に潜む“他者”の細胞(日経サイエンス2008年5月号)

母子間では胎盤を通じてさまざまな物質が行き来し、出産後もずっと定着しているという。その、自分の身体の一部となった他者の細胞が、ときに悪く働いて…
自己免疫疾患とされてきた疾患のなかには,体内に潜む他者の細胞が本人の免疫系を刺激して生じてしまうものがあるらしい。
自分で自分の細胞を攻撃してしまうナゾが、いま解き明かされようとしていますね。

このマイクロキメリズム、臓器移植の中でしばしば話題にされます。
「母子間免疫寛容の話(京都市情報館)」には、こんなことが書いてあります。

主要組織適合抗原(HLA)…お父さん由来の遺伝情報とお母さん由来の遺伝情報から作られています。…胎児は母由来のHLAと父由来のHLAを受け継いでいますが,お母さんの体は,胎児がもつお父さん由来のHLAを異物とみなさないのです。一方,胎児はお母さんから受け継がなかったほうのHLAを異物とみなさず,母の細胞が体内に侵入してきても排除しようとしません。この状態を,母子間免疫寛容と言います。…この母子間マイクロキメリズムは,出産から20年以上経ってもお母さんの80%に子どもの70%に確認されています

母子間免疫寛容の話(京都市情報館)

ほかのページにも、

マイクロキメリズムは母と子の双方向であることから,「血肉を分けること」は一対の母と子の間にとどまらない.母→子の関係を辿れば,母系の先祖からの広がりをもつ.私の中には,祖母,曾祖母・・・の細胞が入っている.母→子→母・・・という関係を辿れば,母系先祖からの縦の広がりに加えて,兄(姉)→母→弟(妹)を通じての横の広がりがある.私の中には,兄,従兄弟,はとこ,・・・の細胞が入っている.これは気分の問題に留まらない.免疫系はたとえ微少な異物に対しても抗体を形成することから,これらの関係の間に広範な免疫相関関係が形成されることになる.

自分の身体に自分以外の別の人の細胞があって、それがあたかも自分の細胞であるかのように組織に組み込まれている。
細胞は記憶を持っています(…というお話は、まだしていませんでしたかね)。
ということは、自分だけでなく、自分の祖先が体験したいろいろなこと、父母ばかりか、伯父さん伯母さんがお祖母さんのおなかの中で体験したこと、兄、姉が母親のおなかの中で体験したこと、この世に生まれ出られなかった命が同じく母のおなかで体験したことも含めて、いまの自分の記憶(自己イメージ)を作っているんだということが、なんとなく理解できますね。

しかしこうなってくると、「自分」って、なんなんでしょうね。
自分が実際に体験していないことも「記憶」として、自分の中に残っている
心はどこにある?というと多くのみなさんは胸の辺りを指しますが、身体と心って実は別々であって、身体を含んでまわりりを取り巻くエネルギー体のようなものかもしれませんね。
そしてみんなつながっている…。
人間って、不思議です。



「自己イメージ」
について、9月10日の記事で触れています。

この時、

自分と自分より以前の命(両親含むご先祖さま)が体験した「過去のイメージ体験」の全部と、それを自分がどう感じ、どう捉えたかということ。

と書いたのは、このことだったのです。

今日は「マイクロキメリズム」について、2011年当時の情報を載せました。このテーマについて、私は時々ブログで取り上げてきましたが、毎回結構なアクセスをいただくので、みなさん関心が高いものなのでしょう。
この記事を書いていた頃、ブログタイトルを「ここからぶろぐ(こころとからだのブログ)」としていました。いまはサービス終了し、魚拓として残してあるブログですが、ここからぶろぐ(こころとからだと魂のブログ)」と変えています。
それは「身体を含んでまわりりを取り巻くエネルギー体」これこそが「魂」だと確信したからで、その根っ子は命の源で、すべて繋がっているのでしょうね。

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